大気の主成分が窒素である太陽系衛星は?
地球の大気の約78%は窒素、約21%は酸素でできている。
しかし惑星としてできあがったばかりの地球の大気は、活発な火山活動による水蒸気が主成分だ。窒素、二酸化炭素や塩素などは微量含まれていたとされる。
その水蒸気が冷えて雲が出来上がり、水の雨が地表に長時間降りそそいでいった。
そして地表が陸と海に別れて、海の中で生命が生まれる。
長い時間をかけて海から陸へと上がっていった生命体は、酸素を作り出すような構造を生み出し、やがて大気中に酸素が増えていく。
したがって現在の地球大気の窒素は原始由来であるのに対し、酸素は生命由来のものといえよう。
太陽系には地球以外にも、大気の主成分が窒素である天体がもう一つある。
それが土星の第6衛星かつ最大の衛星である、タイタンだ。
その地表大気圧は約1.5倍と大きく分厚い。
また地球の大気で2番目に多いのが酸素であるのに対し、タイタンはメタンが2番目に多く含まれている。
タイタンの大気中には地球大気には見られない複雑な分子ガス(シアン化水素、プロパンなど)が存在しているが、これは窒素とメタンを起点とする複雑・多様な化学プロセスによるものなのだ。
この化学プロセスを解き明かそうとしているのが、現代の惑星科学の重要なトピックの一つにもなっている。
ここで地球以外の太陽系天体の大気について解説しよう。
水星には大気がほとんどなく、わずかにナトリウムやカリウムがあるのみ。
金星と火星の大気主成分は二酸化炭素で、いずれも95%以上の割合を占めている。
木星・土星・天王星・海王星の大気は水素が占めている。ただし木星と土星はガス惑星なので大気が多いのに対し、天王星と海王星は氷惑星なので大気は少ない。
月には水星と同様に非常に希薄なナトリウム、カリウムの大気が存在しているが、これは水太陽風と紫外線が地表に当たって放出された原子と考えられている。
木星の衛星であるエウロパやガニメデには酸素大気が確認されているが、こちらも非常に薄い。また海王星の衛星・トリトンや準惑星である冥王星にはわずかな窒素大気が存在している。
天体の大気を解析し、化学プロセスを解明していく研究はまだ続いている。興味がある方はぜひ研究室に一歩踏み出してみては?
ジャンル | 科学 |
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掲載日時 | 2022/2/22 16:00 |
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