よみもの|聞くトリビア(読む編)

目が80個もある美味しい食べ物って何?
【朗読】ホッと一息つける雑学【聞くトリビア】

どんどん暑くなって、夏バテ気味なこの季節。

聞くだけで元気になれるような雑学の数々を、フリーアナウンサー大橋俊夫氏の朗読とともにお楽しみください。


こちらは動画の内容の書き起こし記事です。

音声と一緒にお楽しみください。

小惑星に自分で名前を付ける方法

自分の星があったらいいな、数多くある小惑星ならまだ名前のないものがあるかも、と思った事はありませんか?小惑星に名前を付けるには…自分で新たな小惑星を見つけて下さい。例外もありますが、自分で見つけることが一番の近道です。

実際、日本人が名付けた小惑星の名前は宇宙研究者やロケット開発者の名前などの他に、「仮面ライダー」、「アンパンマン」、「トトロ」などのキャラクターや「手塚」、「宮﨑駿」などの漫画家、「清盛」、「義経」、「竜馬」など歴史上の人物、果ては「たこ焼き」、「シジミ」、「コーラ」などの飲食物まで皆、好き勝手つけているようですが一応、規定はあります。

新たに発見した天体はIAU(国際天文学連合)に報告の上、調査され、これが認められると仮符号が付きます。その後、発見者に命名する権利が与えられます。命名の規定には、他の天体と重複したりよく似た名前がないこと、1語であること、アルファベットで16字以下であること、本人の許可を得られない歴史上の人名である場合は死後100年以上経過していること、商業目的でないこと、そして常識の範囲であることなどです。もしも小惑星を見つけた時のため今から考えておいてはいかがでしょう?

ムンクの『叫び』は叫んでいない

1893年に制作された画家エドヴァルド・ムンクの『叫び』は誰もが知っている名画です。橋の上で両耳を押さえ何かを叫んでいる人物を見て「なんて叫んでるの?」「この人誰?」と話題になりがちですが、実はこの人は叫んでいません。叫びを聞いて恐れおののいている姿です。人物はおそらくムンク本人でしょう。

絵の中の人物がどんな叫びを聞いて怖れているのか?その答えは遺されたムンクの日記にありました。叫んでいるのは人ではなくこの世を取り巻く自然です。ムンクはほぼ同じ構図でパステル、リトグラフ、テンペラなど違う画材で描いた同名の作品を5作も遺しています。ムンクにとってよほど「自然の叫び」が衝撃的だったのでしょう。

ムンクの生い立ちはあまり幸せとは言えず、5歳で母を亡くし思春期に頼りだった姉も亡くし、さらに次々と不運が続く人生でした。この『叫び』という5作品を制作する頃には精神を病み幻聴や幻覚に悩まされていたため、描かれている人物は幻聴である自然の叫びが聞こえないよう耳をふさいでいると言われています。人の死や哀しみの感情が身近であったムンクは現実ではなく精神の世界で「叫び」を聞いた自分の姿を描いたのです。

マゼランは世界一周はしていない

歴史に残る世界一周を指揮した男・マゼラン。彼が命を懸けた世界一周の大航海によって世界の交易が栄え、地球球体説が実証され、天体観測やキリスト教の布教など多くの功績を残しました。しかし、実のところマゼラン本人は世界一周はしてはいません。

1519年8月スペインの港を出発したマゼラン率いる5隻の船は15ヵ月をかけ太平洋へ到達し、アフリカ大陸の南端を経由し3年という長い航海の末、地球を一周し1522年9月に帰港しました。けれど、帰って来たのはたった1隻でマゼラン本人の姿はありませんでした。マゼランは世界一周まであと1年弱というところで、立ち寄ったフィリピンのとある島で島民に反感を買い殺害されてしまっていたのです。

ちなみにマゼランは船員や奴隷に重労働を強いたり旅先で仲間を置き去りにしたり、反逆者は容赦なく惨殺するなど、仲間からかなり反感を買っていたブラック上司だったようです。そのせいか?フィリピンで殺害された際も仲間はマゼランの亡骸をそのまま置いてさっさと出航してしまったとか。マゼランの数々の功績は偉大でしたが、その航海は何かと問題アリだったようです。

『猫ふんじゃった』は海外では猫じゃない

誰もが知る『猫ふんじゃった』。実は世界中で知られている曲ですが、他の国では猫とは限りません。どこの国も好き勝手なタイトルをつけています。そもそも作曲者が誰か?どこの国の何と言う曲なのか?正確にはわかっていません。

日本同様にタイトルに猫が登場するのは韓国や台湾、ブルガリア、ルーマニア、フィンランドなど。ドイツでは「ノミのワルツ」、ロシアは「犬のワルツ」、ハンガリーは「ロバのマーチ」、他にも猿やアヒルという国もあります。またチョコレートやカツレツなど食べ物、泥棒や侯爵夫人、娘など人がタイトルなっている国もあります。どれもあの「猫ふんじゃった」のメロディで国ごとの歌詞をつけて親しまれています。

日本では1966年、NHK『みんなのうた』で阪田寛夫が作詞をした「ねこふんじゃった」を天地総子と東京放送児童合唱団が唄い、和田誠が担当したモノクロアニメと共に紹介されたのがはじまりでした。

むかし天狗は彗星や流星だった

天狗の「グ」は漢字の訓読みで狗(いぬ)と読みます。天にいる狗(犬)、その姿は神社にある狛犬をイメージして下さい。古代中国では流星や彗星などを空にいるイヌが駆けていると信じ、「天狗」と書いて「テンコウ」と呼んでいました。日本でも元々は妖怪のことではなく流星や彗星などを「天狗」と言っていました。

