よみもの|聞くトリビア(読む編)

雑学で日本縦断旅行【47都道府県の雑学集】

広島県の雑学。瀬戸内海には100年後に消えてしまう島がある

島がなくなってしまうと領海や排他的経済水域にも影響があるため、日本の最南端・沖ノ鳥島では護岸工事が行われています。

それは何も外海に限った話ではありません。内海ですが、瀬戸内海にはいずれ消えてしまう島があります。東広島市安芸津町から船でおよそ5分の無人島・ホボロ島。江戸時代には一周360mほどのひとつの島だったそうですが、明治時代にふたつに割れてしまい、2007年には大きいほうのものは完全に無くなってしまったそうです。

そして、残っているほうも消滅の危機にあります。その原因は虫。ナナツバコツブムシという小さい虫が穴を掘って暮らしているいるので、岩肌は蜂の巣のように穴だらけになっています。そこに波や雨があたることで段々と崩れてしまっているということです。

薬でそれを駆除もできるのですが、付近のカキの養殖に悪影響を及ぼす可能性もあります。そのようなこともあり、姿が変わっていく様子も魅力のひとつとして、特に保護活動は行われていません。長くもって100年、もしかすると、それより早く海の風景は変わってしまうかもしれません。

岡山県の雑学。笠岡市にはカブトガニ専門の博物館がある

博物館や美術館の中には何かを専門にしているものは珍しくありません。刀剣であったり、特定の作家であったりと、そのファンにとっては嬉しい施設であるのは間違いありません。

そんな中でもちょっとニッチなものが岡山県笠岡市にあります。それは何とカブトガニ専門の博物館。これをテーマにしたものとしては世界で唯一という希少性もあります。

カブトガニの異名といえば「生きた化石」。2億年前からその姿を変えずに生息している珍しい生きものです。笠岡市には国指定の天然記念物となっているカブトガニ繁殖地もあり、その保護に努める一方で、研究にも取り組んでいます。そのため、幼生から成体まで生きた姿を間近で観察できます。

また、カブトガニだけでなく同じ時代を生きた恐竜の展示もあります。骨格標本はもとより、動く模型も見られ、その迫力はなかなかのものです。屋外の公園にも恐竜の復元模型が展示されており、子どもでも楽しめるスポットといえます。

香川県の雑学。香川のうどん屋はコンビニより多い

香川県といえば通称「うどん県」。名物であるのはご存じだと思われますが、確かに県内を見てみると、うどん屋の数は異様に多いことは間違いありません。

では、実際にどのくらいあるのでしょうか。「タウン情報かがわ」が毎年発行している「さぬきうどん全店制覇」によると、2019年から20年にかけての店舗数は578軒となっていました。2011年から12年の785軒からは減少していますが、それでも多いといえます。

そして、同時期くらいの県内のコンビニ数を見てみるとおよそ440軒。100以上うどん屋のほうが多いという驚きの結果となっています。四国はコンビニが少ないのではと思うところではありますが、香川県の人口1万人あたりのコンビニ店舗数は全国で18位ということ。決して少ないわけではありません。

さらに、もうひとつ有名な都市伝説。「香川県には信号機よりうどん屋の方が多い」について。こちらは、2100基以上あるので大幅な差があります。しかし、1975年時点では430基程度、1980年でも800ほど。1000基を超えたのは1985年頃です。先のうどん屋の減少ペースを見ると、かつては信号機より多かったという可能性もあります。

徳島県の雑学。阿波踊りのルーツは雨ごい

今となっては日照りによる水不足などということはあまり耳にしません。しかし、かつてはそれが不作あるいは飢饉の要因になるなど、深刻な問題でした。

そうなると、藁にもすがるように、神仏に雨を降らすよう祈ることも珍しくありませんでした。そんな雨ごいをルーツに持つのが徳島の代名詞ともいえる阿波踊り。にぎやかに踊っているだけに思えますが、実のところ多くの人が地面を踏み鳴らして踊ることで大気を揺るがし、雨を降らそうという考えもあったのだとか。

徳島の民謡『阿波よしこの節』には「阿波の殿様 蜂須賀様が 今に残せし 阿波おどり」という一節がありますが、こちらは雨ごいとは無関係。徳島藩祖の蜂須賀家政が築城した際に記念として民衆が踊ったものという説もありますが、疑問も多いようです。

いずれにしろ、徳島の人々にとっては長く伝わってきた伝統的な踊りということには間違いありません。

愛媛県の雑学。愛媛県にはジュースの出る蛇口が実在する

飲み物が名物の県には付き物のの都市伝説。蛇口からその名産品が出るというもの。静岡県ならお茶ですが、愛媛県ではみかんジュースというネタが鉄板です。

その元ネタは1970年代頃、大学などで愛媛県出身者が「ウチでは蛇口からジュースが出るよ」とネタにしていたものが広がったなどと言われます。さらに、ジュース工場の大きなタンクについた蛇口が製作工程などを紹介するテレビで紹介されたことなども相まって、いつしか本当のことのように語られるようになりました。

