よみもの|聞くトリビア(読む編)

ヤクルトスワローズの雑学
【聞くトリビア第28話 読む編】

ヤクルトの選手寮は幽霊が出る

埼玉県戸田市にある「ヤクルトスワローズ戸田寮」では若手選手が生活しています。
12畳の広々した個室で食事つき、ヤクルト商品は飲み放題、そして室内練習場やトレーニングルームが完備されており、選手にとっては非常に恵まれた環境ですが、大きな問題は「幽霊が出る」ことです。
山田哲人選手が寮に住んでいた頃は1年に100回ほど金縛りにあってしまい、1人で寝るのが怖くなって西田明央(にしだ・あきひさ)選手の部屋で一緒に寝ていました。
他にも「閉めたはずの部屋のドアが勝手に開く」「浴室の鏡に不自然な人影が映る」といった現象に遭遇した選手も少なからずいるとか。その後、球団がお祓いを行ったものの効果はなく、今も怪現象が続いているようです。

相手の打者と1人も対戦せずに勝利投手となった投手がいる

長いプロ野球の歴史のなかには珍しい記録が数多くありますが、ヤクルトの投手で「相手の打者と1人も対戦することなく勝利投手」となった人物がいます。
それは2010年代に左のリリーフとして活躍した久古健太郎(きゅうこ・けんたろう)投手です。
2014年5月3日、1対1の同点で迎えた8回表の阪神の攻撃、2アウト2塁の状況で久古投手が登板すると、2塁走者をけん制でアウトにしてチェンジ、その裏の攻撃でヤクルトが4点を奪って勝利したため久古投手は記録の上では「1人の打者とも対戦せずに勝利投手」となりました。
プロ野球の歴史の中で2人しか達成していない珍しい記録です。

スポンサーからの海外旅行の賞品を憤慨して辞退した投手がいる

プロ野球では活躍すると様々な賞品がスポンサーから提供されます。中でも海外旅行は非常に嬉しい賞品でしょう。たとえ自分がいけなくても家族や友人、お世話になった人にプレゼントすればきっと喜ばれるはずです。
ところが、そんな賞品を憤慨して辞退した投手がいます。
それは1970年代に変化球投手としてプレーした鈴木康二朗(すずき・やすじろう)投手です。なぜ彼は怒って辞退したのでしょうか?
実はこの賞品は1977年に王貞治選手が当時の世界記録となる756号本塁打を記録した際に、打たれた投手に贈られたものだったからです。
賞品を提供した旅行会社はバカにする意図はまったくなく、王選手の記録がかかる中、逃げずに真っ向勝負した投手の勇気をたたえるために贈ったものですが、さすがに鈴木投手のプライドが許さなかったようです。

内川聖一(うちかわ・せいいち)選手は、自身のアゴイジリに妥協はさせない

2020年オフにソフトバンクからヤクルトに移籍した内川聖一選手は、長いアゴが特徴的で、ソフトバンク時代から自身がホームランを打った際にはベンチで出迎えた選手に自身のアゴを突き出して、タッチさせる「アゴタッチ」のパフォーマンスで知られます。
ヤクルトに移籍した2021年のオープン戦でホームランを打った際、ベンチで出迎える若手選手がアゴタッチを行おうと待ち構えると「やるなら思い切りやれよ!」と笑顔で応えました。
ちなみに、内川選手は若手時代にアゴが曲がったことで首の神経を圧迫し不調に陥ったことがあり、そのときは奥歯のかみ合わせを矯正して解消しています。

畠山和洋(はたけやま・かずひろ)選手がヒゲを伸ばしたのは「剃ると誰だか分からなくなるため」

現役時代にクリーンアップとして活躍し2015年には打点王を獲得した畠山和洋選手のトレードマークといえばヒゲです。
レギュラーに定着してからずっとヒゲを生やしているように思われますが、実は1度だけ剃ったことがあります。
2012年オフに野村克也元監督がチーム納会に訪れた際に「他の選手たちの模範になるためにヒゲを剃りなさい」と指示されたことから、翌年のキャンプ前にアドバイスに従ってきれいさっぱりそり落とします。
しかし、ヒゲを剃ると「ファンが誰だかわからなくなってしまう」と感じて再び伸ばし始めました。
結果としては、畠山選手といえばヒゲというのは広く定着しており、この判断は正しかったと言えるでしょう。

