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寺田屋事件の「寺田屋」は偽物?

ニセモノ騒動とか贋作疑惑っていうのは、どんな業界のニュースであっても、なんだか盛り上がてしまうものです。

寺田屋

幕末史でも数年前、ある建造物のニセモノ疑惑がニュースになりました。それは坂本龍馬が襲われたことでも有名な「寺田屋」です。寺田屋は船宿で、勤王派の連中を支援した宿として有名です。龍馬とは特に縁が深く、龍馬はお龍を寺田屋に預けて働かせてました。お登勢という女将さんがいて、お登勢は龍馬のことが大好きでした。

寺田屋事件は、薩長同盟が成った直後に、龍馬が幕府の捕り方に襲われた事件です。捕り方に建物の周りを囲まれていることに真っ先に気づいたのは、入浴中のお龍でした。お龍はすぐに風呂から上がり、ほぼ裸のままで二階にいる龍馬に危険を伝えにいったとされています。このシーンは龍馬を扱うドラマや映画ではお馴染みの場面で、お龍役の女優さんの裸(もしくは着物がはだけた姿)が拝めるので、男性の幕末ファンには特に印象深いシーンかも(笑)。結局龍馬は、殺されることなく逃げることに成功するのですが、この場で捕り方と斬り合うことになり、負傷を負ってしまいます。また龍馬は、ピストルで応戦したとも伝わっています。そのピストルはアメリカのSmith & Wesson社製のピストルで、高杉晋作からプレゼントされたものでした。ちみに高杉は上海でこのピストルを購入しています。

この事件の後、龍馬はお龍を伴い、傷を癒すための旅に出ました。向かった場所は九州・鹿児島。この2人の旅は「日本で最初の新婚旅行」とされています。

愛の旅路

さて寺田屋。今も営業していて、宿泊もできちゃいます! 建物には、捕り方と斬り合いをした際の刀の傷が柱に残っていたり、ピストルの弾痕も生々しく残されています。もちろん男性なら絶対にチェックしておきたい「お龍が入浴した浴槽」も残されてますよ! 幕末ファンにとったら、何から何まで楽しいワンダーランド「寺田屋」。しかし何年か前に「寺田屋は再建されたものなのでは?」という噂が立ち、京都市が調査をするという騒動が巻き起こります。

風呂桶

確かに寺田屋が建つエリア一帯は、「鳥羽伏見の戦い」の際に燃えてしまっているのは事実です。ということなので、寺田屋はその後に再建されたものなのでしょう。強い言葉で表現すれば「ニセモノ」なのかもしれません。でも幕末ファンからしたら、「そこまで目くじらを立てんなよ…」って言いたくなります。この辺りに寺田屋が存在したのは事実だし、きっと部屋の柱には刀の傷も付いてただろうし、弾痕も残ってたと思われます。お龍が風呂に入ってたのも事実なんです。そんな幕末ファンの思いに寄り添って、寺田屋を経営されている方もいる。なのになんでそこまでみんなで「真相を追及せねば!」という空気にしてしまうのか。当時は寺田屋の経営者の方をバッシングするような空気にもなってました。

 

私は幕末史が大好きだし、もちろんフィクションではなく史実を知りたいと思っています。でもあの寺田屋は、本物でもニセモノでも、あんまり関係なくないですか?あそこで弾痕や風呂場を見て興奮できるだけで、歴史がリアルに心に染み入ってくるのです。私は今も「寺田屋」が大好きです。

 

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幕末ジャーナリスト
K・Y
担当ジャンル:幕末
仕事で「龍馬 幕末歴史検定」や「新選組検定」などに携わってるうちに、なぜか幕末史にどっぷりハマってしまう。現在は中小零細企業の社長をやってます。新選組検定事務副長。

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