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液体の水が存在する天体は地球だけ?

地球

太陽系の中で地球は「奇跡の惑星(ほし)」といわれている。地球には水が存在するからだ。

水素と酸素の化合物であるH2Oは水蒸気(気体), 水(液体), 氷(固体)の3つの状態で構成されているのが一般的である。

地球上には水が豊富に存在しており、その重さは約135京(けい)トンである。

※兆より4桁大きいのが京

その約97.5%が海水で残りの約2.5%は淡水である。特に生命体にとって液体の水は必要な物質である。

 

それでは本題に入るが、太陽系で地球のみが液体の水を保有している天体なのか?

答えはNO。

地球を除いた太陽系の中で液体の水が観測されている天体はエウロパ・エンケラドスで、ガニメデ(木星の衛星の一つ)・冥王星やセレス(準惑星)などは保有している可能性を示唆している。

また金星は現在ないものの表面地形の観測などから、過去に液体の水が存在していたと推察されている。一方で火星は固体の氷が確認されているため液体の水もあるとされるが、まだ確実に至っていない。

 

液体の水が確認されているエウロパとその根拠を説明しよう。

エウロパは木星の第2衛星で、発見されている木星の衛星の中では内側から6番目を公転している。その主成分はケイ酸塩岩石で、鉄-ニッケルの金属核を持ち、氷で覆われている。

2012年にハッブル宇宙望遠鏡が撮影したエウロパの画像を解析すると、南極付近から水蒸気が噴出している様子が観測された。同様の観測が2016年にも確認されている。

氷で覆われている表面から水蒸気が出ている現象から、広大な液体の水(海)が隠れている可能性が出てきた。

1995年から2003年まで木星を巡回していたガリレオ探査機が撮影したエウロパのデータを2018年に改めて分析すると、水蒸気の噴出が発見された。

また2019年には国際的な天文学者チームが、直接エウロパの大気中に水蒸気があることを確認した。以上の数多くの根拠からエウロパには液体の水があると認識された。NASAはさらなる確証を得るため、2025年に実地探査機打ち上げを計画している。

 

エンケラドスについては過去の記事(「地球以外で火山活動をしている太陽系天体は、主に何を噴出している?」)で紹介されているため、大きい説明は割愛する。

※補足説明: エンケラドスは主に水蒸気を噴出している氷火山に対し、トリトンは主にアンモニアを噴出している。

 

前述したガニメデ・冥王星・セレスなどは観測例が少ないため可能性が示唆されているにとどまっている。しかし観測例が増えれば確実性は高くなるだろう。

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横浜のフリークイズライター
マジー田中
1991年生まれ。大阪府生まれ奈良県育ち。現在は横浜在住。
2011年に大阪大学理学部に入学。大阪大学クイズ研究会(OUQS)と大阪大学天文同好会に入り、4年を過ごした。
2015年に大阪大学卒業後、大阪大学大学院理学研究科に進学。惑星物質学研究室に配属。
2017年に修了後、千葉大学大学院博士課程に進学したが、2019年夏に中退しカヤックに秋入社。2021年にカヤックを退職。
現在はクイズ・謎解き集団Raiseのクイズライターで活動中。

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