日本にルーツを持つ「ロシアの民芸品」って何?
「日本の料理」と言われて、「天ぷら」や「寿司」を思い浮かべる人は多いことだろう。しかし実際のところ、「天ぷら」の原形は室町時代にポルトガルから伝わったとされているし、寿司ネタとして人気の「イクラ」はロシア語で「魚卵」を意味する言葉“ikra”に由来している。
このように、日本固有の文化であると思っていたものが、実は海外に起源を持っている……ということはままあるものだ。一方で、外国固有の文化と思われているものが、日本にルーツを持っている、という例も存在する。
その最たる例がロシアの民芸品「マトリョーシカ」だ。
木製の人形の胴体部分を開けると一回り小さい人形が入っており、その人形の胴体部分を開けると、さらに一回り小さい人形が入っており……という独特の入れ子構造で知られるマトリョーシカ。実は、はじめて作られたのは19世紀の終わりころと、比較的最近である。そのルーツは、モスクワの工房に出入りしていた職人の1人が、日本は箱根で作られた「七福神の入れ子人形」を持ってきたことにあると言われている。その「七福神の入れ子人形」をもとに、ロシア風のデザインや配色でアレンジしたものがマトリョーシカだ。
ここまで書いても、どうにも信じがたい話である。しかし、本国ロシアでは、この「マトリョーシカのルーツ日本説」を裏付けるかのようなものを見ることができる。セルギエフ・ポサードの「人形博物館」には、マトリョーシカの国産第1号とともに、箱根で作られた「七福神の入れ子人形」が飾ってあるのだ。
何をもって「自国の文化」を定義するかということは非常に難しい問題だが、このようにして歴史を紐解いてみると、思いもよらない面白い発見があるかもしれない。
※ちなみに※
「マトリョーシカ」の由来:当時のロシア人女性の名前としてポピュラーだった「マトリョーナ(Matrona)」に、親しみを表す「シカ(shka)」をつけて表したもの、とする説が一般的。
ジャンル | エンタメ・カルチャー |
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掲載日時 | 2020/3/11 16:00 |
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