モミジ院長のリカバリー日記第33回
(続き)僕の目からすると、最大の優勝候補である能勢君からの言葉だったので、この言葉だけで、半ば昇天しかけたのだったが、気を取り直して冷静に話を続けた。
「能勢君が落ちることはないと思うけど、その時は任せてほしい。」
(かなり、カッコつけていたと思う。)
ニューヨークに行ける最大のライバルであるかのごとく、言ってもらったと僕は独りよがりに思っていた。
みんなで、飛行機へと移動していく中、
能勢君がやたらと、僕のテープレコーダーを心配しているのだ。
「故障したらいけないので、銀紙で巻いておいたほうがいいですよ」とか熱い目線で、僕のテープレコーダーを見ていた。
「うむ、もしかしてもしかすると」
さっきの言葉は、「僕を」ではなく、
未放送問題をゲットするための必需品であり、
しかも、僕だけが所有していた
価値ある
「テープレコーダー」
・・・・
これを所有している僕にできるだけ残って録音してきてほしいと言ったのではないだろうか。
そうだ、そう。僕は能勢君の言葉を勘違いしていたのだ。
「クワァー」
さっき、カッコつけて、二人で写真を撮りまくっていた自分がめちゃくちゃ恥ずかしくなった。
能勢君に悪気はないのだ。
自分が勘違いしたのが悪いのだ。
飛行機に乗る前から僕はダメな感じになっていた。(続く)
テーマ問題【推理小説③】
問題17 アメリカの推理作家エラリー・クイーンが『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』を書くときに使っていたペンネームは何?
問題18 事件が起きて犯罪を捜査していく推理小説の手法を「叙述ミステリー」と言うのに対し、最初に犯人が分かっていて展開していく手法を「何ミステリー」と言う?
問題19 素人探偵の「タバレの親父さん」が活躍する、1866年に発表されたエミール・ガボリオの世界初の長編推理小説は何?
問題20 物語の展開上、受け手の注意をそらすために用意されたプロットのことを、ある魚を用いた表現で何と言う?
問題21 埋もれてしまった名作推理小説の発掘を目的に昭和50年に発行された雑誌で、主催する新人賞から泡坂妻夫、連城三紀彦、田中芳樹、栗本薫らを生んだのは何?
問題22 推理小説を書く上での基本ルールとして知られる「ノックスの十戒」は『探偵小説十戒』で発表されたのに対し、「ヴァン・ダインの二十則」はどんな雑誌で発表された?
問題23 イギリス初の推理小説であるウィルキー・コリンズの『月長石』を翻訳した人物で、大正9年、博文館の雑誌『新青年』初代編集長となり、江戸川乱歩や横溝正史らを育てたのは誰?
問題24 クロフツの名作『樽』。物語の最初、ロンドンに到着した、エイヴリー所有の船に積まれた「樽」には、金貨と何が入っていた?
正解【推理小説③】
問17 バーナビー・ロス(エラリー・クイーンはいとこのマンフレッド・リーとフレデリック・ダネイの共同ペンネーム。『ローマ帽子の謎』がデビュー作。その中に登場する探偵の名前はエラリー・クイーン。また、問題文中の三作品に『最後の悲劇』を加えて、ドルリー・レーンの「悲劇四部作」と言われる)
問18 倒叙ミステリー(『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』ではおなじみ。)
問19 『ルルージュ事件』(二作目からはルコック探偵が活躍する。「タバレの親父さん」はルコック探偵の師匠。)
問20 薫製ニシンの虚偽(英語では「レッド・へリング」。それに対し、「チェーホフの銃」は、物語の最初に置かれた要素が後になって重要性を増してくるという手法。)
問21 『幻影城』(ファンクラブは「怪の会」。「四大奇書」と言われることもある竹本健治の『匣の中の失楽』も掲載されていた。)
問22 『アメリカン・マガジン』(「ノックスの十戒」も「ヴァン・ダインの二十則」も日本では、江戸川乱歩が評論集『幻影城』で紹介。)
問23 森下雨村(もりした・うそん、本名は岩太郎。別名「佐川春風」。)
問24 人の手(その「樽」が行方不明になることから物語は展開していく。ロンドン警視庁とパリ警視庁が捜査に当たる。推理小説における「アリバイ崩し」を確立させた作品)
ジャンル | モミジDr.のリカバリー日記 |
---|---|
掲載日時 | 2020/5/22 16:00 |
クイズに関するニュースやコラムの他、
クイズ「十種競技」を毎日配信しています。
クイズ好きの方はTwitterでフォローをお願いします。
Follow @quizbang_qbik