小野公誠(おの・こうせい)選手はプロ野球史上唯一の偉大な本塁打記録を持っている

1997年から12年間、捕手としてヤクルトに在籍した小野公誠選手は、現役時代は古田敦也選手が絶対的なレギュラーとして君臨していたことからなかなか出番に恵まれず、通算出場は244試合、通算本塁打は16本にとどまっています。
しかし、そんな小野選手は何とプロ野球史上唯一という偉大な本塁打の記録を持っています。
その記録とは「プロ初打席と最終打席の両方で本塁打を打ったこと」です。
初打席は1997年7月20日の巨人戦で三澤興一(みさわ・こういち)投手から、そして自身の引退試合となった2008年10月12日の最終打席では横浜の牛田成樹(うしだ・しげき)投手からいずれも本塁打を記録します。
最終打席を打った試合後に行われた引退セレモニーでは、「ホームランで始まり、ホームランで終わった野球人生は宝物です」とスピーチしました。

広岡達朗(ひろおか・たつろう)監督は、選手に乳製品を飲むなと指示して親会社から怒られた

1978年にヤクルトを初の日本一に導いた広岡達朗監督は、管理野球と呼ばれる選手の私生活まで細かく指導することで知られました。
広岡監督は特に食生活に関しては厳しく指導し、当時「スタミナをつけるには肉を食べる」というのが常識だったプロ野球界において、故障しない体をつくるには野菜や玄米などの自然食品を中心とした食事が良いとすすめました。
その中で牛乳は、元となる牛は農薬だらけの草を食べており、しぼった後に加熱処理するために栄養もないという理由から乳製品も飲まないように指示しました。
しかし、いうまでもなく親会社のヤクルト本社は乳製品が主力商品であることから、激怒した親会社から厳重注意を受けます。
広岡監督は日本一となった翌年の1979年、フロントがコーチ人事に介入したことに不満を持ちシーズン途中に退団しますが、もしかしたら親会社もはやく辞めさせたかったのかも知れません。

時計ブランド「フランク三浦」を有名にしたのは宮本慎也(みやもと・しんや)選手

フランク・ミューラーとの訴訟問題で一時期話題となった腕時計ブランド「フランク三浦」、このブランドを有名にしたのは実は宮本慎也選手でした。
フランク三浦を手掛ける会社の社長は宮本選手とはPL学園野球部時代の同級生で、卒業後も親交がありました。
2012年5月、宮本選手が通算2000安打を達成すると、同社社長に依頼して「フランク三浦ヤクルト宮本2000安打記念時計モデル」を作ってもらい関係者に配ると、芸能界にも広く知られるきっかけとなり、芸能人の愛好者も増えたことから一気に知名度が高まったといわれます。
ちなみに宮本選手が普段愛用していた腕時計ブランドはフランク・ミューラーで、若手選手がプロ初勝利や初本塁打を記録した際にはフランク・ミューラーの腕時計をプレゼントしていました。

「カツオ」の愛称で呼ばれる石川雅規(いしかわ・まさのり)投手は、サザエさんと共演している

現役投手として通算最多勝利を誇るベテランの石川雅規投手は、見た目がアニメ『サザエさん』に登場するカツオに似ていることから、カツオのニックネームで呼ばれています。
そんな石川投手はカツオの姉、サザエさんと共演しています。といってもアニメではなく野球での話です。
2019年8月13日の試合はアニメ『サザエさん』の放送50周年を記念して『サザエさんスペシャルDAY』と題し、サザエさん一家が神宮球場に訪れました。
そこで、サザエさんが始球式を行います。通常、始球式の打者はビジターチームの1番打者がつとめますが、このときはサザエさんの縁から石川投手が打席に立ち、球場は大いに盛り上がりました。

