仏教研究者でもある、日本の○○研究の第一人者とは?
現代の僧侶には私のように兼業の者も多い。
医師や弁護士のような難関資格を持ち、それと並行して勤めている人もいるし、知っている同業者を見回しても画家や陶芸家だったり複数の外国語が堪能だったりと、なかなかエッジの利いた才能を持つ者もいる。
しかしながら、古代の高僧などを見ると、これらに建築士、弁理士、文学博士などを加えつつ、プロスポーツ選手ばりの体力と根性に加え、何なら見た目も麗しいなどという、とんでもない超人だったりする。何物を与えられているのだろうか。
話が少々逸れたが、逆に他の分野の専門家が仏教の研究を行い、論文や書籍を発表しているケースもある。国文学や史学などならそこまでかけ離れたイメージもなく納得がいくだろうが、今回は専門分野の実績も素晴らしく、なおかつ仏教のイメージがなさそうところからの意外な人物を紹介させていただく。
東京工業大学名誉教授であり、日本のロボット研究の第一人者とも称される森政弘先生がその人である。
人工心肺や人工筋肉といった研究でも有名だが、現在ではテレビでも取り上げられるような日本のロボットコンテストは、森先生が創始者ともいわれる。
他にもクイズ界隈では有名なのかもしれないが、ロボットが人間の容姿に近づいていくほど親近感が増していくのだが、ある一定の度合いに到達すると突然強い嫌悪感に変わるという「不気味の谷現象」の提唱者でもある。
このような理系の一分野で頂上にいながら仏教の研究者としても名高く、『仏教新論』など複数の仏教研究の書籍を出版している。
しかも、おそらく普通に考えれば接点がないであろうロボット工学と仏教を結びつけた『ロボット工学と仏教』という本も出版している。
これはロボット技術と人間の関係性について研究している上出寛子先生らとの往復メールを書籍化したものだが、講演のテーマとして「唯識論とロボット」を提案したり、『法華教』について紹介したりと、なかなかに興味深い内容となっている。
ちなみに森先生は1927年生まれ、2020年で御年93歳である。釈尊も80歳までと、当時としては相当な高齢になるまで布教を行われた。ぜひとも長生きをしていただき、少しでも境地に近づいて欲しい次第だ。
(編集部追記)
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ジャンル | 科学 |
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掲載日時 | 2020/10/18 16:00 |
学習院大学文学部史学科卒
大正大学大学院仏教学研究科浄土学専攻修士課程修了
高校・大学は剣道部、前職は中学・高校の社会科教員。クイズ作家としてはクイズ研究会やサークル所属経験のない異色の経歴。クイズ番組は好きだったが、プレイヤーとしての経験はアーケードゲームのみ。
僧侶としても、仏教系大学に大学院のみ在籍という極少数派。
有限会社セブンワンダーズ入社後は僧侶とクイズ作家の兼業で活動。法話にもクイズ作成で得た知識や要素を取り入れ、独自性のあるものを展開しているほか、寺院での「仏教クイズ」も企画している。
好きなジャンルは仏教、世界史、サッカー。
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