トランペットにはボタンが3つしか無いのに、どうしてたくさんの種類の音程が出せるの?
筆者は中学で吹奏楽部に入部しました。その時、最初に疑問に思ったのがこれです。
トランペットのボタン(ピストン)には、音程を下げる役割があります。
管楽器は基本的に、管が長いほど音程が低くなるのです。ピストンを押して空気の通り道を変え、長い方の管に空気を迂回させることにより音程が下がります。
ピストンごとに「マイナス2」「マイナス1」「マイナス3」と音程の下がり幅が異なりますので、0からマイナス6までの7通りの音程を出すことが出来ます。
しかし、実際には明らかにもっとたくさんの音が出ています。何故でしょう。
その秘密は、「倍音」にあります。
音には、倍音という成分があります。音の高さは「周波数」という値で決まるのですが、周波数が2倍になると音程が1オクターブ上がるのです。4倍で2オクターブ、8倍で3オクターブです。もちろん、3倍や5倍の音もあります。
このように、周波数が元の値の整数倍になる音のことを「倍音」と呼びます。
実は、トランペットのような金管楽器は、唇の状態や息のスピードを変えることにより倍音を吹き分けることが出来るのです。つまり、ピストンを全く操作しなくても何種類かの音程を出すことが出来るということになります。
理論的には10倍でも100倍でも無限に高い音が出せますが、通常は2倍から8倍くらいまでが限度です。スター・トレックのテーマソング(=アメリカ横断ウルトラクイズのテーマ)で有名なメイナード・ファーガソンは、16倍までの音程を自在に操れたというから驚きです。
もともとトランペットのような金管楽器にはピストンなど無く、倍音しか出すことが出来ませんでした。しかし、そのころの楽曲は倍音だけで演奏できるよう工夫されています。
例えば、軍隊ラッパ(正露丸の曲、と言った方が分かりやすいかもしれません)の曲は、全くピストンを押すこと無く演奏できます。
限られた音程が奏でられるメロディーこそが、その楽器の雰囲気を特徴づけたりもするものなのです。
ジャンル | エンタメ・カルチャー |
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掲載日時 | 2020/3/28 16:00 |
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