宮沢賢治が「サファイア風の惑星」と例えた惑星は?
「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「セロ弾きのゴーシュ」「注文の多い料理店」。
上記以外にも様々な文学・詩を執筆している他、水彩画の作品も存在している大正〜昭和を代表する作家・宮沢賢治(1896-1933)。
ただし生前は広く存在を知られておらず、その生涯は37歳と若くして亡くなられている。
亡くなられた後に、生前から評価していた数少ない文学者の草野心平(1903-1988)が賢治の作品を紹介し、全集にまとめて公表することで、日本中に賢治の存在が知れ渡っていった。
草野氏がいなければ、宮沢賢治は現代以降知られることはなかっただろう。
そんな宮沢賢治は文学以外にも音楽・地学・宇宙など幅広い分野に興味を持っていた。だからこそ彼の作品やその内容に、関連している事柄や表現が使われている。
また彼は作品にオノマトペをよく使用していた。
例をあげると「注文の多い料理店」では「なんでも構わないから、早くタンタアーンと、やって見たいもんだなあ。」の「タンタアーン」。登場人物である紳士の一人が自信よくセリフを言っていることだけでなく、リズミカルな銃声の表現が読み取れる。
他の作品にも趣があるオノマトペが使われているのでぜひ探してみては?
それでは本題へ。
彼が生前刊行した唯一の口語詩集「春と修羅」の第二集の一遍「暁穹への嫉妬」にその表現は登場している。
※暁穹・・・「きょうぎゅう」と読まれており、あかつき(夜明け)の空を指している
抜粋すると
「薔薇輝石や雪のエッセンスを集めて、 ひかりけだかくかゞやきながら その清麗なサファイア風の惑星を 溶かさうとするあけがたのそら ・・・」
この「清麗なサファイア風の惑星」とは何を指しているのだろうか。
ヒントは読み続けていくと出てくる。
「・・・それなのにいま (ところがあいつはまん円なもので リングもあれば月も七っつもってゐる 第一あんなもの生きてもゐないし まあ行って見ろごそごそだぞ)と 草刈が云ったとしても ・・・」
この詩をみてみるとタイトルの次に「1925年1月6日」と書かれている。コンピューターシミュレーションで再現された夜空をみてみると、確認された惑星は水星、金星と土星である。
そのなかでリングがあり、月が複数ある惑星といえば土星しかない。
土星をサファイア風の惑星と表現したことからいえるのは、夜空の中での土星の輝きをサファイアのようなイメージを描いたのではないかと推測される。ではまた!
ジャンル | ことば・文学 |
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掲載日時 | 2021/12/24 16:00 |
タグ | 宮沢賢治 |
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