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地球衝突する可能性がある「ベンヌ」とは?

2021年8月10日。太陽系に関する多くの研究を取り扱っている学術誌「Icarus」に、ある論文が掲載された。

論文では「現在から西暦2300年までにベンヌが地球と衝突する確率が従来より上がった」ことが述べられている。これはNASAの科学者たちが小惑星探査機「オシリス・レックス」のデータに基づいたベンヌの軌道から導出されたものだ。

今回はこのベンヌについて説明しよう。

 

ベンヌとは地球に接近する軌道を持つ小惑星の一つで、その大きさは平均直径が約500mである。その形状は回転して遊ぶコマ(独楽)に似ており、表面にはデコボコした岩石が存在している。

初めて発見されたのは1999年9月。アメリカ空軍、NASAとマサチューセッツ工科大学のリンカーン研究所による共同プロジェクトのLINEAR(リンカーン地球近傍小惑星探査)で見つかった。

ちなみにベンヌはエジプト神話に登場する不死鳥から名前をとっており、太陽神とも深い関わりがある神鳥とされている。(※1)

またベンヌの地形にはNASAの提案により「神話上の鳥または鳥に似た生物」の名前をつけることになっており、オシリス・レックスがベンヌの着地地点候補(※2)として挙げた4つの場所にはエジプトにいる鳥の名前をつけている。

※1…ベンヌはヴェーヌとも発音されており、遊戯王カード「輝神鳥ヴェーヌ」のモチーフにもなっている。

※2…4つの着地地点候補にはNightingale(サヨナキドリ)・Kingfisher(カワセミ)・Osprey(ミサゴ)・Sandpiper(シギ)の名前がつけられており、結果的にNightingaleが第一ターゲットとなった。

 

ではベンヌが地球と衝突する確率は幾つなのだろうか。

研究チームが算出したものによると、およそ1750分の1となる。パーセンテージで表すと0.057%(小数点第4位以下切り捨て)だ。

少なくとも今から300年に地球にぶつかることはほぼなく、衝突したとしても大量絶滅するほどではない。

ただしその威力はTNT(トリニトロトルエン)火薬11億t以上で、街や国にとっては大打撃となるだろう。

0.057%を不安と感じるか感じないかはあなた次第です!

 

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横浜のフリークイズライター
マジー田中
1991年生まれ。大阪府生まれ奈良県育ち。現在は横浜在住。
2011年に大阪大学理学部に入学。大阪大学クイズ研究会(OUQS)と大阪大学天文同好会に入り、4年を過ごした。
2015年に大阪大学卒業後、大阪大学大学院理学研究科に進学。惑星物質学研究室に配属。
2017年に修了後、千葉大学大学院博士課程に進学したが、2019年夏に中退しカヤックに秋入社。2021年にカヤックを退職。
現在はクイズ・謎解き集団Raiseのクイズライターで活動中。

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