「しあさって」の「し」って何?
そもそも「しあさって」とは、いつを指す言葉だろうか?
正解は「今日の3日後」だ。しかし、東日本に限れば「今日の4日後」という答えも正解だ。
共通語では「あした→あさって→しあさって→やのあさって」の順だが、東日本では元来「あした→あさって→やのあさって→しあさって」と逆転している。
念のため、東日本出身者と「しあさって」に待ち合わせるときには詳しく確認した方が良いかもしれない。
ただ、西日本の元来の形も、共通語と少し異なる。
西日本では元来「あした→あさって→しあさって→ごあさって」と言う。
何かが見えてこないだろうか?そう。実は、しあさっての「し」は、今日を1日目と数えたときの4日目、つまり「四」なのである。
奄美・沖縄に分布する「ユーカ(=しあさって)」「イチカ(=やのあさって)」も、「四日」「五日」が変化したものであり、同様の発想が見られる。
現代の私には「今日を含めて数える」のは少し違和感があるが、当時は年齢も数え年であったし、比較的一般的な感覚であったのかもしれない。
さて、なぜ東西で「しあさって」の意味が異なるようになったかである。
たまに、「今日を1日目と数えるか数えないかの違い」と説明されることがあるが、連続する分布で別々に発生したと考えるのは、偶然に頼りすぎている。
西日本で生まれた「しあさって」が東日本に伝わったが、「やのあさって」の存在が強く、前者が隣接の意味にスライドしたと考えるのが通説だ。
さらに、明治維新で京都や薩長土肥出身者が多く移り住んだ影響なのか、東京都区部では近代に「しあさって」の意味が西日本式に戻り、「やのあさって」の語彙も残った状態で共通語に反映されている。
ちなみに、「しあさって」より古い形に「ささって」「さあさって」があり、現在も地域によっては残っている。
この「さ」は「次の」という意味の接頭辞で、「さらいねん」「さらいげつ」というときの「さ」であることも豆知識だ。
ジャンル | ことば・文学 |
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掲載日時 | 2020/4/12 16:00 |
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