世界遺産に登録するため、国宝に指定された
奈良県にある建造物は何?
今日本には23件の世界遺産があります。(2021年5月1日現在)こうして見ると、圧倒的に文化遺産の方が多く、なかでも、日本独自の歴史や文化を象徴する寺社や城などの建造物が高く評価されています。今回は、そんな世界文化遺産からの出題です。
世界遺産への登録にあたって国宝に指定された、奈良県にある建造物は何でしょう?
正解は・・・正倉院です!
正倉院は、平成10年(1998年)に世界文化遺産に登録された『古都奈良の文化財』の構成資産の1つです。正倉院と言えば、東大寺を建立した聖武天皇の宝物が収蔵された宝庫で、歴史の授業でも必ず登場する有名な建造物ですが、そんな歴史的価値のある正倉院が国宝に指定されていなかったのはなぜでしょうか?
それは、正倉院が宮内庁の所有であることが関係しています。ともに世界遺産に登録された東大寺は、文化財保護法という法律により保護され、大仏殿などが国宝に指定されています。一方で正倉院は、皇室用財産であるため、文化財保護法の対象外となっていました。
しかし、世界遺産登録にあたって問題が生じました。世界遺産に登録されるためには、国の法律で保護されている必要があったのです。そこで、正倉院は平成9年(1997年)に国宝に指定されました。このように日本では、世界文化遺産は主に「文化財保護法」による指定を、世界自然遺産では主に「自然公園法」による指定を受けることで保護を図っています。
ちなみに、先ほどから何度も登場している「正倉院」という呼び方ですが、「正倉院正倉」という呼び方のほうが厳密です。元々、官庁や大寺にある重要物品を納める建物のことを「正倉」と呼んでおり、その正倉がいくつも集まっている場所のことを「正倉院」と呼んでいました。東大寺にもそうした正倉がいくつかありましたが、時代とともに姿を消していき、現存する正倉1つだけとなっています。
世界遺産に登録されるためには、今回挙げた法律による保護以外にも多くの規定や基準が存在します。その理由は、世界遺産に登録されるものが「顕著な普遍的価値」を持つものであることを示すためです。「顕著な普遍的価値」とは、どの国や地域の人でも、いつの時代のどの世代の人でも、どのような信仰や価値観をもつ人でも、皆が素晴らしいと感じる価値のこと。そうした価値を永続的に守っていくために、法律による保護が必要なのです。
ジャンル | 地理 |
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掲載日時 | 2021/5/18 16:00 |
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