プロ野球クイズ王・尾林衡史の「野球本書評」vol.08
『奇跡のバックホーム』(横田慎太郎著 幻冬社)
プロ野球クイズ王・尾林の野球本書評、第8回は現役時代の2016年に脳腫瘍を患い、2023年7月に28歳の若さで死去した横田慎太郎さんが生前に著した『奇跡のバックホーム』です。
横田さんの父・真之さんはロッテ、中日、西武でプレーした元プロ野球選手で、横田さんの生誕時は西武在籍中だったため東京で生まれましたが、3歳で母の地元の鹿児島県に一家で移住します。
鹿児島実業高校から2013年ドラフト2位で阪神に入団しますが、この2位という順位、また背番号24番(この年限りで引退した桧山進次郎選手がつけていた番号)からも期待の高さがうかがえます。
2年間二軍で鍛え、プロ3年目の2016年に金本知憲監督が就任すると長打力に期待する選手に名前をあげられ、初の開幕一軍スタメン出場を果たすなど、ここまでは順風満帆の人生だっただけに、この年に患った(実際に病院で病名を告げられたのは翌2017年のこと)脳腫瘍は晴天の霹靂だったと思われます。
しかし、その後の手術からリハビリを経てもう一度グラウンドに立つまでの奮闘は病気と闘う多くの人に勇気を与える内容でした。
腫瘍はいったん寛解したものの、視力が戻らず2019年限りでの現役引退を余儀なくされましたが、表題の『奇跡のバックホーム』は、引退試合となった2019年9月22日の二軍のウエスタン・リーグの福岡ソフトバンクホークス戦で8回表2死二塁の場面で、センターを守っていた横田さんがヒットを処理しノーバウンドでキャッチャーに返球して二塁走者を本塁でアウトにしたシーンのことで、これが横田さんのラストプレーとなったのは本当に色々な奇跡が重なったものと感じます。
具体的には
●ソフトバンクの選手は「センターに打つのはやめよう」と言っていたにも関わらず偶然センターに打球が飛んだこと
●横田選手はボールがほぼ見えていない中で捕球しダイレクトでキャッチャーまで投げられたこと
●次の9回も守備についたものの打球は来ず、結果的にバックホームが最後のプレーになったこと
などです。
引退後は講演や病院への訪問を通じて、病気の方を励ます活動を続けていましたが、2022年頃に腫瘍が再発し2023年7月に死去しました。
死去した日はフレッシュオールスターゲームの開催日で、阪神の二軍選手たちは二軍の本拠地球場である鳴尾浜球場で練習していましたが、訃報を聞いた時は全員横田さんの守備位置であるセンターに集まり黙とうしたのち、練習中に横田さんが病気療養中によく聴いており、2018年から登場曲に用いていた(実際は一軍で使われることはありませんでした)ゆずの『栄光の架橋』を流し死を悼みました。
謹んで横田さんのご冥福をお祈り申し上げます。
クイズにまいります。
テーマは「横田慎太郎」です。
【問題】
1 横田慎太郎が鹿児島実業高校1年生の頃に寮で同室だった3年生で、後に西武に入団しプロ野球選手としてプレー後、現在はボートレーサーとして活動する人物は誰でしょう?
2 横田慎太郎を担当した阪神のスカウトで、選手としては内外野守れるユーティリティプレイヤーとして通算624試合に出場している人物は誰でしょう?
3 横田慎太郎が2013年ドラフト2位で阪神に指名された際、1位で同球団から指名された選手は誰だったでしょう?
4 横田慎太郎が2016年3月25日にプロ初出場、初盗塁、翌26日に初安打を記録した球場はいずれもどこだったでしょう?
5 横田慎太郎選手の応援歌の歌詞「熱き闘志と 勇気をバットに 今こそ○○○○ それ行け横田」の○○○○は何でしょう?
【正解】
1 野田昇吾…本書では「野田さんはとてもやさしく丁寧に指導してくれた」と語っています。
2 田中秀太…熊本工業高校出身で、当時は九州地区担当スカウトを務めていました。
(現在は阪神の二軍内野守備走塁コーチ)
3 岩貞祐太…ちなみに4位が梅野隆太郎捕手、6位が岩崎優投手でした。
4 京セラドーム大阪…阪神の主催試合の開幕戦ですが、春のセンバツの開催中のため、京セラドームで行われました。
5 羽ばたけ…初めて一軍入りを果たした2016年につくられました。
ジャンル | プロ野球クイズ王・尾林衡史の「野球本書評」 |
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掲載日時 | 2023/7/24 16:00 |
タグ | 尾林衡史のBBB 横田慎太郎 |
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担当ジャンル:スポーツ
1973年生まれ 福岡県出身
職業 クイズ作家 株式会社キュービック所属
物心ついたころから40年来の東京ヤクルトスワローズのファン。
年間の観戦数は30試合から40試合ほど。
仕事の「クイズ」と趣味の「野球」を組み合わせた「野球クイズ」をライフワークとし
プレーヤー・イベンターともに「野球クイズ」の第一人者を自負
主な実績
①プレーヤー
『全日本プロ野球クイズ王決定戦』(2013年6月)優勝
『プロ野球マニア王決定戦』(2019年3月)優勝
②イベンター
『プロ野球12球団ファンクイズ王決定戦』(2019年5月~2020年1月)
(全12球団+各回の優勝者で日本一を争う「日本シリーズ」の全13回)開催
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