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細菌学者フレミングの発見に関わった偶然とは?

前に2000年にノーベル化学賞を受賞された白川英樹先生の発見に関する偶然(セレンディピティ)を紹介しました。

今回も科学史上の発見に関わる偶然を紹介したいと思います。

 

今回はスコットランドの細菌学者アレクサンダー・フレミングについて紹介したいと思います。

フレミングはリゾチームとペニシリンという現在でも使われる2つの物質を発見しました。

アレクサンダー・フレミング
アレクサンダー・フレミング(1888-1955)の記念切手

リゾチームは食品添加物や医薬品として使われる物質です。これは人間では涙や唾液に含まれ、鶏の卵などでは卵白に含まれています。

リゾチームは細菌の細胞壁に含まれている多糖を分解するなど生体防御に関わる酵素です。

これをフレミングはどのように発見したのでしょうか。

 

ある日フレミングは風邪をひいていました。彼は細菌を培養しているシャーレを取り扱っていた際、誤ってくしゃみをし、シャーレの中に鼻水を落としてしまいます。

この鼻水が落ちた部分に細菌が発育していないことを彼は発見しました。

もし彼がシャーレにくしゃみをしていなかったらリゾチーム発見は遅れていたかもしれません。

 

さらにリゾチームが発見された何年か後、フレミングは抗生物質のペニシリンを発見します。

ペニシリンは細菌の増殖を抑える、世界初の抗生物質です。副作用が比較的少なく、現在も医療で使われています。

村上もとか先生の漫画およびそれを原作とするドラマ『JIN-仁-』で知った方も多いと思います。

これをフレミングはどのように発見したのでしょうか。

 

1928年、フレミングは家族と別荘に休暇に出かけていました。休暇が終わり実験室に戻ってきた彼は黄色ブドウ球菌を培養していたシャーレにアオカビが生えているのを見つけました。

彼はもともと実験室を整理整頓せずに休暇に出かけることが多く、研究室にカビが繁殖しやすい環境をしばしば作っていたそうです。

そのアオカビの周囲には黄色ブドウ球菌が生えていませんでした。

このことからアオカビには最近の増殖を抑える物質を産生することができるのではないかと考えました。

もし彼が整理整頓をして休暇に出ていなかったらペニシリン発見は遅れていたかもしれません。

 

フレミングがこれらの物質を発見できたのは偶然という点もあると思いますが、やはり実験を失敗したとしてもそこから新しい発見を行うことができる着眼点に優れていたと思います。

自分が失敗したと思ったことでも視点を変えてみることが大切なことかもしれません。

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某大学クイズ研究会所属の大学生
加賀

某大学クイズ研究会所属。

 

私が伝えた知識を吸収し、クイズに役立ててほしいです。

大学では自然科学について勉強しており、歴史好きというのも相まって科学史が得意です。

日本科学史、生物学史、元素といったジャンルの記事を書きます。

元素検定2級を持っています。現在1級取得に向けて勉強中。

 

加賀という名前ですが、石川県には1度しか行ったことがないです。

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