クイズ作家の本棚 はじめに②
クイズの資料のため購入した本はたぶんこの20年間で3万冊近いと思う。正確に数えたことはないが、あるネット書店での購入履歴を見ると1万5000冊ほどだから、たぶんそんなものだろう。一時期は毎月、そのネット書店で「クイズ」「パズル」「辞典」「図鑑」「用語」などのワードで検索し、ローラー的に買い漁っていたこともある。さすがにその頻度は減ってはいるがいまだに継続している。ブックガイドもよく目を通す。そこで気になる本をピックアップしては買い物カゴに放り込んでおく。
好きな書評家の紹介だとついつい手が伸びてしまう。『遊読365冊』という本がある。著述家の松岡正剛の手になるブックガイドで、ベースとなった本は1981年に発行された。その中にクイズ作成にも活用している本が3冊あった。『地学事典』(平凡社)、『類語新辞典』(角川書店)、そして『SF百科図鑑』(なんと出版元はサンリオだ。1980年前後にSF文庫シリーズを出していた)である。
これらが配されているの「読書は大いなる遊戯である」というコーナーだ。そう、知を巡る読書は精神的な遊びなのである。『地学事典』の紹介はこうだ。「夥しい地学用語を次々に関連させながらページを操ることが、極上のイメージのクリスタリゼーションをおこしてくれる…(後略)」。うん、わかるわかる。それも読書の醍醐味なんだよなぁ、と思いつつ無機質な用語を追ううちにどっぷりトリップしてしまうことがよくある。
クイズを作ることは時間との戦いでもある。発注から納品までたっぷり時間のある依頼など、そうそうはない。ゆえに作業効率を求めることになる。どこかに問題作成のネタは落ちていないかと、多く媒体に目を通す毎日だ。クイズの作成において、本はもっとも重要なアイテムである。信頼たる執筆者により、編集者や校正・校閲者の目が加わったものに限られるわけだが、ネットの発達した現代においてもその優位性は変わらない。
今は自宅を含めると5か所に分散して本を保管してある。そのうちの1つは下北沢のRBL CAFEで、事務所兼用として2016年にオープンした(とはいっても事務所スペースは一畳程度のまんが喫茶の個室並み)。ここでは、ドリンク代をお支払いくだされば、壁2面に配置した本棚に収められた7000冊の本を自席で読むことができる。一部私の趣味の本もあるが、基本的にはクイズ作成用の資料だ。この書棚から、連載用の本を選ぶことにもなるだろう。
さて、このコーナーでは、クイズ作家として私が利用してきた(「読んだ」ではない。たった1ページ、1行の情報が欲しいがために購入する本も少なくない)本の中から、特に面白かったもの、役に立つもの、ユニークなものをテーマ別に紹介していく。内容はメインとなる1冊の本の紹介に加え、「+1問」(メインの本の情報をもとにしたクイズ)、「+α」(同テーマの本を併せて2~3冊程度を紹介)という構成となっている。すべて私に何かをもたらしてくれた本だ。このページにたどり着いていただいたあなたの好奇心を少しでも揺さぶることができれば幸いである。
ジャンル | クイズ作家の本棚 |
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掲載日時 | 2020/3/9 17:00 |
名古屋大学クイズ研究会出身。
中学2年のとき、書籍「クイズグランプリ第5集」を手にしてからクイズ歴は40年になる。
幼少のころより数えることが好き。
もっともうれしかった発見は62円切手の目打ちの数が62個だったこと。
クイズ商社・キュービック、クイズ制作会社・セブンワンダーズ、
一般社団法人日本ジェネラルナレッジ協会の代表。
ときどき、下北沢・RBL CAFEのマスター。
クイズに関するニュースやコラムの他、
クイズ「十種競技」を毎日配信しています。
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