ランス大聖堂のステンドグラスの
原画を描いた20世紀の画家は?
フランス北東部に位置するシャンパーニュ地方の中心都市であるランスには、1211年に着工し約100年かかって完成した、今では世界遺産に登録されているカトリックの大聖堂「ランスのノートル・ダム大聖堂」、通称「ランス大聖堂」があります(なお「ノートル・ダム大聖堂」とはフランス語で「聖母に捧げられた大聖堂」の意です)。
このランス大聖堂は美術・建築史でいう「ゴシック様式」の典型的な大聖堂であり、「ゴシック建築の女王」という美称もあるほどです(「王様」でなくわざわざ「女の王様」にされているのは、キリスト教の教会は女性擬人像で表現される伝統があるためです)。大聖堂の外壁には聖人像や天使像が沢山彫られており、中でも「微笑みの天使」と呼ばれる像は優美さで名高いです。
ランス大聖堂はまた、歴代フランス国王の戴冠式の会場とされた点でも有名です(ちなみにフランス皇帝になったナポレオンは、同じノートル・ダムでもランスでなくパリのノートル・ダム大聖堂を戴冠式会場としました)。このしきたりはフランス革命やナポレオン帝政で一時中断したものの、王政復古時代の1825年まで続いています。
このように様々な点で由緒に満ちたランス大聖堂ですが、実はここのステンドグラスは古い時代のものばかりではありません。何と、20世紀に活躍した画家が原画を手掛けているステンドグラスもあるのです。
その画家とは、ロシア出身でフランスに帰化したマルク・シャガールです。彼は第二次世界大戦後、教会やその他様々な公的な施設のステンドグラスの原画を多く描いていることでも有名です。
シャガール作品には素晴らしい色彩のセンスが強く感じられますが、特に青の美しさは名高く、「シャガール・ブルー」と呼ばれています。その美しいシャガール・ブルーはランス大聖堂のステンドグラスでも効果的に使われ、光を通すことで神々しいまでの美しさを見せています。
余談ですが、モダンなタッチのシャガール作品とより古い時代の重厚で荘厳な装飾のある建築との不思議な相性の良さには定評があり、このランス大聖堂のステンドグラスの例だけでなく他にも例えばパリ・オペラ座のカラフルな天井画など、意外なところにシャガール作品はあります。
<参考文献>
木島俊介『もっと知りたいシャガール 生涯と作品』東京美術、2012
古田晴久・古田真美『世界遺産ガイド -フランス編-』シンクタンクせとうち総合研究機構、2011
『世界の美しいステンドグラス』パイインターナショナル、2017
ジャンル | 歴史 |
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掲載日時 | 2021/3/10 16:00 |
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