ホルストが作曲した組曲「惑星」で
唯一選ばれていない惑星は?
2003年に発売された平原綾香のデビュー曲「Jupiter」の原曲に使われているのは何でしょう?
答えはグスターヴ・ホルスト(イギリスの作曲家, 1874-1934)が作曲した組曲「惑星」の第四楽章「木星」だ。この組曲は1914年から1916年にかけて作られた。
「惑星」は元々「7つの管弦楽曲」というタイトルで作曲を始めており、アルノルト・シェーンベルク(オーストリアの作曲家, 1874-1951)が1909年に作曲した「5つの管弦楽曲」から着想を得ているとされる。
また作曲当初の楽章には惑星の名前ではなく、「〜をもたらす者(the Bringer of〜)」などと名付けられていた。現在は楽章の名前とともに付いているサブタイトルになっている。楽章に惑星の名前がついたのは1918年の初演(ただし非公式、正式な初演は1920年)からだ。
組曲「惑星」の全7楽章のタイトルを並べてみると、以下のようになる。
第一楽章: 火星, 戦争をもたらす者
第二楽章: 金星, 平和をもたらす者
第三楽章: 水星, 翼のある使者
第四楽章: 木星, 陽気をもたらす者(※)
第五楽章: 土星, 老いをもたらす者
第六楽章: 天王星, 魔術師
第七楽章: 海王星, 神秘主義者
※Wikipediaなどでは「快楽をもたらす者」と説明されているが、英語表記の “the Bringer of Jollity”の “Jollity”に「快楽」の意味がないため、「陽気」とここでは訳する。
太陽系の惑星の配列を知っていると、疑問が出てくるだろう。一つは「地球が含まれていないこと」、もう一つは「水星と火星の順番が逆になっていること」である。
まず地球が含まれていないのは、この組曲は天文学ではなく占星術に基づき構成されているからだ。西洋の占星術には太陽・月・水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星の守護星があり、その中には地球はない。ちなみに太陽と月は惑星ではないため除外されており、1930年に発見された冥王星(当時は惑星と認識)についてホルストはそのための追加曲を発表せずに亡くなっている。
そして水星と火星の順番が逆になっているのは、前述した占星術と音楽構成の二説が有力とされている。西洋占星術の黄道12宮の守護星を白羊宮(牡羊座)から始まる順番に並べると、守護星の配列が楽章の並びに則っている。また急な音楽構成の後は、緩やかな方が聞きやすいため、水星の順番が後になったともいわれている。しかしいずれも推測のため確実な答えではない。
今でこそホルストを代表する「惑星」だが、人気が強い故に他の曲が着目されなかったので、ホルスト自身はこの曲を傑作としてとらえていなかった。ちなみにホルストが「惑星」の中で気に入っていた楽章は「土星」である。
ジャンル | エンタメ・カルチャー |
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掲載日時 | 2020/7/31 16:00 |
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