地球以外で火山活動をしている太陽系天体は、主に何を噴出している?
地球上には火山が複数存在する。その数は地表より海底の方が多い。
二酸化炭素や水蒸気などを主成分とする噴煙や、ケイ酸塩(SiO2, シリカ)を主成分とする溶岩などが主に地球上の火山から噴出される。
しかし活発な火山活動を見られる太陽系の天体は地球だけではない。
地球以外で活動を観測できる天体は3つある。
それはイオ、トリトンとエンケラドスだ。
イオは木星の衛星の一つだ。また太陽系の中では4番目に大きい衛星で、最も活発な火山活動を行っている天体でもある。
1979年にボイジャー1号が撮影した画像から活発な火山活動が初めて発見された。
その後もボイジャー2号やガリレオ探査機といった人工衛星の探査と天文学者の観測により、400以上の活火山があると推定される。
太陽からの距離が地球よりかなり離れているのになぜ火山活動が活発なのか?
それは木星を公転しているイオの軌道による潮汐力の影響といわれている。
潮汐(ちょうせき)とはある天体と別の天体(地球だと太陽と月)の引力によって起こる、周期的な表面の昇降現象だ。
木星とイオとの距離が近い時と遠い時による引力の差でイオが変形し、その変形から内部熱が生じる。その熱の外部への放出が活発な火山活動につながっている。
ボイジャーの画像分析より、イオの表面は黄・赤・白・緑・黒といった幅広い色彩をなしている。これらはいずれも硫黄の同素体や二酸化硫黄の堆積物によるものとされる。
人工衛星が撮影した複数の画像からは噴煙が観測されており、高さ500kmにものぼるものがある。またその噴煙からケイ酸塩だけでなく硫黄や二酸化硫黄が検出されている。
トリトンは海王星の衛星の中で一番大きく、太陽系の衛星の中では7番目に大きい。トリトンは海王星の自転方向に対して逆方向に公転している軌道を持っていることから、元々はカイパーベルト(海王星の軌道の外側に円盤状に広がる小天体などが密集した領域)から捕らえられた準惑星といわれている。
エンケラドスは土星の衛星の中で6番目に大きく、表面は新しめの氷に覆われているため白っぽい。
トリトンとエンケラドスの火山活動は地球やイオとは異なる。主な噴出物が溶岩ではなく、水やアンモニアといった主に液体と固体の物質で構成される「氷の溶岩」なるものだからだ。
この「氷の溶岩」を噴出している地点を、科学者たちは「氷火山」と呼んでいる。
初めて観測されたのは1989年で、ボイジャー2号がトリトンに接近した際に撮影された。また2005年に無人土星探査機カッシーニにより、エンケラドスの南極付近で間欠泉のような噴出を繰り返す活動が確認された。
氷火山についての研究は発展途上のため、分からない点がまだ多い。
天体の氷火山に対する今後の研究成果に、期待が高まる。
ジャンル | 科学 |
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掲載日時 | 2020/5/31 16:00 |
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