ドイツ0、イタリア2、オランダ3、フランスは最大5、何の回数?
正解は「挨拶のキスの回数」。ドイツではキスはせずに握手が一般的、イタリアやスペインでは両頬に1回ずつ(左右の順番は国によって異なる)、オランダやベルギーでは、右、左、右の順で3回だ。フランスでは地域によってキスの回数は異なり、5回行うのはナポレオンの故郷であるコルシカ島など。筆者はオランダ在住なのだが、日本人としては3回キスの挨拶になかなか慣れず、「あれ、左右どっちが先だっけ」みたいになってしまう。とはいえ、挨拶でキスをするのはあくまで仲の良い異性の友達同士(恋人には限らない)で、そうでない間柄ならふつうは握手だ。
ちなみに、欧米では、特に若い男性などは、拳と拳をつけ合わせる挨拶をすることがある。日本では「グータッチ」と呼ばれ、野球選手がホームランを打ったときなどにチームメイトがこの仕草で出迎えるのを見たことがある人も多いと思うが、この挨拶の方法は英語では「ボックス」という。ボクシング(boxing)の「box」には、英語で「拳で打つこと」という意味がある。「ボクシング」の語源となった言葉は古代ギリシア語の「PUXOS(箱)」だが、このPUXOSはさらに「PUGME(握りしめた拳)」という言葉に由来しているとされる。
ところで、今年の新型コロナウイルス禍において、ヨーロッパで最初に感染が拡大したイタリアでは、キスやハグの習慣を流行の原因のひとつに求める声も上がった。イタリアでは与党・民主党のジンガレッティ党首が感染するなど、人と会ってハグする機会が多い政治家などの要人もリスクにさらされた。そして、感染拡大防止を目的にイタリアで発表された法令では、挨拶のキス・ハグ・握手などの自粛を求める内容が盛り込まれた。
さて、筆者には3歳の子供がいて、オランダの幼稚園に通っている。この幼稚園では、毎朝子どもが教室にやってきたときと帰るときに、先生と握手することが習慣になっていた(子どもだけでなく、連れてきた保護者も先生と握手をしていた)。ところが3月になって「今日から握手ではなくボックスよ」と先生から言われた。幼稚園の先生と保護者が、野球選手のようなボックス(グータッチ)をやるのは一見滑稽だが、理由はもちろんウイルスの感染を防ぐためである。実際、2013年に米ウエストバージニア大学の研究者らが発表した実験結果では、握手によって移動する菌の数は、拳でのタッチの4倍にもなったという。世界的な危機は、欧米の挨拶の習慣までも大きく変えてしまうことになるかもしれない。
ジャンル | 生活 |
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掲載日時 | 2020/3/22 16:00 |
『アメリカ横断ウルトラクイズ』に感化された最後ぐらいの世代。学生時代は競技クイズを熱心にやっていました。大学卒業後は憧れていたアメリカと日本を行ったり来たり。その後2012年に思い立って渡欧し、今はオランダ在住。ボタンは長年触っていませんが、海外移住後も作家という形でクイズに関わっています。家はあのスケベニンゲンの近く。
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