仏教の四大聖地。唯一インドにないものはどれ?
仏教の発祥はインド、これは学校でも習ったことで、誰しも疑うことのない事実といえるだろう。
では、その四大聖地というと一気に知っている人は減るのではないだろうか。この四大聖地だが、実はひとつだけインドにない。
インダス文明で習うモヘンジョダロやハラッパーがインドではなく隣国パキスタンにあるような、勘違いしやすい部類の知識なので、今回はそこをテーマにしたい。
まず、仏教の四大聖地は以下の通りである。
・ルンビニー…釈尊の生誕場所
・ブッタガヤ…悟りを開いた(成道)場所
・サールナート…悟った後に初めて説法を行った場所(初転法輪、しょてんぽうりん)
・クシナガラ…入滅した場所
内容としては妥当なところだろう。さらに下記の4つを加えて八大聖地とすることもある。
・ラージャグリハ…釈尊が長く留まり布教を行った場所
・サヘート・マヘート…祇園精舎のあった場所
・ヴァイシャリ…釈尊が最後に旅をした場所
・サンカーシャ…釈尊が亡き母のために昇天し、その後に降り立った場所
最後のサンカーシャのみが伝承に基づく場所とされる。
そして、その中で唯一インドにない場所とは、世界遺産にもなっている、生誕地であるルンビニーである。つまり、現在の国籍に当てはめると、現世にいた頃の釈尊はネパール人ということになる。
しかし、その他は全て北部インドで、悟りを開いたり、主立った布教を行った場所もインドということで、仏教=インド発祥は別に疑いはない話である。当のルンビニーもインドの国境から約10km程度のところにある。
釈尊の母である摩耶夫人(マーヤー)は脇から出産したという説話も有名だが、それがまさにこの地で、里帰り出産の途中で立ち寄ったルンビニーで、アショーカ(ムユウジュなどともいうマメ科の木)に手を伸ばしたそのときに脇から産まれたという。その地点には現在も堂宇が建てられている。
また、仏教を厚く信仰したことで知られるマウリヤ朝のアショーカ王の石碑も残されており、この地は釈尊の生誕地であるため、租税を軽減するという記述も残っている。
ちなみに、現在のルンビニーは丹下健三の計画による整備が現在も進行中だ。宗派を超えた仏教都市が建設中である。中には宿泊できる寺院もあるようなので、蚊が多いという口コミサイトなどのレポートも目につくが、それも当時をしのぶ感覚のひとつと割り切れるなら、一泊してみるのも一興だろう。
ジャンル | 地理 |
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掲載日時 | 2020/10/21 16:00 |
学習院大学文学部史学科卒
大正大学大学院仏教学研究科浄土学専攻修士課程修了
高校・大学は剣道部、前職は中学・高校の社会科教員。クイズ作家としてはクイズ研究会やサークル所属経験のない異色の経歴。クイズ番組は好きだったが、プレイヤーとしての経験はアーケードゲームのみ。
僧侶としても、仏教系大学に大学院のみ在籍という極少数派。
有限会社セブンワンダーズ入社後は僧侶とクイズ作家の兼業で活動。法話にもクイズ作成で得た知識や要素を取り入れ、独自性のあるものを展開しているほか、寺院での「仏教クイズ」も企画している。
好きなジャンルは仏教、世界史、サッカー。
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