平安時代ってどんな布団で寝ていたの?
平安時代。日本独自の文化が花開き、貴族が華やかな生活を送っていた…
そんなイメージがあるため、さぞ高級布団で寝ていたのだろうと思いきや。
当時は現代のようなふかふかの布団はなく、
どんなにえらい・位の高い人でも、畳の上に寝ていたようです。
(えらくなるほど畳周りの装飾は豪華になったようですが。)
当時の人たちが寝るときは、自分の服を掛け布団代わりにしていました。
平安時代の服と言われて思い浮かべるのは、十二単ではないかと思います。
十二枚の布を布団として重ねるのであれば、それなりに暖かいのでは?というのは現代人のあまい考えのようです。
まず、服に関して。
現代でもそうですが、着物は袖口が広くあいています。
夏は風通しがよく、涼しくてよいのですが、
冬は袖口から直接風が入ってくるので、防寒機能はありません。
当時の服は、同じく袖口が開いた下着のようなものの上に、外に見せるための着物を重ねる、という構造になっています。
寝るときは、下着を着て、そのうえから保温性のない布をかぶっていたので、すきま風がかなりはいってきたようです。
それなら袖口をしめればよいのでは…と思うのですが、
袖口を絞った服は労働階級の服だと思われていました。
着物のように袖があいていれば仕事がしにくいですからね。
よって、袖口が開いている着物は、肉体労働をしなくても良いことを示すステータスになっていたため、どれだけ寒くても、貴族は利便性の高い服をなかなか着ようとしませんでした。
次に家の造りに関して。
当時の都は京都です。
京都にお住まい、またはゆかりのある方はご存じかもしれませんが、
「盆地」というだけで、冬はとにかく寒い!さらに夏は死ぬほど暑い!
(真夏・真冬に京都旅行をお考えの方は完全対策を!)
それでも、どちらかといえば夏の方が耐え難かったらしく、
家は夏のためにかなり風通しをよくする構造になっていました。
少し時代は下りますが、『徒然草』でも
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家の作りやうは夏をむねとすべし。冬はいかなるところにも住まる。
暑き此わろき住居は堪え難き事なり。
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訳
家を作るときは夏を基準に作るべし。冬はどんなところでも住める。
暑さを凌げない家は堪えられない。
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と言っています。
どれだけ夏が暑かったとしても、
さすがに、暖房設備がなく (あっても火鉢くらい)、
夏のための超・風通しがよい家で、保温性のない上着を被るだけで 畳の上で寝るなんて…。想像しただけで過酷です。
さすがに冬はどんなところでも住めるは言い過ぎなのではと思ってしまいます。
でもそれを我慢させるほどの夏の暑さって一体…。
現代にあたたかいお布団があって本当によかった!
ジャンル | ことば・文学 |
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掲載日時 | 2020/7/14 16:00 |
大阪府出身・在住。
同志社大学文学部国文学科卒業。
現在は予備校で(比較的)新人講師として勤務。
担当ジャンルは【古典文学】
授業では、本編よりも脱線話の方がウケて悲しい反面、過去の自分もそうだったので生徒を責められません。小ネタを収集する日々です。
基本どんなジャンルでも興味あり!
でも、結局言葉(=ことのは)のもつ魅力から逃れられずここまで来てしまいました。
尊敬する人は中2のときからロザンの宇治原さん。好きなことは、得意ジャンルが全く違う同居人とクイズ番組を見ながらやいやい言うこと。
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