12月にある、仏教の重大イベントとは?
12月の行事といえば、おそらく大半の人はクリスマスをイメージするだろう。もはや信仰の関係ない、世界的に広く浸透している行事といえるし、経済効果などもバカにならないものだ。
私もこういう仕事をしているものの、飲み会なりパーティーなりに参加したこともあるし、現在は子どものためにプレゼントは用意する。こうしたものも世の習い、意地を張っても仕方ないところだろう。
そんな12月だが、実は仏教徒にとって大事なイベントがあるのだが、これは大半の方はご存じないのではないだろうか。
日付でいえば12月8日、この日は成道会(じょうどうえ)といい、釈尊が悟りを開いた日とされる。
釈尊が出家したのは29歳のときとされるが、その後何をしたかというと、まずは高名な仙人に教えを乞うた。しかし、そこでは人生の苦しみからの救いを見いだすことはできなかった。
そして、当時のインドで一般的な修行だった苦行に身を投じる。苦行とは水中で長時間呼吸をとめたり、断食をしたりと、自らの身体を痛めつけるものだ。
客観的に見ればそうした行為に意味が無いことは一目瞭然なのだが、当時は痛みで余計なことを考えなくなる、そのため悪いことも考えなくなる、そして心が清くなるという、少々無理のある理屈で苦行が広まっていた。
釈尊は6年もその苦行を勤めたが、無意味であるということに気づく。これを止めてナイランジャナ河(尼連禅河とも、ガンジス川の支流のひとつ)にて沐浴をするのだが、身体がボロボロで満足に動けない。そこに乳粥(現在のインドの伝統料理・キールの原型)を差し出したのがスジャータという近隣の牛飼いの娘だった。
余談だが、彼女はコーヒーフレッシュのスジャータの商品名の由来である。スジャータめいらくグループのホームページに記載もある。
(https://www.sujahta.co.jp/customer/faq_sujahta.html)
話を戻すと、その乳粥で体力が戻った釈尊は、川沿いの菩提樹の下で瞑想に入る。その最中には悪魔・マーラが誘惑・妨害にやってくるのだが(マーラについては別の機会にて)、それをはね除け、8日目にしてついに真理に至る。こうしてゴーダマ・シッダルタがブッダ(真理に目覚めた人)になったのが12月8日なのだ。
この成道会なのだが、残念ながら街にイルミネーションを溢れさせたり、ケーキを大量に売り上げたりすることはない。仏教系の学校・幼稚園などでイベントが行われるが、おそらく認知度はあまり高くない。わざわざ参加して乳粥を振る舞われた方は多くないだろう。
近年は寺院によってはコンサートなどのイベントを併せた法要も見られるが、街がそれ一色になっている様子はあまり見られない。
しかし、その分宗教儀礼の面も色濃く残っている。クリスマスの派手で浮かれた感じが苦手な方は、幸いクックパッドなどにもレシピが多いので、一足先にケーキではなくキールを楽しんでみてはいかがだろうか。ちなみにトッピングは旬を逃した感はあるが、タピオカがオススメだ。
ジャンル | 社会 |
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掲載日時 | 2020/12/2 16:00 |
学習院大学文学部史学科卒
大正大学大学院仏教学研究科浄土学専攻修士課程修了
高校・大学は剣道部、前職は中学・高校の社会科教員。クイズ作家としてはクイズ研究会やサークル所属経験のない異色の経歴。クイズ番組は好きだったが、プレイヤーとしての経験はアーケードゲームのみ。
僧侶としても、仏教系大学に大学院のみ在籍という極少数派。
有限会社セブンワンダーズ入社後は僧侶とクイズ作家の兼業で活動。法話にもクイズ作成で得た知識や要素を取り入れ、独自性のあるものを展開しているほか、寺院での「仏教クイズ」も企画している。
好きなジャンルは仏教、世界史、サッカー。
クイズに関するニュースやコラムの他、
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