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『小倉百人一首』の「小倉」ってなに?

「百人一首」と言えば、学校で意味も分からず覚えさせられたり、お正月に坊主めくりやカルタ取りをしたりした経験がある人が多いのではないでしょうか。

 

今だと競技カルタを題材にしたマンガ『ちはやふる』が大人気ですね。

 

さて、普段なにげなく「百人一首」と呼んでいますが、実は百人一首にはたくさん種類があるってご存じでしたか?

 

普段「百人一首」と呼ばれているのは、鎌倉時代に藤原定家が選んだ『小倉百人一首』のことです。

 

藤原定家と言えば、『新古今和歌集』の撰者でもあります。

『新古今和歌集』は勅撰和歌集と言われ、天皇の命令で作成される、公的ないわばお役所仕事。

天皇の名に恥じない和歌を選ばなければなりません。

 

それに対して『小倉百人一首』は、「私」の面を持つ和歌集です。

 

きっかけは定家の息子・為家の義父である宇都宮頼綱。

(つまり…為家夫婦の父同士という関係ですね)

 

頼綱が、小倉山荘という頼綱の別荘のふすまを飾るために、歴代詠まれた素晴らしい和歌を選んでくれないか」と、定家に依頼したことがきっかけです。

 

『小倉百人一首』の「小倉」はここが由来になっています。

 

 

 

「百人一首」とは、「100人の和歌を一首ずつ」が基本ですが、2首ずつ50人の和歌を収録して100首にするものや100首ぴったりではない「百人一首」もあります。

 

いくつか紹介します。

 

・『源氏百人一首』

『源氏物語』に登場する123人の和歌を収めたものです。

100首ではないですね…。

もっと言うと、登場人物の口を借りているとはいえ、すべて紫式部の作品ですので「一人百首」という見方もできそうです。

 

・『武家百人一首』

「武家」という名がつく百人一首はいくつかあります。

「小倉百人一首」に貴族が多かったのに対して、タイトルの通り武士が読んだ和歌が収められています。

 

・『義烈回天百首』

幕末の志士が詠んだ和歌が収められています。

有名な読み手に、吉田松陰や久坂玄瑞がいます。

幕末に対しては勉強不足なので深入りは避けますが、幕末に詳しい方であればとてもおもしろく読める作品だと思います。

 

・『愛国百人一首』

「愛国」を表現した和歌を集めたもので、戦時中に作られました。

 

 

他にもたくさんありますし、最近では『平成新選百人一首』が出版されました。

 

文化は本来とても自由なもの。

他の百人一首にふれてみるもよし、「あなた自身の百人一首」を選んでみるもよし…!

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一介の予備校国語講師
ことのは

大阪府出身・在住。
同志社大学文学部国文学科卒業。
現在は予備校で(比較的)新人講師として勤務。
担当ジャンルは【古典文学】

授業では、本編よりも脱線話の方がウケて悲しい反面、過去の自分もそうだったので生徒を責められません。小ネタを収集する日々です。

基本どんなジャンルでも興味あり!
でも、結局言葉(=ことのは)のもつ魅力から逃れられずここまで来てしまいました。
尊敬する人は中2のときからロザンの宇治原さん。好きなことは、得意ジャンルが全く違う同居人とクイズ番組を見ながらやいやい言うこと。

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