プロ野球クイズ王・尾林衡史の「野球本書評」
『采配』(落合博満・ダイヤモンド社)
プロ野球クイズ王・尾林の野球本書評、第19回は中日ドラゴンズ元監督の落合博満氏の著書『采配』です。
落合氏は現役時代に史上唯一の三度の三冠王を達成、2003年オフに中日の監督に就任すると8年間で4度のリーグ優勝、1度の日本一を達成した名選手にして名監督です。
2003年オフに監督に就任すると、「現有戦力の底上げで優勝を目指す」と公言し、その通りドラフト以外では外国人のドミンゴ・グスマン投手を補強した程度で、公約通りリーグ優勝を果たしました。
その後も「オレ流采配」として、独特な采配を見せていましたが、この著書を読むと「オレ流」にはすべて根拠があって行っていたことが分かります。
その中で一貫していたと感じるのが「大切なのは勝ち負けではなく、勝利へのプロセス」という一文です。
プロ野球において目先の一勝にこだわることは非常に重要だと思いますが、単に勝てばよいということではなく、そのためのプロセスを重要視するということです。
単に結果が良ければそれでよいということではなく、なぜ良い結果が得られたのか、あるいは敗れた時にどこが良くなかったのか、これを明確にすることが重要と感じます。
その中で特に考えさせられた言葉は
「ミスは叱らない、だが手抜きは叱る」(頑張ってやった結果のミスは叱ってはいけない。分かっていても難しいことです。)
「大きな成果を得るためには一兎だけを追え」(ひとつのことをただひたすら追い続けること、当たり前のことに感じますが、すぐに結果が出るわけではないので根気と忍耐の必要なことです。)
です。
また、落合氏の監督としてのポリシーと思えるのが「監督の仕事は選手の指導ではなくコーチの指導」という点です。
現在のプロ野球においては選手の指導は監督ではなくコーチの仕事というのは常識となっています。
監督が選手で気になる点がある場合、直接指導するのではなくコーチに指導させますが、これは野球に限らず一般社会においても重要です。
企業の組織においても、社長や部長などの立場にある人が、直属の上司を飛び越えて一般社員に指導を行う、いわゆる「ひとつ飛ばし」はご法度とされています。
しかし、プロ野球においても、一般社会においても能力的に疑問のあるマネジメント職ほど「ひとつ飛ばし」を行っています。
わたしもマネジメント的立場として、色々なことを考えさせる内容でした。
組織でマネジメント的立場にある人は是非読むべき一冊です。
クイズにまいります。
テーマは「落合博満」です。問題はすべて頭に「落合博満氏が」とつくものとしてください。
【問題】
1 東洋大学中退後、一時期野球をやめてプロを目指していた競技は何でしょう?
2 初の三冠王を達成した1982年、ベストナインに選出されたポジションはどこでしょう?
3 中日時代の1987年~93年、打撃3タイトルのうち唯一獲得できなかったタイトルは首位打者、本塁打王、打点王のどれでしょう?
4 現役時代6番以外につけた背番号は、巨人時代の1994年の60番と日本ハム時代の1997年-98年の何番でしょう?
5 中日監督に就任した2004年の開幕戦で、開幕投手に指名したのは誰だったでしょう?
6 リーグ優勝を達成した2010年、レギュラーシーズン全日程終了後に「あること」を行って話題となりました。翌年以降ルール化されたそれは何でしょう?
【正解】
1 ボウリング…ボウリングでプロを目指すも野球への思いが捨てきれず、社会人の東芝府中を経て1978年ドラフトでロッテに入団しました。
2 二塁手…1981年82年は二塁手でベストナインを受賞しています。
3 首位打者…1991年は中日の全日程終了時点で首位打者でしたが、その後ヤクルトの古田敦也選手に逆転されています。
4 3番…巨人時代は篠塚和典(94年限りで引退)、日本ハム時代は田中幸雄が6番をつけていました。
5 川崎憲次郎…前年まで肩痛で3年間一軍登板なしながら、「全員横一線を強調するため」や「情報が漏れていないかを確認するため」に起用したといわれます。
6 全員の出場選手登録を抹消させる…翌年からレギュラーシーズン終了後からクライマックスシリーズ開幕まで10日以上空く場合は全員抹消、ただしFAにおいては日数加算(2010年もさかのぼって適用)がルール化されました。
ジャンル | プロ野球クイズ王・尾林衡史の「野球本書評」 |
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掲載日時 | 2023/10/10 16:00 |
タグ | 尾林衡史のBBB 落合博満 |
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担当ジャンル:スポーツ
1973年生まれ 福岡県出身
職業 クイズ作家 株式会社キュービック所属
物心ついたころから40年来の東京ヤクルトスワローズのファン。
年間の観戦数は30試合から40試合ほど。
仕事の「クイズ」と趣味の「野球」を組み合わせた「野球クイズ」をライフワークとし
プレーヤー・イベンターともに「野球クイズ」の第一人者を自負
主な実績
①プレーヤー
『全日本プロ野球クイズ王決定戦』(2013年6月)優勝
『プロ野球マニア王決定戦』(2019年3月)優勝
②イベンター
『プロ野球12球団ファンクイズ王決定戦』(2019年5月~2020年1月)
(全12球団+各回の優勝者で日本一を争う「日本シリーズ」の全13回)開催
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