物体が太陽系を高速移動するには?
2007年から2009年に渡ってTVで放送されていた「機動戦士ガンダム00」。その作品に登場する「軌道エレベーター」というものをまず解説しよう。
軌道エレベーター(別名: 宇宙エレベーター)とは宇宙空間と地上世界を繋いだエレベーターで、物体や人間を搬送する架空の建造物だ。
ただし地球で軌道エレベーターを作る場合、その宇宙空間は赤道上空の高度が約3万6千kmの円軌道の空間を指している。
もし現実世界に軌道エレベーターがあるとして、エレベーターで繋いでいる宇宙ステーションのような建造物にたどり着くまでどのくらい時間がかかるのだろうか。
エレベーターの昇降速度が時速約200kmなので、距離を時速で割ると片道180時間つまり7日半かかる。
一週間以上もかかる片道切符だが、上昇するほど重力の影響が小さくなり遠心力も作用するため、エレベーター利用者が感じる重力が小さくなりついには無重力になる。
もし実現できたら興奮が止まらないほどワクワクなものになるだろう!
では本題に入ろう。
2020年にベオグラード天文台(セルビア)とカリフォルニア大学サンティエゴ校(アメリカ)らの研究チームが「物体が太陽系を高速移動できるルートの発見」を発表した。
そのルートは宇宙多様体と呼ばれる目に見えない構造の内側でアーチ状をしており、各々の惑星が独自の多様体をなして作り上げられている。
研究チームはそのルートを「セレスティアル・アウトバーン」(和訳すると「天体の高速道路」)と名付けた。
研究チームが観測データとシミュレーションデータの解析に基づき、この「高速道路」を発見したのだ。
この「高速道路」を活用することができれば、より遠く離れた場所に宇宙探査機を送れることやNEO(地球近傍天体, 地球に接近する軌道を持つ天体)の研究やモニタリングへの貢献が期待されるとのこと。
その典型的な例が木星とその強い重力に関連したもので、平均約38年で天王星との距離に到達できる。木星と天王星との距離は約15天文単位(1天文単位=149,597,870,700m)なので計算すると平均時速約6741km。軌道エレベーターの33倍以上もの速さになる!
近未来でこの「高速道路」をいかに活用できるのか、今後の展開を楽しみに待とう!
ジャンル | 科学 |
---|---|
掲載日時 | 2021/6/23 16:00 |
クイズに関するニュースやコラムの他、
クイズ「十種競技」を毎日配信しています。
クイズ好きの方はTwitterでフォローをお願いします。
Follow @quizbang_qbik