モミジDr.のリカバリー日記第252回「認知症」
現在、勤務している病院には認知症疾患センターがあり、私も認知症の方の診察を多く診させて頂いている。
20年以上前までは「痴呆」と呼んでいたのだが、日本老年医学会での提言をきっかけに厚生労働省が名称の変更を主導し、「用語検討会」の結果、現在の「認知症」となった。他の精神疾患では「精神分裂病」⇒「統合失調症」などがあげられる。今の若い方には「痴呆」「精神分裂病」という言葉は馴染まないであろう。我々の年代でも馴染んでいたわけではなく、もっと他の適切な言葉がないかな、と思っていたものだったが、2004年前後に一気に新しい言葉に代わったことは画期的であった。個人的にはミレニアムとともに健全な社会の到来を感じた。そのとき用語の変更に力を注いだ先生方と話したことがあったが、かなりご苦労されたようだった。しかし、こうした用語の変更は素晴らしい業績と思う。医学以外のジャンルでも、明治・大正期に作られた言葉で、現代的にどうかな、と思う言葉が使用されている。少しずつ言葉の健全化が進めばいいな、と思う。
私自身は用語の変更に力を注ぐことは(力不足で)できないが、「認知症の予防にクイズが役に立つのではないか?」というテーマのもとに30年間、少しずつではあるが取り組んできた。今後、医学のエビデンス作りに役に立てたらと思う。
【今週のテーマ「認知症」】
科学の分野から「認知症」
医療系の職種の方にはぜひ覚えていただきたい内容のクイズテーマ。ただ、一般の方には難しいのでご注意のほどを。
問題01 「アルツハイマー病」に名前を残すアロイソ・アルツハイマー博士はどこの国出身?
問題02 認知症の中核症状の一つで、英語では「disorientation」という、時間や方向感覚が失われる状態のことを「何障害」という?
問題03 幻視、パーキンソン症状、認知力低下を伴うのが特徴の、アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症といえば?
問題04 健常者と認知症の中間の状態とも言える「軽度認知障害」のことをアルファベット3文字で何という?
問題05 かつて「ピック病」と呼ばれていた疾患を、障害を受ける脳の領域から現在では「何型認知症」と呼ぶ?
問題06 アルツハイマー型認知症の認知機能改善薬として知られる「ドネペジル(商品名アリセプト)」「ガランタミン(商品名レミニール)」などを、ある神経伝達物質を阻害することから何という?
問題07 認知症の症状で、記銘力障害、健忘などを「中核症状」と呼ぶのに対し、介護抵抗、徘徊などを「何症状」という?
問題08 日本でよく使用されている認知症のスクリーニング検査の一つ「長谷川式認知症スケール(HDS-R)」に名前を残す聖マリアンナ医科大学の元教授は?
問題09 イトヒメハギの根を乾燥した生薬で、漢方薬の「加味帰脾湯」「人参養栄湯」に含まれ認知予防に効果があるとされるのは?
問題10 日本認知症予防学会によって定められた「認知症予防の日」とは、アルツハイマー博士の誕生日である何月何日?
正解【認知症】
問題01 ドイツ(バイエルン州の出身、ドイツ精神医学の源流であるエミール・クレペリンの元でミュンヘン大学に勤務。1906年、ドイツの学会で「アルツハイマー病」の症例を発表。ここから「認知症」の研究が始まった。)
問題02 見当識障害(「失見当識」ともいう)
問題03 レビー小体型認知症
問題04 MCI(Mild Cognitive Impairment)
問題05 前頭側頭型認知症(アルファベット3文字で「FTD」という)
問題06 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChE、抗コリン剤)
問題07 周辺症状(アルファベット4文字で「BPSD」と表記されることも多い)
問題08 長谷川和夫(はせがわ・かずお、2018年、『だいじょうぶだよ ぼくのおばあちゃん』という絵本を出版した。)
問題09 遠志(おんじ、「志が遠大になる」という語源から。漢方薬で認知症の周辺症状によく使用するものとして「抑肝散」がある。)
問題10 6月14日(「世界アルツハイマーデー」は9月21日)
ジャンル | モミジDr.のリカバリー日記 |
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掲載日時 | 2023/4/13 16:00 |
タグ | 認知症 |
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