『日本書紀』に「天を狗(いぬ)が駆け抜けた」と空からの飛来物の記録が残っています。西暦367年、都の夜空を轟音を立て東から西へ星が横切ったのを見て、中国から帰国した僧が「流星にあらず、これ天狗(アマツキツネ)なり」と言ったと記述があります。ここでは読み方はアマツキツネとなっていますが、状況や文字から明らかに天狗、中国で天から災いをもたらすと恐れられたテンコウです。轟音はテンコウが吠えながら空を駆け抜けた印、呪術が盛んだった当時の日本でも恐ろしいことの前触れと信じられていたようです。

その後、日本の書物からはテンコウやアマツキツネなど「天狗」らしきものの記録は途絶えますが、300年以上経った平安時代に再びその記録が現れます。この時はすでに「テング」と呼ばれ、その正体は宇宙からの飛来物ではなく山に棲む物の怪となっています。

イカスミ料理はあってもタコスミ料理がない理由

何故タコスミ料理はないのでしょうか。それはタコの墨袋は取り出しにくく、1匹のタコから取れる墨の量はイカの1/10以下と非常に少ないこと、イカの墨に比べサラサラとして食材に絡み辛いこと、そしてタコの墨にはウツボやカニなどを麻痺さあせる毒性があるからです。

タコは捕獲された時に墨を放出するため水揚げされた時点でもう殆ど残っていません。しかも墨袋は我々がタコの頭と呼んでいる胴体の奥深くにあるため取り出すのに時間もかかり一苦労、何より新鮮なうちに丸茹して出荷するため墨を確保することが大変難しい。また、タコの墨は毒性があり天敵のウツボの嗅覚やカニなどの甲殻類の神経を麻痺させるといわれています。人間には無害ですが、毒性と聞くとちょっと心配になります。これがタコスミ料理を見かけない理由です。

しかし、数は少ないですがタコスミ料理を振る舞う料理店もあります。イカスミよりも手に入る量が少ないのに料理には同じ分量の墨が必要なので、お値段もなかなかのもの。とはいえ、タコスミにはうまみ成分のアミノ酸がイカスミよりもずっと豊富で美味しいというので、一度は食べてみたいものです。

ホタテにある目は80個

生きたホタテはしっかりアナタを見ています。ホタテには平均80以上の目があって、周りのことはすっかりお見通しです。しかも、目ひとつの視野は100度なので80以上の瞳で自身を中心に上下左右360度の角度から常に周囲を監視しています。

この監視カメラさながらの目は我々が美味しく頂いている「貝ヒモ」と呼ばれる部分にあります。ヒモをよく見ると1mmほどの小さな黒い点々が並んでいます。これこそがホタテの目です。個体差はありますが80~100の斑点すべて瞳、とても複雑な構造で全ての目で光を集め鏡のように網膜へ伝えています。そういえば、ホタテは上下の貝殻を開け閉めしながら海中を泳ぎます。ホタテの貝柱が太く大きく発達しているのは貝柱を軸にして泳ぐため。目が数多くあるのも貝柱が立派なのも、すべて身を守るため進化したものです。

ちなみに、目があるのはホタテなど一部の貝だけで、アサリやシジミなどには基本的に目はなく貝柱も細く小さいモノが殆どです。ホタテは貝柱も大きく食べ応えあり、ヒモもコリコリとした食感で味わい深く大好き!という人も多いはずです。あまり想像したくはありませんが繋がれた目をモリモリ食べているということになりますね。

人が乗っても沈まないオオオニバスの葉の秘密

オオオニバスはスイレン科の水生植物です。その葉は直径2mにも達し、人も乗れると一部の植物園でも時々オオオニバスに乗るイベントも開催されています。当然ですが大人はNGです。基本的に20㎏以下でないと乗れません。とはいえ、20㎏もの重量を乗せても沈まないのか?それは葉の裏側に秘密があります。

オオオニバスの葉を支える葉柄(ようへい)は地下にある茎からしっかりと生え、葉の裏側にはは太い葉脈が網目状に広がりトゲもたくさんついています。葉脈自体がストロー状で空気を蓄え根に送り、葉脈同士の間やトゲの隙間にも空気を蓄えています。いわば浮袋をたくさん持っているようなもの。これが人が乗っても沈まない秘密です。

自然の植物ですから体重が重い人に合わせて頑張ってはくれませんし、緊急事態に対応もしてくれません。頑丈で浮袋が多くあっても、実はその大きな葉の表面には切り込みがあり、大雨などにより負荷がかかるとそこから排水する仕組みになっているため、体重が20㎏以下の人であっても切れ込みから水が入り危険です。イベントなどではこの切れ込みを塞ぎ十分な安全対策をして水に浮かべられています。

「目からウロコ」の「ウロコ」って何?

「目から鱗が落ちる」というモノの例えがあります。ところでウロコって何なのでしょう?目から落ちるのは涙?コンタクトレンズ?確かに涙やコンタクトレンズも見ようによって鱗に見えなくもありません。が、もちろん、両方とも違います。ここで言うウロコとは心の曇りのことです。

「目から鱗が落ちる」とは日本の故事でも諺でもなく、キリスト教の『新約聖書』の中のある一節から来ています。何をきっかけに、急に物事の実態などがよく見え、理解できるようになったという話に由来します。キリスト教徒を迫害していた男がある時、強い光に包まれ盲目となってしまいます。けれど、暫くしてキリストの使者が夢に現れ、目に触れると目からウロコのようなものがこぼれ落ち、目は元通りに治ったという話です。ウロコが落ちることで迷いを払拭し広い視野を持ち真実に目覚めるということです。

