大神ゼウス君の世界神話教室
女神のコトならワシに聞け! 第11話
日本神話 アマテラスの災難②
~昼の太陽と夜の月~
世界各地の神々の物語“神話”。時代も文化も違うにも関わらず、どんな神話にも何故かよく似たストーリー、よく似た教訓を残しているものも多くあります。神様は意外と人間臭い。特に女神をみれば神々の“性質”がよくわかります。世界中の神話から女神1柱をPICK UP!
ナビゲーターはギリシャ神話の神の長にして、女性には百戦錬磨の大神ゼウス!自由奔放な女神の物語から神話の世界を覗いてみましょう。。
最初にクイズです!
Q1 アマテラスの親友、保食神ウケモチとは何を司る神でしょう?
a. 作物 b 季節 c. モノづくり
*答えはこのゼウス君の神話教室にあるよ!
ゼウス:ゼウス先生の神話教室の時間です。
今回は前回10話に引き続き、日本の最高神である太陽神「天照大御神」にまつわるお話を紹介しよう。アマテラスの多くの伝説の中から、今回はアマテラスの弟、ツクヨミとのエピソードだ。
日本の太陽神はアマテラス、月神は弟である月読命(ツクヨミノミコト)だ。月弓尊、月夜見尊、月詠命とも記され、ツキヨミとも読まれるけど、ここでは「ツクヨミ」と呼ぼう。
太陽と月の神は、世界各国の神話に必ずといっていいほど登場するが、この2柱は女と男、双子、陰と陽、など対になっていることが多い。神話によって何柱も存在する場合もあるが、ワシらのギリシャ神話では太陽神アポロン(男)と月神アルテミス(女)の双子の兄妹。古代メソポタミアでは太陽神はシャマシュ(男)月神はナンナ(女)。伝説もセットで語られることが多い。
日本神話でも太陽神アマテラスと月神ツクヨミの代表的な神話がある。
だが、これ以外に月神ツクヨミが登場する伝説はとても少ない。それはこの唯一2柱セットの伝説が関係しているのかもしれないなぁ。
それが、この伝説、名付けて「ツクヨミ君の災難」だ。
前回10話でも紹介したが、父ちゃんのイザナギからほぼ同時に生まれた、アマテラス、ツクヨミ、スサノオ。正義感が強く真面目で気丈なお姉さん気質のアマテラスにとってヤンチャな暴れん坊の弟スサノオに比べ、月のごとく穏やかで大人しい性格のツクヨミは「なんて素直で手のかからない弟でしょう」だったのだろう。
ところが、やっちまったよ…ツクヨミ君。ちょっと、ドラマ風にしてみたぞ。
アマテラス「ツクヨミ~夜まで時間あるよね?私の友達の保食神のウケモチからご飯
に誘われているんだけど、またスサノオがやらかしたから、ちょっとシバ
いてくるわ。代わりに行って来てくれない?」
ツクヨミ 「え、でも…」
アマテラス「大丈夫。気さくだし、料理は超美味しいよ~ヨロピク!」
アマテラス姉さんの命令を断り切れないツクヨミ君はしぶしぶ保食神・ウケモチの館に出かけたんだ。
ツクヨミ 「御免くださ~い。アマテラスの弟、ツクヨミです」
なんと!現れたのは気の良さそうなオジサン。かと思いきや、オバサン風女神。
ウケモチ 「あ~ら、ツクヨミさん!お会い出来て嬉しいわ~!(関西弁風)さぁさ、上がって!ご飯食べながらお話しましょ~よ。」
館に引き込まれたツクヨミ君はウケモチのマシンガントークに圧倒されながらも、美味しい料理をご馳走になったんだ。
ツクヨミ 「ウケモチさん、お料理とても上手ですね」
ウケモチ 「あらっ、アナタは褒め上手ね~。もっと作っちゃうわよ。うっぷっ、ぐ~!!」
ウケモチはツクヨミの目の前で嘔吐、それがなんと!コメに魚にお肉に!それらを使い鼻歌クッキング!ついでに、突然しゃがみ込み…プリっと遠い異国のスパイス料理?
ツクヨミ 「…マジか?この料理ってまさか…」
さすがに大人しく温厚なツクヨミ君もこの衝撃には思考が完全フリーズ!!キモイ、キショい、怒りMax!思わずその場でウケモチを切り殺してしまったんだ。
ウケモチの亡骸は家畜や魚、蚕、野菜や穀物など様々な動植物に変化していった。
慌てて逃げ帰ったツクヨミはアマテラスの部屋に駆け込んだんだが、時すでに遅し。大神アマテラスには全て丸っとスルッとお見通しだったんだ。
アマテラス「ウケモチに何したの?」
ツクヨミ 「だ、だって…」ツクヨミ君、小さな反論!
アマテラス「だっても、ヘチマもない!ウケモチは神や人の生きる糧を生み出し、
全ての命を繋いでいる尊い神なのよ!!」
我々の衣食住に関わるものは、ウケモチが頃合いを調整しながら生み出していたんだ。作物を動物が食べ排泄し、それが肥料となり、また元気な作物が育つ、そうしてまた生きる糧になる…食物連鎖だね。
アマテラス「尊い神を!私の友を!消えろ、二度と現れるな、このボケっ!!」
アマテラスはツクヨミ君を思いっきりド突き、太陽のない夜の世界にふっ飛ばしちゃったんだ。
ツクヨミ 「あ~れ~!!姉さ~んゴ…メン」
これが昼と夜のはじまり。太陽が地平に去るまで月は現れない。ツクヨミ君は夜にならないと姿を現せなくなってしまったのです。
その後、アマテラスはウケモチの身体から変化した穀物の種を集め、田畑を作り生きる糧にするようにと民に分け与え、ヒトは衣食住を自ら作り出すようになりました。
…というわけで、冒頭のクイズの答えは a作物。
時々、昼間にうっすらと控え目に月が姿を現すよね。夜の国からツクヨミが姉の姿をコッソリ見に来ているのかもな。数少ない月にまつわる神話でも姿を隠し見守るツクヨミの姿がある。
アマテラスちゃん、健気な弟さんじゃないの!そろそろ許してあげてよ~
ジャンル | エンタメ・カルチャー |
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掲載日時 | 2022/3/5 16:00 |
本業はTV番組・イベントなどキャスティングP
音楽業界、芸能界、TV・ラジオ・イベント業界などを経て、現在に至る。
仕事の中で知り合った多くの人から不思議な話をたくさん聞き、不思議な事に
巡り合ううちに“不思議なモノ”や“目に見えぬものが”大好物に!
それらを伝えていこうと執筆している。
得意ジャンルは神話、伝承、歴史、天文、色彩、スピリチュアル、どうでもいい雑学。
趣味はイラストレーション、読書。
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