米国で「バイオテクノロジーの父」と呼ばれる高峰譲吉ってどんな人?
みなさんは高峰譲吉という科学者を知っているでしょうか?
実はこの人、様々な功績を残した偉大な科学者なのです。
では、どのような功績を残したのでしょうか?
高峰譲吉は現在の富山県高岡市で生まれ、幼少期を現在の石川県金沢市で過ごしました。
このため、高岡市の「たかしん高峰記念館」や金沢市の「金沢ふるさと偉人館」で高峰譲吉にまつわる展示を見ることができます。
その後、長崎や京都、大阪、東京などで英語や化学などを学びイギリス留学をします。
イギリスから帰国後、農商務省に入省し、その翌年、米国ニューオーリンズ万博に派遣されます。
そこで高峰は後に妻となるアメリカ人のキャロラインと出会います。これをきっかけに高峰は日米親善に貢献します。
その後、アルコール発酵や麹を研究する過程で強力なデンプン分解酵素を発見し「タカジアスターゼ」と名付けました。
現在「タカジアスターゼ 」という商品名の市販薬はありませんが、タカジアスターゼは、高峰の考案した原理に基づいて現在でも製造され、消化剤の原料として使われています。
そして最も有名な業績として「アドレナリンの単離」が挙げられます。
アドレナリンは高校の生物基礎などでも学習する、副腎髄質から分泌されるホルモンです。
日常生活でも「興奮状態でアドレナリンが出る」などの表現を聞くことがあると思いま
す。
1890年後半ごろ、欧米では動物の副腎の成分に血圧上昇作用や止血作用があることが知られていました。
この成分を利用するため、原因物質の純粋な結晶を手に入れようと様々な国が研究を進めていました。
そのためアメリカのパーク・デービス社は、タカジアスターゼ発見の功績を持つ高峰に副腎抽出液の有効成分複製を依頼します。
高峰は、この分野に明るい上中啓三という研究者と共にこの依頼に取り組みます。
そして1900年7月21日、2人はアドレナリンを結晶化し単離することに成功しました。
(ちなみに、コトバンクなどで、アドレナリンは1901年に単離・結晶化などという記述が見られますが、正しくは1900年です。これは上中が記した実験ノートから分かっています)
100年以上を経た現在でも現役で使用されている医薬品はタカジアスターゼ(厳密にはタカジアスターゼと同じ方法で作られる複合消化酵素)、アドレナリン、アスピリン(解熱鎮痛剤)の3つしかないそうです。
このうち2つが日本人によるものなのですね。
高峰譲吉の業績は他にも日本での人造肥料の導入、日本でのベークライト(プラスチックの一種)の事業の導入、アルミ工業の発展、理化学研究所創設の提唱などがあります。
このような偉大な業績を残した日本人がいるということを知ってもらいたいです。
ちなみに、現在の千円紙幣の肖像は野口英世、2024年からの新千円紙幣の肖像は北里柴三郎ということで、科学者が続いています。
このことから北里の次の千円紙幣も科学者だと予想されます。私は高峰譲吉が千円紙幣になると予想しています…!
ジャンル | 科学 |
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掲載日時 | 2021/1/23 16:00 |
某大学クイズ研究会所属。
私が伝えた知識を吸収し、クイズに役立ててほしいです。
大学では自然科学について勉強しており、歴史好きというのも相まって科学史が得意です。
日本科学史、生物学史、元素といったジャンルの記事を書きます。
元素検定2級を持っています。現在1級取得に向けて勉強中。
加賀という名前ですが、石川県には1度しか行ったことがないです。
写真は福島県に旅行した時撮影した鶴ヶ城です。
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