ところが、最近この意味を間違っている人も多いようで、本を読んだり映画やドラマを観て感動し涙を流すことを「目から鱗」と言ったり。また、「落ちる」が省略されて使われがちなため目から鱗が「取れる」、「外れる」だと思っている人もいるようです。

中国料理と中華料理の違い

中国料理と中華料理。同じものと思いがちですが、実は微妙に違うのだそうです。中国料理は中国で発祥した中国の食材と調理法で作られた料理。中華料理とは中国料理をベースに日本人の好みに合わせアレンジされ改良された料理です。悪い言い方をすれば中国料理のパクリのようなもの。

外食の際、お店の名前や看板に「中国料理」となっていれば、基本的には本場中国の料理を提供し、「中華料理」とあれば日本風にアレンジされた中国風の料理を提供する店です。

ちなみに、日本でお馴染みの「餃子」「炒飯」「麻婆豆腐」「エビチリ」などは中国料理にもあるメニューです。これらは呼び名は同じでも中国料理をアレンジしたことで日本に定着したメニュー。あえて、中国料理と中華料理を分けるのは、本家本元の料理に手を加えたり、それをヒントに新メニューを作ってしまった日本人のささやかな気遣いともいえます。

我々日本人の多くが大好物の「ラーメン」「焼き餃子」「天津飯」や、同じ名前でも日本でアレンジされた料理は中国風ではありますが、もはや和食といえます。中国にも美味しい麺料理がたくさんあるのに中国人観光客が「ラーメンを食べたい!」と言うのもわかります。ラーメンは日本の料理。彼らにとっては自国にはない日本の味なのです。

アリは人工甘味料には騙されない

アリは砂糖より何倍も甘い人工甘味料には興味がありません。アリは天然物と人工物を判別できる能力があります。そして、甘い甘くないに関わらず、ニオイと感覚でそれが食べ物であるかないかを判断しています。

砂糖と人工甘味料の両方を置きアリの様子を観察すると、最初はどちらにも寄ってきますが、人工甘味料に集まったアリは次第に遠ざかっていくという研究結果があります。アリには人工甘味料は餌とは認めず、食品サンプルのようなものだったということになります。

アリの目は見えないという話がありますが、それは間違いです。ボンヤリとした形や周囲を確認したり太陽の光を感じる視力は持っているといいます。アリが列を成して歩けるのは前を歩くアリのぼんやりした姿とニオイのおかげです。人工甘味料に近づくアリに続き続々と近づいてみたものの「餌にあらず」と判断し散っていったのでしょう。

人間には甘くて美味しい0カロリーもアリには0カロリーなんて砂同然です。ちなみにコンニャクなど低カロリーのモノにもあまり寄り付かないとか。小さな昆虫が天然と人工を見分け、栄養のあるなしもわかるとは…恐れ入ります。

ヤツメウナギはウナギじゃない

ヤツメウナギはウナギではありません。見た目も名前もウナギですが実はウナギどころか魚類でもありません。その正体はカンブリア紀にほぼ絶滅した無顎(がく)類という古代生物の生き残りです。ヤツメウナギも食用にされていますが、その味はやはりウナギとは違います。

体長は平均40~50㎝、大きなものは1m以上に成長します。細長くウナギにソックリで、目の後ろ、体の両側に水を排出するための7対の穴が並んでいます。これが目のようにみえるので「ヤツメウナギ」と名付けられました。そして一番の特徴は吸盤のような丸い口、顎はありません。この口で魚に吸い付きチューチュー血液や体液を吸い満腹になるか魚の命尽きるまで離さない、吸血鬼やヒルを思わせる怖ろしい生物です。人間にも吸い付きますが大きな害はありません。

生息地は主に寒い地域の河川で、北海道などでは食用とされているカワヤツメが水揚げされいています。ビタミンAをはじめDHAやEPAが栄養豊富で眼病や代謝にも効果的です。おススメの料理法は味噌汁など汁物の具や蒲焼きと言われていますが、ウナギではないのでやはりヤツメはヤツメ味です。

九十九里浜は九十九里よりずっと短い

千葉県東部、太平洋に沿って刑部(ぎょうぶ)岬から太東埼(たいとうざき)まで続く日本最大級の砂浜海岸「九十九里浜」。なだらかに続くこの砂浜海岸は、実際は十六里ほどしかありません。九十九里には全然足りません。

この理由は、昔は距離を測る尺度が時代や国によって違いがあったためです。伝説によると、鎌倉時代、源頼朝が「この長い砂浜を測ろう」と思い立ち、家臣に命じて測量を開始します。測定には矢が用いられ、太東埼から一里ごとに矢を立て99本目で刑部岬に到達したため、「九十九里矢指ヶ浦(やさしがうら)」と呼ばれたことが現在の名前の由来となりました。矢指ヶ浦は九十九里浜の別名もなっています。

一里は4㎞と定められたのは明治になってから。頼朝の時代は一里は600m前後であったと考えると、現在、およそ66㎞とされる九十九里浜の長さとだいたい計算が合います。この浜は鎌倉時代の尺度では九十九里だったわけです。けっして海や人の手によって浸食された短くなったのではありませんでした。

パフェとサンデーは同じデザート

パフェやサンデーはどちらもアイス、フルーツ、生クリーム、チョコレートなどで彩られるオシャレなデザートです。「パフェ」は1900年代初めのフランスで、サンデーは1800年代末のアメリカで、どちらもスペシャルなデザートとして誕生しました。基本的には材料も味もほとんど同じものです。

