世界有数のヨウ素の生産地である県は?
元素の「ヨウ素」をご存知でしょうか?
小中学校の理科の授業などで、ヨウ素溶液にデンプンを加え青紫色になるという、いわゆるヨウ素デンプン反応を確かめたことがあるかと思います。
高校の化学の授業ではハロゲン元素として紹介されたり、昇華法で取り出す物質として入試問題などで見かけたりしますね。
日常生活だと、ルゴール液やヨードチンキといった消毒薬として使われています。
ヨウ素とは、原子番号53、元素記号Iで表される元素です。
特に昆布などの海藻に含まれているため、日本人はヨウ素が欠乏することが少ないと言われています。
また、食べ物に含まれるヨウ素から甲状腺ホルモンが合成され、体の発育や代謝に関与するなど、人体にとって必須な元素といえます。
近年ではX線吸収能力を活かして医薬診断用X線造影剤に含まれていたり、反応性の良さから反応中間体として使用されていたりと様々な用途に使われています。
このヨウ素、実は日本で多く生産されています。
全世界のヨウ素の約65%はチリ、約30%は日本で生産されています。
また、国内生産量の約80%、つまり世界の約25%が千葉県で生産されています。
なぜ千葉県で多く生産されているのか?
それは千葉県を中心に広がる南関東ガス田に秘密があります。
南関東ガス田の天然ガスは比較的深度の浅い地下水に溶解しています。
この地下水は塩化ナトリウムなどの塩分を含んだ「かん水」といわれる水です。
南関東ガス田のかん水には、通常の海水の約2000倍のヨウ素が含まれています。
地下の高圧により地下水に溶けている天然ガスは、地上の気圧では水にほとんど溶けません。
そのため、地下水を地上に上げた時、地下水と天然ガスが分離します。
このようにして、天然ガスを得る過程でヨウ素が副産物として手に入ります。
日本はよく資源が少ない国といわれます。
その中でも、珍しく日本が世界の中で生産量上位を誇るものがあるということを知ってほしいと思います。
ちなみに、元素なら「セレン」という元素も日本が世界の中で生産量が上位であるため、調べてみると面白いかもしれません。
ジャンル | 地理 |
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掲載日時 | 2021/3/9 16:00 |
某大学クイズ研究会所属。
私が伝えた知識を吸収し、クイズに役立ててほしいです。
大学では自然科学について勉強しており、歴史好きというのも相まって科学史が得意です。
日本科学史、生物学史、元素といったジャンルの記事を書きます。
元素検定2級を持っています。現在1級取得に向けて勉強中。
加賀という名前ですが、石川県には1度しか行ったことがないです。
写真は福島県に旅行した時撮影した鶴ヶ城です。
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