プロ野球クイズ王・尾林衡史の「野球本書評」vol.07
『西武ライオンズ創世記』
(佐野慎輔著 ベースボール・マガジン社)
プロ野球クイズ王・尾林の野球本書評、第7回は、『西武ライオンズ創世記』です。
ちなみに西武ライオンズ誕生の前日譚ともいえる、太平洋クラブ、クラウンライター時代のエピソードは以前
『「黒い霧」で瀕死の西鉄ライオンズを救うためにロッテオーナーがとった驚きの行動は?』
というコラムを書いております。
よろしければ、そちらも併せてご覧ください。
埼玉移転後の1979年以降、18度のリーグ優勝、10度の日本一を達成し、特に1980年代後半から90年代前半には圧倒的な強さを誇った西武ライオンズですが、福岡時代の晩年の極貧球団として球団運営にも支障をきたすレベルのエピソード、そしてそれを受け継いだ西武球団の創世記の苦労は現在のプロ野球の常識では信じられない内容の数々で、それをあますところなく克明に記載した内容となっています。
西武球団のすごさを感じるのは球団買収からわずか4年で日本一を達成したことです。
通常、長期低迷した球団や新球団が強くなるには相応の時間がかかるもので、たとえば
●1988年オフに南海を買収したダイエーが初のリーグ優勝・日本一になったのは11年目
●同年に阪急を買収したオリックスの初のリーグ優勝は7年目、日本一は8年目
●2005年に誕生した楽天が初のリーグ優勝・日本一になったのは9年目
●2011年オフに横浜をTBSから買収したDeNAはいまだリーグ優勝を達成していません。
(ただし、2017年にリーグ3位からクライマックスシリーズを勝ち抜いて日本シリーズに進出しています。)
という中で、4年は驚異の数字です。
これには
・「球界の寝業師」と呼ばれた根本陸夫さんの手腕
・西武球場建設のアドバイザー&プリンスホテル初代監督を務めた石山建一さんの尽力
等、さまざまな要因がありますが、何といっても堤義明オーナーのチームを強くするために衝突をいとわない姿勢を感じます。
当時のプロ野球界は巨人を保有する読売グループが絶対的な存在でしたが、江川問題などで読売グループと関係が悪化しても(後に和解していますが)、敢然と立ち向かい、社会人野球のプリンスホテル野球部を設立し、有力選手をライオンズに送り込むなどして、チームを強くするためのなりふり構わぬ姿勢を感じます。
(なお、プリンスホテルは他球団にも人材を多く提供していました。)
ちなみに本書の歴史が1983年までとなっているのは、本来1982年に日本一を達成した時点までとしても良いものですが、このとき倒したのが中日で、「打倒巨人」を掲げる堤オーナーとしては巨人を倒してこそという思いがあり、それを達成した83年までを創世記としたものと思われます。
40年以上前の話ですが、強い組織をつくり、目標に向かってフロント・現場一丸となって戦う方法論は、プロ野球に限らず一般社会においても現在でも通用する内容はたくさんあると思いました。
クイズにまいります。
テーマは「創世記の西武ライオンズ(1978年~1983年)」です。
【問題】
1 1978年オフ、阪神から田淵幸一と古沢憲司をトレードで獲得した際に阪神に放出した選手は、竹之内雅史、若菜嘉晴、竹田和史と誰でしょう?
2 1979年に発表された球団歌『地平を駈ける獅子を見た』の作詞は阿久悠ですが、作曲は誰でしょう?
(歌っていたのは松崎しげる)
3 1979年4月24日、開幕から2引分をはさんで12連敗をストップさせ球団初勝利を挙げたときの勝利投手は誰だったでしょう?
4 初の日本一となった1982年、日本シリーズで破った相手は中日でしたが、プレーオフで破った(当時のパ・リーグは2シーズン制)相手はどこだったでしょう?
5 1983年の日本シリーズ第7戦で、0-2で迎えた7回裏無死満塁の場面で、日本一を決める走者一掃の二塁打を打った選手は誰だったでしょう?
【正解】
1 真弓明信…真弓選手はこのトレードの当事者6人ではもっとも長い1995年までプレーしました。
2 小林亜聖…阿久悠と小林亜聖のコンビは『ピンポンパン体操』『北の宿から』や、沖縄海洋博のテーマ曲『珊瑚礁に何を見た』など多くの曲を手掛けています。
3 松沼博久…前年オフに弟の雅之とともにドラフト外で入団し、創世記の屋台骨を支えました。
4 日本ハムファイターズ…同年は前期優勝するも後期は早々に優勝争いから脱落すると、プレーオフ対策に時間を割き、プレーオフ&日本シリーズを制しました。
5 テリー…このシリーズは7試合中3試合がサヨナラゲーム、第6戦、第7戦は1点差ゲームであったことから「シリーズ史上屈指の名勝負」といわれます。
ジャンル | プロ野球クイズ王・尾林衡史の「野球本書評」 |
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掲載日時 | 2023/7/18 16:00 |
タグ | 尾林衡史のBBB 西武ライオンズ |
担当ジャンル:スポーツ
1973年生まれ 福岡県出身
職業 クイズ作家 株式会社キュービック所属
物心ついたころから40年来の東京ヤクルトスワローズのファン。
年間の観戦数は30試合から40試合ほど。
仕事の「クイズ」と趣味の「野球」を組み合わせた「野球クイズ」をライフワークとし
プレーヤー・イベンターともに「野球クイズ」の第一人者を自負
主な実績
①プレーヤー
『全日本プロ野球クイズ王決定戦』(2013年6月)優勝
『プロ野球マニア王決定戦』(2019年3月)優勝
②イベンター
『プロ野球12球団ファンクイズ王決定戦』(2019年5月~2020年1月)
(全12球団+各回の優勝者で日本一を争う「日本シリーズ」の全13回)開催
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