よみもの|聞くトリビア(読む編)

雑学で日本縦断旅行【47都道府県の雑学集】

フリーアナウンサー大橋俊夫氏による雑学朗読動画の書き起こし記事です。

動画と一緒にお楽しみください。

北海道の雑学。ばんえい競馬は世界唯一のレース

競馬は競馬でも一味違う北海道のばんえい競馬。「ばんえい馬(ばん馬)」と呼ばれる、サラブレッドより高さは10cm程度、体重にして300kgほど大型の馬によるレースです。

さらに通常の競馬と異なり、騎手の乗った鉄のソリを引いて争います。背に乗せてスピードを競うわけではありません。ただ、競馬同様の駆け引きがあります。体力を温存したり、ここ一番で勝負をかけたりと、騎手のコントロールが勝負を分けるのは一般的なレースと同様です。

かつては旭川など4か所で開催されていましたが、現在では帯広のみ。競馬ブームのころには注目度もそれなりにあったものの、バブル後の不況では苦戦続き。2006年にほかはすべて撤退してしまいました。一時は帯広も存続が危ぶまれていたのですが、官民一体の活動で今も続いています。

なお、このスタイルのレースは広い世界をみてもここのみ。「馬の一発逆転ライブショー」をコンセプトに掲げ、世界唯一の競技としてPRを続けています。競馬ファンならずとも一度は観てもらいたい珍しいエンターテイメントです。

青森県の雑学。新郷村にはキリストの墓がある

イエス・キリストを知らない方はいないと思いますし、はりつけになったのもエルサレムのゴルゴタの丘というのは言うまでもないことでしょう。しかし、その遠く離れたはずの日本、しかも、青森県になぜかその墓があるという、何とも不思議な話があるのです。

問題の地は青森県の戸来(へらい)。かつては戸来村と言いましたが、現在は隣の村の一部と合併し、新郷村となっています。そこに木製の十字架が立てられた墓が2つあり、1つは弟のイスキリのものとされています。

伝承によるとゴルゴタの地で処刑されたのは弟のほうで、兄であるイエスは日本へ逃れ106歳まで生きたというのです。しかも、その子孫とされ墓所を守ってきた沢口家は目が青く鼻が高いという、外国人のような風貌の人もいたのだとか。

他にも地名の戸来も「ヘブライ」がなまったものである、「ナニャドヤラ」という盆踊り歌がヘブライ語由来である、ダビデの星を家紋とする家が村内にあるなど、何とも不思議な縁のようなものも伝わります。戦前にはここをキリストの墓と断定するような調査もあったのだとか。一見するとトンデモ説ですが、事実であれば世界史がひっくり返るような話です。

秋田県の雑学。男鹿半島には海を見つめるゴジラがいる

ゴジラといえば日本が誇る特撮怪獣。ハリウッドでもリメイクされ、知名度は世界的といえるでしょう。当然、そんな怪物が世界を荒らしまわったら大変なことになりますが、実は秋田県のとある場所にはゴジラがいるのです。

それは男鹿半島南部の南磯と呼ばれる地区。男鹿半島・大潟ジオパークの「潮瀬崎ジオサイト」を構成するジオポイントのひとつにあります。そこにある奇岩のひとつがまるで海を見つめるゴジラのようなシルエットなのです。特に観光客に人気なのが夕方。空いた口の部分に夕日が入り込むとまるで火を噴いているように見えます。

このあたりには他にも変わった岩が見られ、「ゴジラの尻尾岩」「ガメラ岩」などというものもあります。多くの奇岩が「日本の奇岩百景」に登録されており、ユニークな写真をとりたい方にはオススメのスポットです。

岩手県の雑学。岩手県のカッパは赤い

カッパといえば妖怪の中でもド定番。そのちょっとユニークな姿を想像できない人はいないでしょう。では、ついでに色を思い浮かべてみてください。おそらくほぼ全員が緑色だったはずです。

しかし、東北岩手のカッパといえば赤。柳田国男の『遠野物語』の59話にも「外(ほか)の地にては河童の顔は青しというようなれど、遠野の河童は面(つら)の色赭(あか)きなり」とあります。

色は違えども遠野のカッパがやっていることはよそと同じようなもので、家畜を川に引きずり込もうとしたり、それが人に見つかって追い立てられたりという話が伝わります。その際に「もう二度と悪さはしない」としてカッパが許されるという話が残りますが、中にはそれを誓約書として残したものもいるようで、現在も書面が存在しているということです。

