あやかし、もののけ、ホントにいるの?
<~時を駆け抜ける九尾の狐 前半~>
地球・あやかし紀行
不思議な現象、幽霊、妖怪、未確認生物をまとめて、親しみやすく“あやかしさん”と呼び、様々な“あやかしさん”情報を紹介しています。
今回の“あやかしさん”は九尾の狐。アジアを中心に何度も美女の姿で現れ、時代をかきまわした、オイタが過ぎる尻尾が9つある恐ろしい狐です。
九尾の狐は前後半にわたり、前半ではアジア各地でやらかしたお話を、そして後半では日本の玉藻の前のお話から九尾の狐の最期?を紹介します。
九尾の狐は紀元前から東アジアを中心に各地に出現し、相当やらかしています。
美女に姿を変えた九尾の狐は中国、インド、ベトナム、朝鮮などに数百年ごとに出現し、ほぼ手口は同じ、帝や皇帝など権力者にハニートラップをしかけ、骨抜きどころか人も国も窮地に追いやるとんでもない“あやかしさん”さんです。
まずは前半、九尾の狐の美女七変化です。
*妲己(だっき)
最初に九尾の狐が現れたと思われるのが紀元前の中国「殷」という国。
妲己(だっき)という名で王の寵愛を受けます。どうやら、王のお妾さんを殺してそれに取り憑くという、妖怪の定番、手っ取り早い憑依の手口です。
妲己は大勢の人をいたぶって殺します。殆どゲームのように、どう転んでも死というヒドイ殺害方法です。あまりのやり方に家臣が密かに妲己殺害を計画しても、妖怪女狐には歯が立たす却って返り討ち。家臣が「やり過ぎです、止めさせて下さい」と王に進言しても、妲己は王を操りチクった家臣をも虐殺してしまいます。もう、手が付けようがありません。誰一人として王の味方はいなくなります。そんな時、敵国である周の武王が攻めてきます。さすがに兵が一人もいない王と妲己に勝ち目はありません。王は自害、妲己は殺されてしまうのです。こうして、妲己=九尾の狐によって殷は滅亡となります。
*華陽婦人(かようふじん)
殷が滅びた約700年後、九尾の狐はインドの班足太子のご寵姫・華陽婦人として現れます。贅沢三昧、やりたい放題!太子を操り何千人の首をハネ放題。家臣たちも「あの女、ヤバいって」と思ってはいたものの、何の術もなく、見ているしかありません…。
ある時、庭に狐が迷い込み太子は華陽婦人にイイトコ見せようと、弓でチョイと狐を射てみたところ…「痛った~い!何すんの?!」と何故か後方で見ていた華陽婦人が倒れてしまいます。とりあえず、医者を呼んで診察してみると…「これ人間じゃないです」と正体がバレてしまいます。もう、逃げるしかありません。華陽婦人はドロンとキツネに姿を変えて空を飛んで逃げたとか…
*褒姒(ほうじ)
それから月日が流れ、九尾の狐は妲己時代に殷を滅ぼした武王から12代後の周の時代に現れます。所説ありますが、褒姒は幼女として現れ、養父母に育てられ美しく成長し、頃合いよく後宮入り。王である幽王のハートをわし掴み。寵姫となり幽王の子まで産みます。ただ、どんな時も褒姒は笑わない女でした。たまたま、間違って上げてしまった敵襲来の狼煙に慌てて右往左往している家臣の姿を見て、何故かツボにハマったのか?褒姒は初めて幽王に笑みを見せます。「わ、笑ってる♡」と幽王は萌えます!バカの1つ覚えのように幽王は暇さえあれば何度も狼煙を上げます。その度に褒姒がケラケラ笑うので、幽王は立場も忘れほぼ狼煙屋さん状態。これも全て褒姒の計画通り、九尾の狐の妖力です。当然、家臣からの支持率はダダ下がり。さらに本来の皇后と皇太子を更迭し褒姒とその子にその地位を与えたので、もっと反感を買い家来は誰もいなくなってしまいます。
ここまで来たら結末は1つ。内乱が起こり国は荒廃、そこに他国の襲来で国は崩壊。幽王は殺害され、褒姒は敵国の捕虜となったと伝えられていますが、その後の消息は詳しく語られていません。
この他にも韓国では九尾狐(クミホ)と呼ばれ、1000人の男の肝を食べれば人間になれると、美少女の姿で男を誑かした妖怪として語られています。また、ベトナムのハノイのタイ湖に棲みつき、真武大帝(釈迦の弟子)が命を張って退治したという伝説もあります。
アジアの各地で九尾の狐は男を惑わし、人々を残虐し、国を亡ぼす恐ろしい妖怪。倒しても倒しても何度でも現れ国を掻きまわします。蘇るのか?再生するのか?どうやら死んではいない様子。このままでは未来が危ない!九尾の狐には弱点や寿命はないのでしょうか?
何千年もの間、東アジアに大旋風を起こした九尾の狐は、いよいよ海を渡り日本に上陸。それは後半でご紹介しましょう。
ジャンル | エンタメ・カルチャー |
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掲載日時 | 2021/4/20 16:00 |
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