パフェはフランス語で「parfait(パルフェ)」といい、これには「完全」という意味があります。見ても食べても素晴らしい「完全なスイーツ」ということです。サンデーはアメリカで日曜日にだけアイスクリーム屋さんで販売されるスペシャルデザートでした。年代的にはアメリカが先ですが、パフェは真似したわけではなくオヤツの全部盛りのようなこのデザートが世界中で求められていたのでしょう。

よく似てはいてもパフェとサンデーは盛り付けに譲れないポリシーがあります。パフェは口が広く奥が狭い細い長いグラスにアイスとコーンフレークの層を重ね、上からフルーツや生クリームなどを高く美しく盛り付けたもの。サンデーは低めのグラスで主役のアイスクリームを中心にフルーツやお菓子やクリームをデコレーションします。

みかんを揉むと甘くなるのは本当

ミカンを揉むと甘くなる、それは本当です。科学的な実験でも証明されています。ただ、正確には揉むことでミカンの糖分が増すのではなく、酸味が減って最初より甘く感じるようになります。そのため、はじめから糖度が高いミカンと比べれば、糖度が低いミカンをいくら揉んでもそれなりにしか甘く感じません。

ミカンを揉むと圧力がかかり内部の組織が傷つきます。この時、ミカンは壊れた細胞を酸味成分であるクエン酸を使い修復します。クエン酸を使えば酸味は当然減るわけです。そのため「甘くなった」と感じるというわけです。

揉む以外にもウッカリ落としたり転がってしまったり、運搬する時に車や自転車などに揺られミカン同士がぶつかり合い傷つくと、ミカン自体がクエン酸を使い修復を試みます。また、収穫してから時間が経ち鮮度が落ちてきてもミカンの中のクエン酸は必死に修復しようとします。

ミカンが酸っぱいなぁと感じたり、もう少し甘くしたいと思ったら、揉んでもよし、転がしてもよし、暫く日を置いてから食べるもよし、少し甘くなったように感じるはずです。けれど、ミカンも大切な食べ物です。雑に扱わないようはにしましょう。

ワーグナーの『結婚行進曲』は実は別れの曲

日本では結婚式で定番のワーグナーの『結婚行進曲』。TVや映画でも結婚式のシーンなどで使われ定番となり、結婚式と聞くと「パーンパーンパパーン」とオルガンの音色まで思い浮かべるほどになりましたが、実はこの曲は欧米では別れの曲・不幸の曲として、結婚式では使われていません。外国人が結婚式で聞けば「え、マジ?何か起こる?」とギョっとするかもしれません。

ワーグナーの『結婚行進曲』はオペラ『ローエングリン』の中で主人公とヒロインの結婚する際に流れる曲ですが、ストーリーが全くハッピーではありません。結婚式の直後にイザコザが起こり2人は別れ別れに。しかも、その後ヒロインは苦悩しながら他の人の元で死んでしまうという悲劇の幕開けの曲なのです。そのため、欧米では未来を夢みる結婚式には不適切と思われています。

ワーグナーの『結婚行進曲』の他にもう1つメンデルスゾーンの『結婚行進曲』も日本では定番です。こちらはシェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』のためにメンデルスゾーンが作曲したものです。物語はハッピーエンドなので外国人も驚かないでしょう。結婚式の曲目を選ぶ際は参考にして下さい。

世界初のCAは看護師だった

飛行機が舞台のドラマや映画で半ば定番ともいえる「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」と急病人に対応するCAさんのシーン。確かに乗務員に医療関係者がいるとより安心です。1930年、飛行機に搭乗した世界初の女性客室乗務員は看護師資格を持っていました。

世界初の女性客室乗務員はボーイング・エア・トランスポート、現在のユナイテッド航空のエレン・チャーチです。看護師として働いていた彼女は飛行機に憧れパイロットを夢見ていましたが、当時、空の仕事は男社会、客室乗務員もすべて男性です。しかし、どうしても諦めきれず、せめて飛行機で仕事がしたいと思った彼女は航空会社に詰め寄り、機内での看護師の重要性を猛アピール!熱弁の甲斐あって採用となり、1930年5月初フライトを迎えます。彼女の同僚となった女性乗務員7人もみな看護師経験者でした。彼女達が安心・安全・快適な空の旅を支え、女性の航空業界進出の足がけとなりました。

翌1931年には日本でも初の女性客室乗務員「エアガール」を募集。応募者140名の中、採用はたった3名という狭き門でしたが、看護師免許は必須ではなく客室内のサービスを重視、現在の世界のCAたちの基盤となりました。

古代オリンピックは大全裸祭り

オリンピックの開会式では世界中の国々を代表する選手が、それぞれの民族衣装や国のイメージカラーの衣装で華々しく登場し自国をアピールします。これもオリンピックの見どころです。そして各競技のユニフォームも個性豊かで色とりどりです。しかし古代のオリンピックは皆ハダカ。選手もコーチも何も纏わずの大全裸祭りでした。

記録によると第1回古代オリンピックは紀元前776年に開催されたとあります。ギリシャ神話の大神ゼウスのためのお祭りです。競技に参加出来るのはギリシャ人の男性だけ。外国人や奴隷、女性は参加が許されず、既婚女性は観戦すら出来ませんでした。

選手もコーチもみんなスッポンポンです。理由は諸説ありますが有力な説は3つです。1つはライバルに対して危害を加えるもの、自身を有利にするものを服などに隠さないよう不正防止ため、2つ目は競技中に服や履物の乱れで怪我や死亡事故を防ぐため、3つ目は選手の鍛え上げた肉体を披露するためと言われています。

現在の感覚では全裸は却って危ないのでは?と思いますが、当時なりに正当性と安全性、肉体美の披露の場を考慮した上で、オリンピックは全裸と決まっていたようです。

エッチは「変態」の頭文字

性的な表現、また最近では性行為なども「エッチ」と言いますが、これは日本の俗語で明治時代から隠語として使われていました。使っていたのはまさかの女子学生が中心、エッチという言葉を作ったのは貞淑であって当然の時代の女子学生でした

