星空散歩~夜空の地図と星々の記憶~ vol.02
【夏の大三角 天の川に浮かぶ琴と鷲と白鳥】
遥か古の時代から世界各地の人々がそれぞれに夜空を見上げ無数に輝く星と星を結び神や英雄、伝説の妖獣、動物などに見立て物語を紡いでいました。
現在は1922年に国際天文学連合が定めた世界共通の88の星座が宇宙の地図を作っています。
どんな星座にも物語があります。星の物語をお話ししましょう。
☆夏の大三角形☆
<天の川に浮かぶ琴と鷲と白鳥は?>
夏の夜空にひときわ輝く3つの星。こと座のヴェガ、わし座のアルタイル、そして白鳥座のデネブ。この3つの星を結び「夏の大三角」と呼んでいます。残念ながらよく澄んだ灯りが少ない大自然でないと天の川まではなかなか見ることは出来ませんが3つの1等星は都心でも見ることができます。
7月は東を見上げて、一番明るく輝く星がこと座のヴェガ。ヴェガから右下にわし座のアルタイル、ヴェガの左下がはくちょう座のデネブです。一番輝くヴェガから遠い方がアルタイル、近い方がデネブと思ってよいでしょう。天の川の真ん中を翼を広げている白鳥、そして岸辺に琴、その対岸に鷲が飛んでいる姿を思い浮かべて下さい。
<琴と鷲それぞれの物語>
こと座のヴェガとわし座のアルタイルは七夕の織姫星と牽牛(彦)星です。
神の衣を織る美しい姫に素敵な相手を!と牛の世話をし神の畑を耕す働き者の彦クンを引き合わせた神様。ところが、2人はイチャついてばかりで全く仕事をしません。これはいかん!と神様は2人を川の西と東に引き離したのですが、今度はお互い寂しくて引き籠ってしまいます。仕方ないので年に一度だけ合わせてやるから働けよ!と神様から与えられた逢瀬の日が天の川が一際美しい7月7日の一夜だけ。これが中国から日本にも伝わった七夕伝説です。
では、星座の神話としてはどうか?といえば、琴と鷲はそれぞれ独立した神話があります。
こと座の琴は芸術の神アポロンの息子で琴の名手のオルフェウスの琴です。オルフェウスは命を落とした愛妻のエウリディケを迎えに冥界へ行くのですが、そう簡単に死者を返してもらえるわけはありません。そこで特技の琴の音色で冥界王ハデスを口説き倒し、妻返却を許されるのですが、地上に着くまで絶対に振り返えらないと約束したにも関わらずオルフェウスは我慢できず振り返ってしまったため、妻は冥界へ逆戻り。大失敗に終わりました。その後、オルフェウスは失意のうちに川に身投げ。哀れに思ったゼウスが彼の琴を天に上げ星座にしたといいます。
一方わし座の神話は主に2つあります。定番の神話としては、美しければ男でもOKな神の王ゼウスは、後にみずがめ座になる超美少年ガニュメーデスがどうしても欲しくなりワシに化けで彼を攫いに行った時の姿と言われています。別説ではワケあって、ゼウスに逆らった巨人プロメテウスの内臓を食らうゼウスのペットのワシだと言われています。
<節操ナシの白鳥の物語>
白鳥座の定番とされる伝説でもこの白鳥の正体はゼウスです。
スパルタ王国の王妃レダは絶世の美女。ゼウスは人妻のレダにも目をつけます。自身の想い遂げるため白鳥に化けレダに近づくゼウスの姿、それがこの白鳥です。
その後、レダは卵を2つ産みます。この卵にはそれぞれ双子が入っていました。半分スパルタ王の子で半分ゼウスの子、中身はもうゴチャ混ぜです。1つの卵からは男の双子、もう1つからは女の双子…男の子の双子はあのふたご座のカストルとポルックスです。詳しくはふたご座の物語で紹介しましょう。
夏の大三角を象る3つの星を有する、こと座、わし座、白鳥座にはそれぞれ独立した神話があります。ヨーロッパでは星座に神話を当てはめるのが一般的ですが中国や日本などアジア圏では星(恒星)に物語があるものが多くあります。
ジャンル | エンタメ・カルチャー |
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掲載日時 | 2023/7/7 12:00 |
タグ | 七夕 |
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仕事の中で知り合った多くの人から不思議な話をたくさん聞き、不思議な事に
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