神宮球場で販売される「つば九郎米弁当」のおかずには「鳥の唐揚げ」がある

新潟県燕市(つばめし)は、「つばめ」の名前の縁からヤクルトスワローズとは交流・連携事業を行っています。
その一環として、毎年「つば九郎米(つばくろうまい)」と呼ばれるお米を栽培しており、田植えや収穫の時期にはつば九郎が訪れることもあります。
神宮球場では、燕市で収穫されたつば九郎米を使った「つば九郎米弁当」というお弁当を販売していますが、何とこの弁当はおかずに「鳥の唐揚げ」があります。
本来であれば同じ鳥の仲間をおかずにするのは考えられないと思いますが、つば九郎に限ってはその心配は無用です。
というのも、つば九郎はビール好きで、焼き鳥は「レバーが好き」と語っていることから、そもそも鳥を食べることに抵抗は無いようです。

出川哲朗(でがわ・てつろう)は、神宮球場でカレーを食べていて理不尽に怒られた

お笑いタレントの出川哲朗は大のヤクルトファンとして知られ、スワローズのファンクラブ初の名誉会員にも選ばれています。
神宮球場に頻繁に応援にも行っている出川さんのある日のできごとです。その試合ではヤクルトが大量リードされて厳しい試合展開でしたが、そのときカレーを食べながら観戦していた彼に対し、一般のファンが「出川、カレー食っている場合か!」と理不尽に八つ当たりをしてきました。
それに対し出川さんも「カレーも食っちゃいけないのかよ!」と応戦します。
しかし、それ以降トラウマで、神宮球場でカレーを食べることができなくなったと語っています。
いくら負けているとはいえ、関係のない人物に八つ当たりするのはファンとしてはあってはならない行動ですね。

左利きの由規(よしのり)投手が右投げなのは、兄のおさがりのグラブをつかったため

仙台育英高校時代の2007年に速球で甲子園を沸かし同年ヤクルトに入団した由規投手は、右投げながら実は左利きで、ボールを投げる以外はすべて左手で行います。
では、なぜ投げる動作だけが右利きなのでしょうか?
その理由は、彼が野球を始める際に右利きであった兄のグラブのおさがりを使い、そのまま右で投げるようになったためでした。
ちなみにプロ入り当初、左で投げても50~60メートルぐらい遠投できると語っており、もし左投げだったら違ったタイプの投手としてプロ入りしていたかも知れません。

契約で「ソバを食べない」と盛り込まれた選手がいる

プロ野球選手は個人事業主で、ひとりひとりが球団と個別に契約を行います。その契約には金額の他に様々な付帯条項が盛り込まれるケースがありますが、非常に珍しいものとして「ソバを食べることを禁止」と盛り込まれた選手がいます。
2004年から11年までヤクルトに在籍した佐藤賢(さとう・まさる)投手で、入団1年目のキャンプ中にソバを食べたところアレルギーを発症し緊急搬送され、一時は命の危険もある状態にまで陥りました。
幸いにして回復し、その後の選手としてのプレーに支障はありませんでしたが、翌年から球団は「ソバやソバを含んだ食品を食べない」と契約に盛り込みました。

若松勉(わかまつ・つとむ)監督の名言「ファンの皆様、おめでとうございます」は言い間違えではない

ヤクルトのスター・若松勉は、現役時代は生え抜きとしてヤクルト初の2000安打を達成、引退後は1999年から6年間監督を務めました。
監督3年目の2001年にリーグ優勝を果たしますが、その優勝インタビューで有名な「ファンの皆様、おめでとうございます」という名言が飛び出します。
この「おめでとうございます」について、当初多くの人は「ありがとうございます」というつもりが言い間違えたと思っていましたが、実は最初から用意していた言葉だったと後に語っています。ファンへの感謝の気持ちを伝えるには「おめでとうございます」の方がふさわしいというのがその理由でした。
ちなみにこの言葉は、2001年当時の優勝メンバーのひとりであった真中満監督が、2015年にリーグ優勝を果たしたときにも受け継がれました。

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