語源はアルファベットで書いた「Hentai」の頭文字「H」です。明治時代の女子学生が「キャ~変態、エッチ~!」と大声で叫んだかはわかりませんが、いやらしい言動をとる人などがエッチです。大正時代になるとそれは同性愛者を指す言葉となり、1955年頃から新聞に連載された新聞小説『白い魔魚』でこの言葉が使われ一般的に広まって行きました。さらには1980年代バラエティ番組で、今ではお笑い怪獣と呼ばれるタレントの明石家さんまが性行為の事を避け遠回しに「エッチ」と言ったことから、性的表現に加え性行為自体の意味にもなりました。

エッチの語源となった変態は今では独特な性的趣向を持った人や奇妙な趣向を持った人のことですが、海外では日本の成人向けのマンガやアニメ、性的意味合いの含まれるゲームなど「HENTAI」と呼ばれているそうです。

1円玉に描かれている植物は実在しない

日本のコインをじっくり観察したことはありますか?500円玉には桐など、100円玉には桜、50円玉には菊、10円玉には常盤木(ときわぎ)の葉、5円玉は稲穂、では1円玉は何でしょう?1円玉に刻まれている植物は「若木」です。若木がどんな植物か調べても現物の写真はありません。それもそのはず、若木は架空の植物です。

現在使われている日本の1円硬貨は1955年に登場しました。その1年前、1円と50円の硬貨のデザインが一般公募され、1円硬貨には京都在住の一般市民が考案した「若木」が採用されました。当時、大蔵省はこの「若木」というタイトルが未来へと発展する日本にピッタリと選んだようです。考案者自身も若木のモデルとは特になく、だからこそかえってどんな木にも通じると語っていたと言います。作者が言うのであれば間違いありません。若木は架空の植物です。

1円硬貨のアラビア数字が記されている裏面は大阪在住の別の人のデザインに決まりました。デザイン採用者への賞金は当時のお金で7万5000円、1円硬貨は表裏別の方の作品となったのでキッチリ半分、3万7500円ずつがそれぞれに贈呈されたそうです。

お好み焼きは意外と健康食

ソースをたっぷりかけて食べる「粉もの」。とても美味しいのですが、多くの人は日本風ジャンクフードなどと思っているのではないでしょうか。確かに、小麦粉も使っており、糖質に気をつかう現代人にとってヘルシーフードとはいいにくいイメージです。

ところが、お好み焼き、これは多くの人の予想に反してかなりの健康食ともいわれます。具材をよく見てみましょう。卵や肉はタンパク質や脂質・ビタミンB群、キャベツなどの野菜類はビタミンAやCが豊富です。一般に、日に30品目を摂取すると健康に良いといわれますが、そのうちの12品目ほどをとることが可能です。

そして、野菜は知っての通り食物繊維が豊富。胃腸のはたらきを活発にする、余分な脂肪を取り除く、コレステロールや塩分を体の外へ出すといった効果が期待できます。

イメージより体に良いお好み焼き、メニューに迷ったら採用してみてはいかがでしょうか。

オリオン座はもうじき肩を落とす

オリオン座は冬を代表する星座です。星座をかたどる星々は数も多く見つけ辛いですが、オリオン座なら誰もが一度は見つけたことがあるでしょう。目印は綺麗にならんだ三ツ星、オリオンのベルトに当たる星々です。そして赤く輝く1等星ベテルギウス、オリオンの右肩に当たる星です。このベテルギウスはもう少しで無くなってしまうかもしれません。いえ、既にないかもしれないのです。

ベテルギウスの直径は太陽のおよそ1000倍という巨大な恒星で、寿命が近い赤色超巨星です。ベテルギウスまでの距離は640光年、今見ている星の輝きは640年前の光です。すでに超新星爆発を起こし寿命を終えていたら、実際にはもうありません。ベテルギウスはどんどん暗くなっています。調べてたくても届いている光でしか調査はできません。もし星の消滅が確認できたとしあら、それはもう640年前の過去の出来事です。

オリオン座は右手で棍棒を持ち高く振り上げ、前方にあるうさぎ座を追いかけている姿とされていますが、もしベテルギウスが消えてしまえば、星座図のイラストも変わってしまうかもしれません。ウサギに逃げられガッカリ肩を落としている姿になってしまうのでしょうか?

文芸書についている栞紐の正式名称はスピン

文芸書の背表紙の上部についている平織のヒモ、栞として使うとても便利なものですが、この紐の本当の名前を知っていますか?これは製本の専門用語で「スピン」といいます。もちろん栞として使うために付けられたもので、栞紐(しおりひも)やリボンと言っても間違いではありません。英語では栞を意味するブックマーカー、タッセルなどと呼ばれ、スピンは日本だけの用語です。

スピンは実に計算されて作られています。本の対角線よりやや長く、挟んだ時に隠れず、長すぎて邪魔にもならない程度となっています。製本される際にはスピンを背表紙に糊付けし、本からはみ出さないようページに折り込んで挿入する専門の機械で取り付けています。文庫本や新書本などソフトカバーと呼ばれる本にスピンを装着するには一手間とコストがかかるため、一時期廃止されていましたが今では多くの出版社で復活しています。

読んだ場所が一目でわかる栞は読書には必需品。挟むタイプや付箋タイプなど今では美しく便利な栞がたくさんあり、書店のレジ前には無料の紙製の栞もありますが、ページの中に潜ったり、落ちてしまったりすることもあるため、本と一体化しているスピンは大変便利です。