そして、実際に県へ蛇口についての問い合わせが出てくると、2007年に本当にこれを実現してしまいました。県内の企業、ポンジュースでおなじみのえひめ飲料によるものでした。以後、イベントなどで県内随所に設置され、人々を楽しませています。東日本大震災に際しては県外不出の禁を破って支援のために宮城県内のイベントに持って行ったそうです。

なお、常設することは衛生面などの都合で難しいようです。興味ある方は毎年1月中旬頃開催の「えひめみかん祭り」など県内イベントに参加してみてください。

高知県の雑学。高知市にはわざわざ「カステラを売っていない」という看板を出す中古車屋がある

カステラが欲しければ和菓子屋やデパ地下にいけばいい話。よりによってわざわざ中古車屋に出向く人は間違いなくいません。

しかし、高知県にはわざわざ「カステラは売っていません」という看板を出す中古車販売店があります。しかも、夜にはネオンライトがついてひときわ目立つようになっています。

この無駄な表示を出している店は高知市の「長崎屋」。西日本の方はこの名前を聞いてピンとくるでしょうが、有名カステラ店と同じ屋号なのです。高知含むこちらの方面ではどうしてもカステラ屋のイメージが強いので、ちょっとしたジョークでつけた看板だということです。もちろん、双方には関係がなく、車屋もたまたま長崎さんが開いた店ということなのです。

なお、カステラは販売していないのですが、お店に車検を依頼したお客さんには無料でカステラを配っているそうです。

福岡県の雑学。八女市には日本一大きい仏壇がある

「日本一大きい」の称号を持つものは実に様々なところにありますが、福岡県八女市のものは少し風変わり。何と仏壇です。

お茶でよく知られる八女、ここは国指定伝統的工芸品「八女福島仏壇」の生産地でもあります。その生産組合が1991年にPRのために3500万円もの費用をかけて作ったものが日本一の仏壇です。

八女伝統工芸館に設置されているそれは高さ6.5m、幅3.8m、奥行き2.5mと、どんな立派な仏間でも間に合わなそうなキングサイズ。貼られている金箔も数万枚に及ぶとか。

もちろん、その手入れもしっかりしています。年末には大仏よろしくすす払いを行い、先端にダチョウの羽を取り付けた長さ6mほどもある竹や脚立を使い、汚れを落として新年を迎えています。その際には近隣の子どもたちを招くこともあるのだとか。仏壇に興味はなくとも、かなりのインパクトで印象が変わるかもしれません。

佐賀県の雑学。佐賀市には「見えない世界遺産」がある

世界遺産と聞くと、多少興味が薄くても一目見てみたい、そんな気持ちになります。しかし、佐賀市にはそれを許さない「見えない世界遺産」があるのです。

三重津海軍所跡はその名の通り跡地。今は無くなってしまっているから見られない、と思うところですがそんなに単純な話ではありません。ここには「ドライドック」という、干満の差を利用し、水を抜いて船を修理していた施設がありました。発掘の際に木の枠組みが発見されていますが、現在はそのものを見ることはできません。

しかし、海軍所跡地の横にできた「佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館」には、ドライドックの一部を再現した実物大の模型と、当時をイメージした映像を映し出す大型スクリーンがあり、その場にいるような体験をすることは可能です。

この地の調査はまだ続いているとのこと。新しいことがわかると、またコンテンツが追加されていくかもしれません。

長崎県の雑学。長崎市には「偉人の愛用したブーツ」という妙な像がある

偉人像と聞けば、おそらくその地にゆかりのある人物だろうと推測できます。駅前などに立像があっても珍しいことではありません。

しかし、長崎市にはその偉人のものではなく、「偉人が愛用したブーツ」というかなりマニアックな像があります。場所は亀山社中記念館。ここまでいえば察しの良い方はわかると思いますが、坂本龍馬が愛用したブーツ像があるのです。

これは亀山社中創設130周年を記念して1995年に作られたもので、同市内の風頭(かざがしら)公園に立つ「坂本龍馬之像」と同じ、長崎出身の彫刻家・山崎和國によるものです。亀山社中の創設は日本の近代化の第一歩ということで、龍馬のトレードマークのブーツのオブジェとなったわけです。

ちなみに、この像、実際に足を入れて履くことができます。その前には船を操作する操舵輪もあり、これを握りながら坂本龍馬の気分を味わうことも可能です。

宮崎県の雑学。日南市のモアイ像はイースター島に公認されている

日南海岸に位置するサンメッセ日南は素晴らしい眺望や珍しい昆虫の展示などがある、県でも人気のテーマパークです。

ここの見どころのひとつはモアイ像。海沿いに並ぶ7体は現地のものと同じサイズ。5.5mほどの高さに重量はおよそ20トンというなかなかの大きさで見ごたえも十分。しかも、これは世界で唯一、イースター島のお墨付きが与えられています。

