「アクタガワ」「ホクサイ」といったクレーターがある太陽系惑星は?
満月を望遠鏡でのぞいてみると明るく白っぽい部分と暗く黒っぽい部分が観察できる。明るい部分に着目すると円に近い楕円形状のでこぼこした地形が見えるだろう。
それがクレーターだ。
クレーターはある天体(惑星・小惑星・微惑星・隕石など)に別の天体が衝突してできた、丸く連なった山脈に囲まれた平坦な地形である。
クレーターは主に岩石や金属で構成されている天体によく見られる。この地球にもクレーターはいくつか存在し、恐竜の絶滅のきっかけを作ったとされているチクシュルーブ・クレーター(メキシコ)が代表例だ。
ここでクレーターを含む地形の命名について説明しよう。
地球以外の天体(主に惑星や衛星)の表面上に新しい地形(クレーター・山脈・谷など)や特徴物が発見されると、惑星システム命名ワーキンググループ【国際天文学連合(IAU)の下部組織】が議論を重ねた中から適切な名前をIAUに提案する。IAUからの承認がおりれば、地形の名前が決定される。
天体の地名に際して「政治的、宗教的、軍事的な意味を持つ名前は不採用」や「地形の規模が100m未満のものは不採用」など制約が多く存在する。クレーターにおいては、規模が大きいと既に亡くなっている科学者、学者、芸術家の名前から、小さいと一般的な名前からとる規約などがある。
月に存在する大きいクレーターの中にはニュートン、パスカルやピアリーなど偉人の名前がある。日本人の名前に由来するクレーターも存在する。
例: ナガオカ(長岡半太郎, 物理学者)・ヒラヤマ(平山清次と平山信, 天文学者)など
水星、金星、火星に存在するクレーターの名前にはユニークな法則がある。
水星は著名な作家、芸術家や音楽家から、金星は著名な女性や各言語の女性名称から、そして火星は直径60km以上だと著名な科学者やSF作家、未満だと地球上の地名から名前を取っている。
水星の代表例はベートーベン(ドイツの音楽家)、ディズニー(アメリカのアニメーター)、ドストエフスキー(ロシアの作家)、アクタガワ(芥川龍之介)、ホクサイ(葛飾北斎)、ムラサキ(紫式部)などが挙げられる。
金星にはカーソン(レイチェル・カーソン, アメリカの女性生物学者)、ポター(ビアトリクス・ポター, イギリスの絵本作家)、アキコ(与謝野晶子)、ヒミコ(卑弥呼)などのクレーターが存在する。
火星のクレーターにはカッシーニ(イタリア出身のフランス天文学者, 月にも同じ名前が存在する)、アシモフ(アメリカの SF作家)、オホーツク(ロシアの地名)、カゴシマ(鹿児島市)、ツクバ(つくば市)などがある。
今回紹介したクレーターは一部にすぎない。衛星や小惑星にも名前があるクレーターは存在する。名前を調べることで宇宙だけでなく世界の偉人、地理や神話などに興味を持ち出し、面白く楽しい世界観が広がるだろう。
ジャンル | 科学 |
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掲載日時 | 2020/5/24 16:00 |
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