鮭やフラミンゴが赤いのは餌のせい

鮭もフラミンゴも赤い色素のある餌を好んで食べるから赤くなります。鮭はそもそも白身魚、フラミンゴはもとはというと白い鳥です。鮭やフラミンゴが主食とするのはエビやカニなど甲殻類のプランクトンです。これらにはアスタキサンチンという赤い色素が含まれています。

鮭は産卵のため川に戻る頃、鮭の表面の皮が赤くなります。これは体内にある赤い色素が皮に滲みでたもので、この頃から身の色も少しずつ薄れていきます。産卵のための最後の力だけ残し色素も栄養も減り、もう鮭のウリである脂の乗った極上の紅鮭ではなくなります。そのため漁師さんたちも海で皮が赤くなる前の鮭を獲ります。

フラミンゴは鳥類ですが、口からフラミンゴミルクという赤い母乳のような液体をヒナに与えて育てます。そのためヒナもピンクの鳥に成長しますが、フラミンゴにあえて赤い色素を含む餌を与えないと白くなるといいます。赤くないフラミンゴはモテません。白いフラミンゴは異性から不健康で繁殖力が弱い判断されてしまうからだそうです。

鮭もフラミンゴもピンクであることが健康のバロメーター、人間にも「栄養足りてないのね」と思われてしまいます。

のろまの語源は人形だった

のろまの意味は、動作や頭の働きが鈍いこと、また、そのような人のことです。形容詞「のろい」に、状態を表す接尾語の「ま」がつき「のろま」ですが、一説では江戸時代の狂言の幕間に披露された人形浄瑠璃の人形遣い野呂松勘兵衛が演じた「野呂間人形(のろまにんぎょう)」に由来するといわれています。

この「野呂間人形」、野呂松勘兵衛が意図してのろまに演じたのようですが、平らな頭と青黒い顔で身なりもみすぼらしく鈍い動作や仕草をする見るからに滑稽な人形した。幕間のわずかな時間に演じられたにも関わらず人気に火が付きました。のろい動きが特徴の「のろま人形」を野呂松さんが演じているトリプルNOROは大ブームとなり動作や頭の働きが鈍い人を「野呂松」「のろま」と揶揄したといいます。現代でいえば流行語大賞にノミネートされるほど江戸の街でのろまという言葉が流行したそうです。

野呂さんという姓の方は子どもの頃、けっしてのろまではなくとも「のろま」とあだ名を付けられませんでしたか?残念ながら文句は今は亡き野呂松勘兵衛に言うしかなさそうですね。

やじろべえも人の名前からついた

「やじろべえ」というオモチャがあります。短い棒に人形をつけ、そこから両腕を長く伸ばし、その手の先に均等に重りをつけ、中心の人形を支えるだけで倒れないようなっている釣り合い人形です。やっぱりヤジロウさんがモデル、あるいはヤジロウという人が作ったのでしょうか?

諸説ありますが、有力な説としては、与二郎という芸人が笠の上でこの人形を舞わす芸を見せ各地を回っていたことがが由来とされ、与二郎兵衛から弥次郎兵衛と変わっていったと言われます。また、別の説では江戸時代の十返舎一九の書いた『東海道中膝栗毛』で旅をしながら珍道中を繰り広げる主人公の弥次郎兵衛と喜多八の“弥次郎”に由来するとも言われています。

元々「やじろべえ」は旅芸人が披露する人形の両腕に様々なものを付け倒れないようにする見世物で、宴席の遊びなどしても楽しまれていました。後に子どもの玩具となりましたが、物理学の重心を利用しよく考えられています。昔のオモチャは単純ですが上手く出来ています。今ではやじろべえを見る機会も少なくなりましたが、そんなオモチャが少しずつ姿を消していくのは少し寂しい気もします。

端午の節句の「端午」とは最初の午(うま)の日のこと

5月5日は「こどもの日」、男の子の成長を祝う日とされ、端午の節句と言われています。3月3日は「ひな祭り」、女の子の成長を祝う桃の節句。桃の節句は桃の咲く季節だからとわかりますが、5月5日の端午って何でしょう?

端午は毎日を干支で数えられた旧暦に関連しています。端午の「端(たん)」は最初という意味で、午(うま)の月の最初の午(うま)の日、旧暦の5月5日のことで、「端午」と呼ばれていました。

暦を干支になぞらえた奈良時代には端午の日には、宮廷では長寿と健康を願い厄除けの節句をしていました。その時、お供えされたものが菖蒲や蓬です。今でも菖蒲を飾ったり、お風呂に菖蒲の葉を入れて浸かり、蓬を軒先に飾るなどして子どもの健康と成長を願う風習に引き継がれています。

新暦となっても午の月の最初の午の日はそのまま引き継がれ「端午の節句」となり、宮廷行事で使われた菖蒲が武士の道具や言葉に似ていたため、兜や鎧、刀といった五月人形を飾り次第に「男の子の節句」、「子どもの日」となって現在に至っています。

実は奥が深いバランの世界

お寿司やお弁当などに入っている草を模した仕切りをバランと言います。ふだんはあまり意識するものではありませんが、今やバランは単なる料理の飾りや仕切りとは言えない芸術作品にもなっているのをご存じでしょうか。

バランは葉蘭(はらん)というユリ科の植物に由来しています。昔は職人さんが包丁技を駆使し料理に合わせた美しい葉蘭を作っていました。今ではプラスティック製のものがバランと呼ばれ100円ショップでも売っています。プロの職人は本物の植物で作ったものを「ハラン」、プラスティックやビニール製のものを「バラン」、そして笹は「切り笹」と言い分けているようです。