なお、この赤いカッパ。遠野市などの土産品にも見られます。妖怪好きではなくとも少し物珍しさで興味を惹かれる方もいるのではないでしょうか。

山形県の雑学。鶴岡市にはギネス認定された水族館がある

日本で水族館といえば沖縄県の美ら海水族館などがよく知られます。日本はアメリカに次いで水族館が多い国とあって、他にもスゴい水族館はいくつもあります。その中で今回は山形県のギネス認定のものを紹介します。

それは鶴岡市立加茂水族館。実は山形県内唯一の水族館でもあります。ここの一番の売りはクラゲ。50種類以上が飼育されており、「クラゲ展示数」でギネス記録に登録されているのです。

色とりどりの種類のクラゲが集まった「クラネタリウム」も当然ながら魅力ですが、館内のレストランなどにはクラゲラーメンやクラゲアイスといった、本当にクラゲを食材に使ったメニューが存在しており、食の面でも楽しめるのがポイントです。

なお、他にも水族館定番のアシカショーなども行われており、幅広い年齢層で楽しむことができます。知名度はやや落ちるかもしれませんが、オススメのスポットです。

宮城県の雑学。仙台の七夕飾りは意外とエコ

「東北三大祭り」にも数えられる仙台の七夕祭り。200万人以上が訪れるともいう、超人気イベントです。

そして、観光客の楽しみといえば豪華な七夕飾り。カラフルな吹き流しが目につきますが、これは実は「七つ飾り」と呼ばれるもののひとつで、ほかには学問や書の上達を願った短冊、病気や災難の厄除けなどの紙衣(かみごろも)、健康長寿と家内安全の折り鶴などがあります。

この立派な飾り、お祭りが行われる8月6日から8日の3日間だけで終わってしまうのは少々もったいない感じもします。ところが、その心配はご無用。仙台七夕のPRキャンペーンに利用されたり、県内外の地区や施設に譲り渡され、人々を楽しませているようです。中には海外に渡るものもあるとか。

また、解体されたものの一部は、資源として再利用されます。仙台市内の小中学生により、復興の願いを込めて飾られた折り鶴の紙は「仙臺(せんだい)七夕祈織(いおり)」と名づけられた再生紙となり、ノートや卒業証書に転用されているそうです。

福島県の雑学。スパリゾートハワイアンズのダンサーは全員自前育成

福島を代表するスポットのひとつにスパリゾートハワイアンズがあります。かつては常磐ハワイアンセンターといいましたが、温泉だけではなく、プールやホテルなどもある一大レジャー施設で、東京からも無料送迎バスが出ています。

その人気施設のウリのひとつにポリネシアンショーがあります。かつて、映画『フラガール』でも題材となったこれは、いまだに人気を誇っています。

ところで、これに出演するダンサーはすべて自前育成。運営会社の常磐興産株式会社の社員で、フラガール志望で入社すると付属のダンサー養成学校である常磐音楽舞踊学院に入学し、2年間のレッスンを受けた上でデビューとなるのです。

なお、この学校ができたのは1965年で、半世紀以上の歴史を持っています。2019年の創立55周年の際には東日本大震災を乗り越えた先輩ダンサーが集結して、「フラガールOG特別公演」を行うといったイベントも開催されました。

茨城県の雑学。大洗町に7億円をもたらしたのはアニメ

茨城県大洗町。市でもない小さな自治体ではありますが、ある人たちにとっては「聖地」で、それに伴ってかなり大きな経済効果をもたらしています。

その正体はアニメ。2012年に放送された『ガールズ&パンツァー』は戦車を用いて模擬戦を行う架空の武道「戦車道」をテーマとした作品で、この大洗の町が舞台となっており、作中にも実在の建物やお店が登場します。

そうなるとファンが「聖地巡礼」ということで訪れるようになり、登場したお店に宿泊したり食事をするという動きが見られるようになります。町としても等身大パネルやポスターを設置したり、アニメに関連したイベントの開催などを行い、積極的に誘致活動を進めました。

その結果、2014年には小売、飲食、交通機関利用などでおよそ7億円の経済効果があったとされました。その後も町おこしのイベントなどでファンと地元の交流は続いており、いまだに効果は続いているよう。町おこしの成功パターンのひとつといえるでしょう。

