プロ野球クイズ王・尾林衡史の「野球本書評」
『結果を出す二軍の教え』(KADOKAWA)
プロ野球クイズ王・尾林の野球本書評、第18回は『結果を出す二軍の教え』です。
この著書は5人の二軍指導者(ソフトバンク・小久保裕紀、DeNA・仁志敏久、ヤクルト・松元ユウイチ、日本ハム・木田優夫、巨人/広島・内田順三)のインタビューをもとに二軍で選手を育成するためのノウハウやプログラムをまとめたものです。
私が野球を見始めたころは、コーチは1から10まで選手に教えるというのが常識でしたが、現在は「なるべく教えず、選手に自分で考えさせるヒントを与える」というのがコーチングの基本になっています。
その中で今回の5人全員が共通して認識しているのが「二軍ではまず体力をつける」という点です。
これは一軍で1年間故障せずにプレーできる体力とともに、プロでは反復練習が重要でその練習ができる体力が必要という点です。
そこで意外と思ったのが、小久保監督の言葉「最近のアマチュア選手の練習量が減って体力が落ちている」というコメントでした。
トレーニング技術の発達でアマチュア選手の体力は向上していると思っていたのですが、確かに部活動の変化や甲子園での球数制限などで、練習量は減っているのかと感じました。
ただし、昔は厳しい練習に耐えたモンスターみたいな選手がいた一方で、おそらく数えきれないほどの逸材がつぶれていったのでしょうが、少子化の現在、そんなことをしたらプロで活躍できる選手がいなくなると思います。
あわせて、5人のインタビューで同感できる部分は多々ありますが、もっとも強く感じたのは木田優夫ファーム監督のことば「こんなところにいたくない」です。
日本のプロ野球では、二軍でも支配下登録なら最低でも440万円(育成は240万円)の年俸が保証され、寮で食事と住居が与えられ、正直、同年齢の社会人よりは良い生活ができる環境ですが、それに甘んじることなく、上を目指すことが重要と感じます。
また、二軍は高卒選手であれば5年程度、大学・社会人選手であれば3年程度で一軍への道筋が見えなければ見切りをつけられます。
二軍の指導者は、不完全燃焼のまま終わってプロの世界から去って行く選手を嫌というほど目の当たりにしています。
解雇されたときに「もっと頑張ればよかった」と思わせないことは重要と感じます。
一般の社会人のマネジメントにおいても数多く通用する内容で、私自身も非常に参考になる一冊でした。
クイズにまいります。
テーマは「ファーム指導者」です。
【問題】
1 2023年のファーム指導者で二軍監督で名球会入りしているのはソフトバンクの小久保裕紀ですが、三軍監督で名球会しているのは巨人の誰でしょう?
2 二軍監督時代に『二軍監督の仕事 育てるためなら負けてもいい』を著している、2023年現在は一軍監督を務めている人物は誰でしょう?
3 1973年から82年まで南海の二軍監督を務めた、日本プロ野球で最長の10シーズン同一チームで二軍監督を務めた人物は誰でしょう?
4 1993年から95年にダイエーで二軍監督を務めた有本義明と、2021年に日本ハムで二軍監督を務めた原田豊に共通する、野球でのキャリアは何でしょう?
5 1987年から89年まで巨人がファーム日本選手権3連覇を達成した時の二軍監督は誰でしょう?
【正解】
1 駒田徳広…巨人三軍監督前の2016年から19年には独立リーグの高知ファイティングドッグスで監督を務めています。
2 髙津臣吾…その後『一軍監督の仕事 育った彼らを勝たせたい』を執筆しています。
3 穴吹義雄…なお、1977年に野村克也選手兼監督が解任された際、シーズンの最後2試合で一軍監督代行を務めています。
4 プロ野球でプレーした経験がない…二軍設立当初は珍しいことではなかったですが、育成制度が確立された1980年代以降はこの2人のみです。
5 須藤豊…1989年限りで退団すると、1990年からは大洋の一軍監督を務めました。
ジャンル | プロ野球クイズ王・尾林衡史の「野球本書評」 |
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掲載日時 | 2023/10/2 16:00 |
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担当ジャンル:スポーツ
1973年生まれ 福岡県出身
職業 クイズ作家 株式会社キュービック所属
物心ついたころから40年来の東京ヤクルトスワローズのファン。
年間の観戦数は30試合から40試合ほど。
仕事の「クイズ」と趣味の「野球」を組み合わせた「野球クイズ」をライフワークとし
プレーヤー・イベンターともに「野球クイズ」の第一人者を自負
主な実績
①プレーヤー
『全日本プロ野球クイズ王決定戦』(2013年6月)優勝
『プロ野球マニア王決定戦』(2019年3月)優勝
②イベンター
『プロ野球12球団ファンクイズ王決定戦』(2019年5月~2020年1月)
(全12球団+各回の優勝者で日本一を争う「日本シリーズ」の全13回)開催
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