バランはオシャレに切ってあればいいというものではなく料理の一部です。職人は料理が上手いだけではダメ、バランも上手に使いこなせてこそ本物です。そのためお鮨のコンクールや調理師のコンテストなどでは創作や技や味の他にバランを競う部門があります。最近では植物や動物、人物だけでなく絵画や写真の模写や風景、アニメのキャラクターや架空の世界など繊細でリアルなグレードの高い作品が続々出品されています。もはや単なる料理の添え物ではなく独立したアートです。

畳の縁(へり)を踏んではならない理由

昔からの日本のマナー「畳の縁は踏んではならない」、そう躾られ育った人もいるはずです。どうして踏んではいけないのか?それには納得の理由があります。

武家の家では畳に「紋縁(もんべり)」という家紋入りの縁が使われていました。家紋はその家の顔、家紋を踏むことは当主やその一族への礼を欠くこと、家柄を侮辱する事を意味しています。身内も他人もそれは注意して部屋に入っていました。それ以外にも、昔の畳は耐久性がなく長く使えばわずかな高低差も生れ転倒の原因になります。特に縁は植物で染めた布が使用され色落ちや劣化しやすかったため弱い縁を極力踏まないようにしていたようです。

ちなみに裏の理由もありました。敵が侵入したとき、畳と畳の隙間から武器を差し室内に侵入したり攻撃をすることがありました。縁が崩れると床上からの光の加減で内部の様子が分かりやすくなることを懸念したと言われています。

今では空間デザインを意識し、あえて縁ナシの畳を使っている住居も多いのですが、江戸時代までは縁の色柄も身分や地位によって異なっていたため、縁ナシの畳は地位もない庶民の畳でした。しかし、マナーを気にしないですむ気楽な畳でもあります。

昔の人は虫歯になったら抜歯

最近では口内環境が注目され歯医者さんに定期的に通いケアする人も増えています。しかし、歯医者さんもいない薬もない昔の人は痛くなったら抜歯しか手はありませんでした。

太古の人類は硬いものを何度も噛んで食べていたため、唾液を多く分泌させ口内環境を安定させていたので虫歯にはなりづらかったといいます。人類が火を使い文明が発祥し豊かになると、硬いものあまり食べなくなり唾液が減少、口内の免疫が低下し虫歯や歯周病になる人が増えていきました。世界の虫歯事情を調べると、虫歯は口内に巣くった虫や悪霊が原因と考えられ、歯痛になったら即祈祷、それでもだめなら鎮痛作用のある植物を患部に使い最終的には抜歯します。これはほぼ世界共通です。

日本では江戸時代に現在の歯科医に相当する「口中医」や抜歯専門の「歯抜師」が存在しましたが当然、歯科医の免許などはありません。歯痛になったら口中医が治療を試みダメなら抜歯師の出番です。一応、薬草やお酒など麻酔的な試みはしたようですが、薬草やお酒では…想像するだけで気絶しそうです。現代の歯科医療の有難みを痛感します。

江戸時代にもあった人材派遣の「飛脚問屋」

侍がスマホを使いバイトを探す人材派遣のCMがありますが、実際に江戸時代にも人材派遣がありました。その名は「飛脚問屋(ヒキャクドンヤ)」。本来は、手紙や商品の集配を行う配送業者ですが、参勤交代の際の荷物の運搬をはじめ、大名行列には日雇いでサクラの斡旋もしていました。

江戸時代の参勤交代はただでさえ家臣や荷物の搬送など多くの人材と膨大な経費がかかります。さらなる痛手は大名行列で、行列が地味だと藩の沽券に関わるため大人数で派手な演出が必要です。コメディ時代劇の中で大名行列の前を進んでいた者が物陰に隠れ再び最後尾について歩くシーンは実際の話です。とはいえ、これには限度があります。ここで人材派遣「飛脚問屋」の出番です。大名行列で長く盛大に見せる人材も手配します。

一例ですが大名行列に動員するバイトは168名で764両、現在のお金に換算すると7600万円相当です。行列は限られた場所のみと言っても1度で済むわけではありません。藩主も頭が痛いところですが国から大勢連れてくるわけにもいかず結局、飛脚問屋に頼むしかありません。参勤交代の総人数の半数近くはバイトです。飛脚問屋の人材派遣部は大名行列で大儲けだったとか。

初老とは40歳

初老っていつから?と聞かれたら何歳くらいだと思いますか?初老という言葉は奈良時代にはすでにあった感覚的な年齢です。その頃に初老と呼ばれるたのは、なんと40歳。辞書にも確かに40歳のことと記されています。現代ではまだまだ働き盛りで、確かに若い頃より少し体の衰えを感じ始める歳ではありますが、「老」と呼ぶには早すぎです。最近の調査ではだいたい60歳が初老と思われているようです。

奈良時代の平均寿命は30歳前後と推定されます。当時は10年ごとに健康と長寿のお祝いをしていたそうです。平均寿命を10年も超えた初のお祝いだったため「初老」と呼ばれたようです。当時から初老とは自身で老いを意識し始める年齢ということです。現代人でも40歳を過ぎた頃から「あ~歳かなぁ」なんて言葉を口にするようになります。

現在も60歳の還暦から始まる長寿のお祝いがあります。日本人の平均寿命はおよそ84歳なので、60歳でも寿命まではまだまだ時間があります。長寿のお祝いは70歳で古希、77歳は喜寿、80歳は傘寿(さんじゅ)などと続き120歳の大還暦まであります。それぞれ人生の節目となる年齢と思い、今までの人生を振り返り新たなことを始めてみるのも良いかもしれません。