栃木県の雑学。東照宮の「眠り猫」は寝たふり中

世界遺産でもある日光東照宮。栃木県における屈指の人気スポットです。「見ざる聞かざる言わざる」の三猿も有名ですが、今回は同じく東照宮の動物としてよく知られる「眠り猫」についてのお話です。

寺社においてネコの彫刻というのはそう珍しいものでもありません。しかし、この世界遺産ならではというのは眠っていること。起きているネコは数あれど、寝ているのはここだけです。

そして、このネコをよく見てください。熟睡しているわけではなく、目を閉じているものの実は前足をぐっと踏ん張っています。それには理由があります。眠り猫は徳川家康の墓所のそばに彫られており、家康に万一のことがあったら敵に対していつでも飛び掛かれるよう準備しているのです。

なお、近年は裏に雀が彫られていることもあり、「猫に対して雀のような弱者が安心して過ごすことができる、平和な世の中がやってきた象徴」という説明もなされるようです。いずれにしろ、ユニークな話ではあります。

群馬県の雑学。群馬には「日本のブラジル」がある

日本とブラジル。古くから交流もあり、Jリーグにやってくるブラジル人選手も少なくありません。しかし、群馬県にある「ブラジル」についてはご存じでしょうか。

それは県南東部にある大泉町。戦前から飛行機の工場があったことで知られ、戦後になってもパナソニックなどの工場が建てられた地域です。そして、1990年頃、ブラジルが不景気となると日本にやってくる日系2世や3世が増加しました。当時は不法入国の管理が厳しくなる一方で、彼らは逆に日本で働きやすくなるルールが定められていたのです。

そして、その一部は大泉町の工場で仕事をするようになりました。人手不足であったこの地域の企業が合同で、ブラジル国内において人材募集の広告を打ったためです。1988年にはこの地のブラジル人は36人でしたが、90年には821人、近年は4600人ほどとされます。町全体の人口がおよそ4万2000人なので、10人に1人はブラジル人という計算になります。

町には外国語の看板も立ち並び、シュラスコ料理の名店もあります。都内から2時間の距離で、多様な文化体験ができることも観光協会が推しています。海外旅行の時間は取れないという方、ちょっとした異国の気分を味わえる大泉町をぜひ訪れてみてください。

埼玉県の雑学。さいたま市には「盆栽町」がある

変わった名前の町は全国にありますが、さいたま市にはその名も盆栽町というのがあります。たまたま同じ名前かと思いきや、実際にあの盆栽に由来しています。

1923年、関東は大きな震災に見舞われました。そして、東京本郷周辺に多く住んでいた盆栽業者達は盆栽の培養に適した土地、新鮮な空気と水のある土地を探し、ここを見つけました。当時の地名は別でしたが、盆栽業者や愛好家が多く住んだためにいつのまにか「大宮盆栽村」と呼ばれるようになり、昭和の頃は郵便物は盆栽村プラス宛名で届いたといいます。

やがて大宮市に編入されると、盆栽町が正式に地名となり、現在も残っています。また、ここは盆栽だけでなく、碁盤の目状に作られた道路の両脇にサクラが立ち並び、大宮公園のサクラとともに名所として知られました。戦時中に燃料として使うために大部分は切られてしまったのですが、今は他の木とともに四季の美しさを演出しています。

千葉県の雑学。千葉には「東京」の名を冠する施設は結構多い

「東京ディズニーリゾートは東京じゃない」という鉄板ネタがありますが、同じパターンでいくと成田国際空港の旧称「新東京国際空港」も東京にはありません。

これらをとりあげて「千葉県民の東京コンプレックス」などと小馬鹿にすることもしばしばあるようですが、千葉県に「東京」を関する施設は上記以外にも思ったより存在します。

たとえば、袖ヶ浦市にある「東京ドイツ村」。東京駅からのアクセスもよい舞浜にあるディズニーランドとは違い、こちらは房総半島の山奥。東京の範疇を超えています。東京を冠した理由としてはやはり国際的なイメージが強いから。他にも市原市の「新東京サーキット」、印西市の「東京サバゲパーク」、柏市の「伊藤ハム東京工場」といったものがあります。