1992年から3年の月日をかけ、日本のモアイ修復チームが現地を訪れ、倒れてしまっていた像15体を再び立てるプロジェクトにあたりました。それに感謝した長老会や島民たちが、日本での復元を認めたのがこの日南の像です。

なお、7体の復元像にはそれぞれのご利益があり、左から仕事運、健康運、恋愛運、レジャー運、結婚運、金運、勉強運ということです。やはり、左から3番目は女性人気が高いそうです。これら以外にも公園内にモアイは散在しているので、ぜひ巡ってみてください。

大分県の雑学。大分県にはアメリカへの便乗がすぎる自治体がある

大分県の自治体に宇佐市があります。これだけ聞いてもピンとくる人はあまり多くないと思われます。そこまでメジャーな都市とは言い難いためです。しかし、これをローマ字表記にしてみると「U」「S」「A」。つまり、アメリカの略称と同じになります。そんなこともあり、しばしば「日本のアメリカ」などとネタにされることがありました。

ところが、それは地元でも悪乗りレベルで見られます。まず、JR九州日豊本線の宇佐駅の駅名標識には星条旗のようなマークが入っています。他にも市内の山肌にハリウッドサインのように「USA」の文字が見られるなど、このネタをかなり押しているような印象です。

また、都市伝説として有名なのは「宇佐市産の輸出品表記が『made in USA』となっており、アメリカからクレームが入った」というもの。この噂が広まった要因には、アニメ『ヤッターマン』でネタにされたことも大きかったようです。ちなみに、この伝説のオチは「宇佐は『日本書紀』にもある由緒正しい地名だからアメリカのクレームを突っぱねた」ということです。

熊本県の雑学。熊本城は食べられる

熊本県の定番スポットのひとつに熊本城があります。市電などからのアクセスもいいので、多くの人は観光ルートに取り入れるのではないでしょうか。

日本のお城には一般的にイチョウが多く植えられています。これは敵に囲まれて兵糧攻めにあった際、実が非常食になるためとされます。熊本城もその例にもれず樹があり、中でも見事な大イチョウがあることから「銀杏城」の異名も持ちます。

しかし、熊本城はそれに止まりません。たとえば、畳の芯には普通、ワラが使われますが、ここではサトイモが用いられています。理由は当然、いざというときに食べられるようにするため。他にも、土壁のつなぎにもやはりサトイモの茎が使われ、壁にはカンピョウが練りこんであるとか。そんなことから「食べられる城」という、奇妙な別名もあるのです。

その背景にはこの城を改築した加藤清正の思いがあります。彼は朝鮮出兵の際に厳しい籠城を経験しました。その苦しい体験から食料備蓄には特に気を払ったということです。

鹿児島県の雑学。県内随一の繁華街の由来は天文観測所

鹿児島県の繁華街といえば「天街」こと「天文館」。知名度は全国区といえるのではないでしょうか。アーケード、モール、歓楽街と大きく3つにわかれており、少し移動するだけで違う町のような印象を受ける場所でもあります。

ここで注目して欲しいのが少し変わったその名前。「天文」とあるからには、宇宙や空に関係があるかというと、その通り。第25代薩摩藩主の島津重豪(しげひで)が天体観測所として作った「明治館」の別名が「天文館」で、それがあったことがそのまま名前の由来となっています。

しかし、昔から今のような「南九州随一」といわれるほどの繁華街だったかというとそうではありません。明治・大正時代は付近に空地も目立つ、やや寂しい土地でした。昭和に入り路面電車の開通、「鹿児島座」という映画館や劇場が開館すると、昼夜を問わず多くの人が訪れる人気スポットとなりました。

ファッションからお土産まで何でもそろうにぎやかな街となっていますので、旅行の際はぜひ訪れてみてください。

沖縄県の雑学。大東島原産のイヌは和製コーギー

柴犬や忠犬ハチ公で知られる秋田犬は日本を代表する犬種です。これ以外にもソフトバンクのCMで知られる北海道犬など、いくつかの種類がいますが、沖縄の大東犬(だいとういぬ)はご存じでしょうか。

その名の通り大東島原産のイヌですが、とても希少で販売されることはほぼないため、街を歩いていて見かける犬種ではありません。

しかし、見た目はなかなか愛らしく人を惹きつけるものがあります。顔立ちは他の日本犬のような感じですが、柴犬のようなスタイルではなく、短足ガニ股のコーギーのような体型です。

一説には台風が多いこの島で飛ばされてしまわないようにこのような形になっていったともいわれますが、さすがに真偽のほどはわかりません。沖縄の地犬に洋犬が混じったなどともいわれます。いずれにしろ、他県で見るのは難しいと思われますので、この島を訪れた際には少し注意深くイヌを見てみてください。

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