息子より長生きした聖母マリアの一生

聖母マリアといえばイエス・キリストのお母さん。10代半ばでまさかの処女受胎、12月25日キリストを生んだことは有名です。実はキリストの十字架にかけられ33歳で昇天した後もマリアは10年以上生存していたそうです。

マリアは12歳の時に神の啓示により婚約し両親と共に嫁入り前の1年を過ごしていた時、夢に天使が現れ「お腹に主が宿ったから」と後はヨロシク的な啓示を授かります。婚約者ヨセフは全く身に覚えありませんから婚約解消を考えます。天使はヨセフの夢にも現れ説得し2人は結婚。13歳でマリアはキリストを出産、ヨセフは養父になります。そこまではよく知られている話です。

その後の苦労話は省略しますが、キリストが十字架にかけられ時マリア46歳。キリストは弟子のヨハネに「母ちゃん頼む」的な遺言を残したためヨハネはその後、布教活動の傍らマリアの面倒もみていました。数年後マリアにまた啓示があり、ヨハネに送られ故郷のエルサレムから離れることになります。新しい土地で数年過ごしたマリアは57歳で亡くなり聖母になったそうです。息子と、記録はありませんがおそらく夫にも先立たれ、節目ごとに神の啓示に翻弄された人生でした。

半人半獣の数え方

半分人間でももう半分が人間でない生き物をどう数えますか?半人半獣といえば、人魚やケンタウロスがいます。空想上の生き物ではありますが、どのように数えるか?悩むところです。世界中の書物でその数え方をみると、人としての知能と常識を持ち言葉を話し、なおかつ人間にとって友好的、好意的ならば1人、2人です。

人間の男性に恋をして声と引き換えに2本の足を手に入れ彼に命を捧げた人魚姫、高い知能で医学を身につけ不老不死や蘇りの技術まで習得したケンタウロスは人間にとってとても友好的です。人間と同様の豊かな感情を持ち意思の疎通や話が出来て種族の壁を越え人のために力になってくれる彼らは当然、1人2人と数えます。人間と動物のハーフ&ハーフ。特に上半身人間ですから人とみなして問題はなさそうです。

ところが、悪魔や鬼、妖怪などは違います。ほとんど1匹、2匹と記されています。昔話で異形の姿をした鬼は悪しき心を持った人間のなれの果ての姿で、実は人間とも言われています。でも、見た目は人でないので人間同様の姿をしている吸血鬼や妖怪は何人とは数えません。どうやら人間目線での善悪と感情の問題が人として数えるかどうかの境目のようです。

古代日本のお箸はピンセット

日本はお箸の国と言われていますが、箸発祥の国は中国です。弥生時代頃に日本に伝わり使われはじめた当初の「箸」の形状はピンセットやトングのような形でした。現在のように2本1組となるのは、そのずっと後の時代です。

箸を伝えたのは遣隋使だった小野妹子と言われています。当時の箸は竹を曲げて作られていたようです。神様に供物を捧げるように使われ、使い方も現在パンやお菓子などを掴むトングです。飛鳥時代になって民衆にも箸は食事に使う道具になりましたが、この頃はまだピンセットやトングの形状をしていました。ピンセットのように繋がった箸は現代の我々には非常に使い辛いものです。

平安時代になりようやく現在のように箸が2本で一組となりました。この頃は肉や魚、野菜など食材や料理ごとに別々の箸が使われていました。魚や鶏肉料理に使う箸を「真魚箸(まなばし)」、野菜に使う箸を「菜箸」と言いました。現在も料理に使う箸を菜箸と呼ぶのは、この時代の菜箸からきています。

三十三間堂は六十四間(けん)ある

京都東山の三十三間堂、一足踏み込めば厳かで幻想的な空間に安置された1000体以上の仏像に圧巻されます。このお寺の広さはは三十三間ではありません。実際に測ると118.2m、六十四間強です。ならば六十四間堂じゃないか?と思いますが、この建物の広さが寺の名前になったわけではないからです。三十三間とは別のことを指しています。

三十三間堂には柱が34本あり柱と柱の間が33あります。また、中には千手観音坐(ざ)像を中心に千手観音立像や風神・雷神像を合わせ1032体の仏像が安置されています。観音菩薩は33ににも姿を変えることが出来て、時と場合に応じた姿となり人々を救いにくると信じられていたために、柱の33の間と観音菩薩の33の姿にちなみ三十三間堂と呼ばれています。

応仁の乱で都は焼け野原と化し、仏像は焼けたり壊れたりしたものも数多くありましたが、三十三間堂の千手観音菩薩像は奇跡的に残り数々の戦や災害を潜り抜けてきました。これも観音様のお力でしょうか。観音様は常に優しく助けてくれるわけではありません。必要とあらば厳しい試練を与えることも忘れてはなりません。

世界の不吉なナンバーはいろいろ

日本では一般的に不吉な数字といえば「4」や「9」などです。4は死を、9は苦しみの「ク」を連想させるからと言われれいます。世界各国にもそれぞれ不吉をイメージさせるなナンバーがあります。日本同様、発音した時の音や言葉自体の意味が不吉なもの、伝承や統計的に不吉とされるものなど様々です。

「4」はお隣の韓国や中国でも不吉な数字です。日本同様「4」が死を意味する言葉の発音と近いためです。キリスト教徒の多い地域ではキリストを裏切り死に追いやったのが13番目の弟子だったため「13」が不吉なナンバーです。今でも13人グループの席は半分に分けたり、人形などを置き1テーブル13名にならないようしているそうです。

イタリアは「17」、ローマ数字で17は「X・V・I・I」と綴ります。少し並び換えるとお墓に刻む「私は生きていた」という言葉の綴りと少し似ているからということです。

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