小さいスポットを探せばもっと出てくるかもしれません。暇なときにグーグルマップなどで探してみると面白いかもしれません。

東京都の雑学。浅草の「雷門」は実は結構省略されている

台東区の雷門。訪れたことはなくても、多くの人はその風景を思い浮かべることができるであろう超メジャースポットです。

では、これが実は略称であるのはご存じでしょうか。正式な名称は「風雷神門」。その名の通り門の左右に風神と雷神が安置されているのが名前の由来です。現在の位置に門が移ったのは鎌倉時代で、その際にこの二つの像も作られたといいます。

「風神」のほうは名前が完全にカットされてしまっていますが、略された理由はよくわかりません。ただ、19世紀初頭の川柳に「風の神 雷門に 居候」というものがあり、この頃には既に一般化された名称と考えられます。

この雷門、両脇に神様がいるのにたびたび火事で焼失しています。1865年に燃えてしまった後、95年もの間再建されませんでしたが、1960年に現在のパナソニック創業者である松下幸之助の寄付で再建されました。有名な提灯も同氏によるもので、10年に一度ほど修繕も行われています。その提灯の下の方には火除けの願いを込めて龍の彫刻が施されています。

神奈川県の雑学。川崎市には「ネズミ立入禁止」のスポットがある

ネズミの被害は一般の家でも見られます。食べ物だけでなく電気コードを切ってしまったりと、非常に厄介な存在ですし、何より不衛生で好ましいものではありません。当然、どこでもお断りしたいところです。

そんな厄介者について、わざわざ「入館をお断り」と注意書きをしている川崎市の施設があります。それは藤子・F・不二雄ミュージアム。日本のレジェンド漫画家の美術館ですが、彼の代表作といえば『ドラえもん』。そして、ドラえもんが苦手なものといえばネズミ。そんな設定もあり「“ネズミ”の入館はご遠慮いただいています」というわけです。

ファンなら思わずニヤリとしてしまう小ネタですが、これからもわかるように漫画の世界観をしっかり表現している楽しい施設です。まず、最初にもらえるリーフレットのここを見て藤子不二雄ワールドに入り込んで楽しんでください。ただ、ネズミがこれを読んだ上で守ってくれるかはわかりません。

山梨県の雑学。富士五湖は実は6つある

「富士五湖」といえば山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖。ごく当たり前ですがこの5つです。しかし、ゲームの隠れキャラよろしく第6の湖があるということはあまり知られていません。

その正体は精進湖の南東にある「赤池」。しかし、これはいつでも見られるわけではありません。大雨が降って増水したときのみ現れるというまさに幻の湖なのです。直径50mほどとあまり大きなものではありませんが、林の中に突然と現れ、しかも、湖底にはそのまま森があるというかなり不思議な光景が見られるそうです。

近年出現したのは1998年、2004年、2016年とかなりレア。近くの橋の上からでも見ることができますが、降りて行って近づくこともできなくはないようです。大雨が降った後は覗きに行ってもいいかもしれません。ただし、足元などには十分注意してください。

ちなみに、富士五湖というものの、本栖湖、精進湖、西湖はかつてひとつの湖で、現在も標高が同じで、水位もいつもそろっているので、今でもどこかでつながっていると考えられています。

静岡県の雑学。島田市にはスカイツリーより長い木造の橋がある

東京スカイツリーの高さといえば「ムサシ」の語呂で覚える634m。なかなかの高層建築です。仮にこれを横に倒してみてもそれなりの距離となります。それよりも長い「世界一」の橋が実は静岡県にあります。

橋の長さというと、38.422kmというアメリカ、ニューオリンズのポンチャートレイン湖にかかるコーズウェイが、「水上にかかる一本の橋」としては世界一です。しかし、島田市の蓬莱橋は「徒歩で渡る木造橋として世界一長い」というギネス認定されたものです。長さは897.4m。先のコーズウェイには大きく劣りますが、スカイツリー横倒しより長くなっています。

これは急流として知られる大井川にかかる橋で、1879年に作られました。それまでは防衛のためにこの川には橋がありませんでした。できた理由は大井川の中流にある未墾の牧之原台地を茶畑にするため。その移動の際に使われました。茶園の関係者以外は、通行のために現在でいうと100円ほどの通行料を払って利用したといいます。なお、現在も1人100円の通行料はかかります。しかし、歴史を感じるのには安いものかもしれません。

ちなみに、橋自体は木造ですが、増水被害をたびたび受けていたことから橋脚だけはコンクリート化されています。

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