あやかし、もののけ、ホントにいるの？
～メジェド！神か悪魔か？それともモノノケ？！～

不思議な現象、幽霊、妖怪、未確認生物をまとめて、親しみやすく“あやかしさん”と呼び、様々な“あやかしさん”情報を紹介しています。

今回の“あやかしさん”は日本でジワジワと人気となったエジプトの「メジェド」。

「これカ～ワイイ～！ゆるキャラみたい」と話題になり、マンガやゲームのキャラクターに起用され、キャラクターグッズとしてもブレイクした古代エジプトの神（？）「メジェド（Medjed）」いったいコイツは何者？

頭から被った寸足らずの布からはみ出た2本の足、顔の部分に目と眉毛。時にはハチマキかバンダナか熨斗袋の水引のようなものを巻いた謎の存在メジェド。オバQ、ニョロニョロ、ハロウィンのオバケを彷彿させるコミカルな風貌は古代エジプト人の落書と思われても不思議ありません。

2012年に日本で開催された古代エジプト展で壁画に描かれていた奇妙な姿が注目されメジェド人気に火が付いたようです。当時は日本各地のご当地キャラブーム。キモカワ、ブサカワが人気を集めていたおかげといっても過言ではありません。確かに人気のゆるキャラとどこか共通点があるような…もしメジェドをゆるキャラと位置付けるなら、最近のポッと出とは格が違います。遥かなる時を超え再び降臨したゆるキャラ界のレジェンドでしょう。

★メジェド　プロフィール★

国籍　　　　　エジプト

名前の意味　　「打ち負かす者」

誕生　　　　　おそらく紀元前900年以前

住所　　　　　オシリス神の家

身長　　　　　37m

特技　　　　　目からビーム、火を吐く、空を飛ぶ

好物　　　　　死者（罪人）の心臓

チャームポイント　眉と瞳　時々、おしゃれバンダナ

メジェドは古代エジプトの「死者の書」グリーンフィールド・パピルスの17章に数多く記されている奇妙で曖昧な神々の１つです。

壁画では著名な神々に並び普通サイズに見えますが実は全長37mとデカイ。たとえるなら、平均身長50m前後のウルトラマンより少々小ぶり。ウルトラマンの中で比較的小柄な40ｍのウルトラの母とだいたい同じくらいです。巨大なシーツを被り目から光線、口から火を吐き敵を退治して空に飛び去る“ウルトラマン・メジェド”を想像してみて下さい。

実はメジェドは通常姿が見えません。かなりのスペースを取る巨大な見えない存在が家の中をウロウロ。オシリス神の館がとてつもなく広いとはいえ正直邪魔です。

にもかかわらず、そんなメジェドをオシリスが家に置いているのは、当然それなりの

メリットがあるから。

冥界の神オシリスは死者を審判し罪の重さによって、しかるべき死後の世界へ割り振る事が仕事です。そのため、逆恨みしたり審判の邪魔や悪さをしたり、媚びを売りに来る輩もいます。

メジェドはそんなヨコシマな魂や悪魔を敵とみなし目からビーム、口から炎で撃退し

大好物の心臓だけをムシャムシャ食べ、残った肉体を分解し分別します。また、自由に空を飛びナイル川を巡回し氾濫や危機を知らせます。オシリス家のホームセキュリティ＆エコ担当として大変お役立ちというわけです。

メジェドについて今わかっているのはここまで。善か悪か？神なのか“あやかし”なのか？本当は中の人（神）がいるのか？被っているのは布かツボか？所説ありますが、見た目通り謎のベール（布）に包まれています。

エジプトの壁画は神々や動物の姿は殆ど横向きで描かれています。これは片側が現世、もう片側が来世という古代エジプトの死生観。しかし、何故かメジェドだけは常に正面を向いて描かれています。これもメジェドの謎を解くカギかもしれませんね。

日本では一躍人気者となったメジェドですが、ご当地エジプトの人々は殆ど知らない、気にも留めていないそうです。エジプトの街で「メジェドを見に来た！」と言っても却って「それ何？」と聞かれてしまうかもしれません。なぜならメジェドは王家に密かに伝わる“知る人ぞ知る特別な存在”なのです。

古代エジプト研究が進み、謎のベール（布）を剥されメジェドの隠された真の姿が解明される日が楽しみですね。