プロ野球クイズ王・尾林衡史の「野球本書評」
『基本は、真っ直ぐ-石川雅規42歳の肖像』
(長谷川晶一著 ベースボール・マガジン社)
プロ野球クイズ王・尾林の野球本書評、第10回は、スポーツライターの長谷川晶一さんの著書『基本は、真っ直ぐ-石川雅規42歳の肖像』です。
大のスワローズファンとして知られる長谷川さんが、2021年‐22年シーズンにかけて石川雅規投手に密着取材して書き上げた作品です。
2023年現在、球界最年長投手としてなお一軍のマウンドに立ち続ける石川投手ですが、その秘訣がよく伝わる内容です。
具体的には
・徹底的な体調管理
・後輩からでも良いものは積極的に取り入れようとする貪欲な姿勢
・現状に満足せず、つねにアップデートを欠かさない考え
などです。
2021年シーズンは若手投手の台頭などもあり、シーズン序盤はなかなか出番がなく二軍生活が長かったですが、それでもまったく腐ることなく調整を続け、さらに若手選手に積極的にアドバイスを送る姿は石川投手の人格者ぶりをよく表しています。
同シーズンは交流戦から一軍に復帰しリーグ優勝に貢献、そして日本シリーズ第4戦に先発し、自身初の「日本シリーズ勝利投手」、そしてキャリア初の「日本一」を達成します。
現役生活において、日本一を達成しているか否かの差は非常に大きいと思いますが、入団20年目、42歳にして達成するのは石川投手の努力、姿勢が報われたと強く感じます。
また、長谷川さんのスワローズ愛、野球の知識、そして相手の気持ちをくみとる様子が石川投手の思いを存分に引き出しています。
長谷川さんはスワローズの試合は欠かさず観戦していますが、ただ観るだけでなくしっかりと試合内容を分析しているからこそ引き出せると感じます。
2023年も引き続き石川投手に密着取材を行っているようで、続編を楽しみにしています。
ここからは私の個人的な感想ですが、石川投手の強みは「時代に逆行していること」と感じます。
現在の投手はストレートは軒並み150キロ越え、変化球はカットボール、ツーシーム、スライダー、フォークといった「ストレートと球速差の少ない速い変化球」が主流の中、石川投手は
・135キロにもみたないストレート
・ドロンと曲がる大きなカーブと、フワッと落ちるシンカーというゆるい変化球
で抑えています。
(なお、もちろんスライダーやカットボールなども投げています。)
150キロのストレートを投げても打たれる投手が多い中、130キロそこそこの石川投手のストレートでも抑えられる、ピッチングの奥深さを感じます。
まさにタイトルの「基本は真っ直ぐ」を表していると思います。
2023年7月終了時点で通算185勝、何とか200勝まで到達してくれることを心から願います。
クイズにまいります。
テーマは「石川雅規」です。
【問題】
1 石川雅規投手が秋田商業高校時代の1997年の夏の甲子園1回戦で対戦した浜田高校で投げ合った相手投手は誰でしょう?
2 2006年10月13日、石川雅規投手が代走で出場したのは、誰の代走だったでしょう?
3 2008年に石川雅規投手がこれまでに唯一獲得したタイトルは何でしょう?
4 石川雅規投手が投げる90キロ前後のスローカーブを、「あるキャラクター」にたとえて何カーブというでしょう?
5 石川雅規投手が2008年から12年に5年連続開幕投手を務めた際、うち4度対戦したチームはどこだったでしょう?
【正解】
1 和田毅…石川投手が3年生、和田投手が2年生のことです。
2 古田敦也…若い時の石川投手は俊足でも知られました。
3 最優秀防御率…このときはシーズン最終戦前の時点で、1アウトを無失点に抑えればタイトル獲得の状況で、中継ぎとして登板しタイトルを獲得しました。
4 カツオカーブ…磯野カツオに似ていることからつけられた石川投手のニックネームと、魚のカツオの泳ぐスピードが時速約80キロであることに由来します。
5 読売ジャイアンツ…2009年の阪神以外はすべて巨人と対戦、2012年は9回1死までノーヒットノーランの好投で勝利投手となっています。
ジャンル | プロ野球クイズ王・尾林衡史の「野球本書評」 |
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掲載日時 | 2023/8/7 16:00 |
タグ | 尾林衡史のBBB 石川雅規 |
担当ジャンル:スポーツ
1973年生まれ 福岡県出身
職業 クイズ作家 株式会社キュービック所属
物心ついたころから40年来の東京ヤクルトスワローズのファン。
年間の観戦数は30試合から40試合ほど。
仕事の「クイズ」と趣味の「野球」を組み合わせた「野球クイズ」をライフワークとし
プレーヤー・イベンターともに「野球クイズ」の第一人者を自負
主な実績
①プレーヤー
『全日本プロ野球クイズ王決定戦』(2013年6月)優勝
『プロ野球マニア王決定戦』(2019年3月)優勝
②イベンター
『プロ野球12球団ファンクイズ王決定戦』(2019年5月~2020年1月)
(全12球団+各回の優勝者で日本一を争う「日本シリーズ」の全13回)開催
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