月以外で、地球の一時的な衛星として観測された天体は?
以前、地球には月が唯一の衛星であることを紹介した。
しかし一時的ながら、月以外の地球の衛星があることをご存知だろうか?
その存在を知ったのは実は最近だ。それもそのはず。今年(2020年)2月末日に「一時的な第2の月」というWeb記事が公開されて知ったのだから。
しかしよくよく調べると、その天体が初めての「一時的な第2の月」ではなかったのだ。
順序を追って説明しよう。
2006年9月にアメリカ・アリゾナ大学の月惑星研究所で行われているカタリナ・スカイサーベイ(地球近傍の天体観測を主目的としているプロジェクト)が、地球を周回している天体を発見した。発見当初は人工衛星の残骸などの人工物と思われていたが、軌道変化の計算などを行なった結果、天然由来の天体であることがわかった。
この天体はもともと太陽の周りを回っていたが、2006年9月から2007年6月まで地球を回った後、地球を離れ再び太陽を周回した。
発見から2年後の2008年に、この天体を「2006 RH120」と名付けることが決まった。次に2006 RH120が地球に最接近するのは2028年8月または10月と推定される。ただし再び地球を周回するかは不明…。
そして今年(2020年)の2月。カタリナ・スカイサーベイが新たに地球を周回する天然由来の天体を発見。それが「2020 CD3」。この天体は2016〜2017年の間に地球に最接近し、その後およそ3年間にわたり地球を周っていることが研究で分かった。ただし前述の2006 RH120の軌道が不安定だったのと同様に、この2020 CD3も不安定性を持っている。そのためシミュレーション結果によると今年の半ばごろに地球を離れるとのこと。従って2020 CD3は地球の一時的な衛星というポジションに落ち着いたのだった。
地球を離れてからは太陽を周回し続け、地球に再び近づくのは計算によると2044年3月ごろ。その場合、接近距離が長く地球の重力で周回する可能性は非常に低いらしい…。
今回紹介した2つの天体は直径数メートルで、月と比べて非常に小さく「ミニムーン」と呼称されている。他にも地球の付近に近づく天体は複数存在しており、地球の重力で一時的な衛星になる可能性は0ではない。あまりに接近しすぎて衝突しないことを祈りつつ、新たなTemporary satellite(一時的な衛星)が来ることを願う!
ジャンル | 科学 |
---|---|
掲載日時 | 2020/9/6 16:00 |
クイズに関するニュースやコラムの他、
クイズ「十種競技」を毎日配信しています。
クイズ好きの方はTwitterでフォローをお願いします。
Follow @quizbang_qbik