大神ゼウス君の世界神話教室
女神のコトならワシに聞け！　第10話

世界各地の神々の物語“神話”。時代も文化も違うにも関わらず、どんな神話にも何故かよく似たストーリー、よく似た教訓を残しているものも多くあります。神様は意外と人間臭い。特に女神をみれば神々の“性質”がよくわかります。世界中の神話から女神１柱をPICK UP！

ナビゲーターはギリシャ神話の神の長にして、女性には百戦錬磨の大神ゼウス！自由奔放な女神の物語から神話の世界を覗いてみましょう。。

最初にクイズです！

Q１　アマテラスがヒキコモリにした犯人は？

a.　お父さん　　ｂ　夫（彼）　ｃ.弟

＊答えはこのゼウス君の神話教室にあるよ！

ゼウス：はーい皆さん！ギリシャ神話界の王様、大神ゼウス様ですよ～

今回、紹介する女神は日本で最も有名な女神様。天照大神（アマテラスオオミカミ）。天照大神とも表記されるけど“てんてるだいじん”なんて読むな！

そういえば…天照大神、大神ゼウス、“大神”繋がりじゃないの～いいね！

何故、ワシにも“大神”とついているか？それは日本にギリシャ神話が伝わった時点でついた冠みたいなもの。偉大な神様に付けられる称号なのね～！

日本人なら天照大神がどんな神様か知ってるよね？そう、最高神にして太陽神だ！したがってアマテラスには多くの神話が残されている。

まずは出生だが、アマテラスのお父さんはイザナギの命。イザナギは奥さんのイザナミを黄泉の国に迎えに行って失敗。命からがら逃げ戻り、禊をした際に左目からアマテラス、右目からツクヨミ、鼻から（…牛乳じゃないぞ！）スサノオが生まれたんだ。月神ツクヨミと海神スサノオはアマテラスの弟に当たる。この三姉弟は三貴子（みはしらのうずのみこ）と呼ばれ、日本最古の姉弟神様ユニットだ。

今回は一番有名な「天岩戸」の神話を紹介しよう。これはアマテラスが洞窟に隠れてちゃったので太陽が昇らなくなり世界は真っ暗闇。困った神様たちはアマテラスの隠れた洞窟前で大宴会を催し誘き出し作戦を決行。騒ぎに興味を持ったアマテラスが岩戸を開けたことで、太陽が戻って来た！というお話。このアマテラスが籠った洞窟こそ今も有名な「天岩戸」だ。

ところで、どうしてアマテラスが洞窟に籠っちゃったか知ってるかい？

このヒキコモリ事件を引き起こしたのは、弟の須佐之男命（スサノオノミコト）だ。

後にスサノオはヤマタノオロチを退治する“正義のヒーローになる男”だが、若気の至りか？当時はかなりのヤンチャ者だった。田んぼを壊すとか、ウンチを御殿に播き散らすとか、馬の皮を剥ぐとか、アマテラスの領土に突進してくるとか、アマテラスの侍女を間違って殺しちゃうとか…まぁ、次から次へと笑えないオイタを仕出かす。そんな弟に呆れ果て「も～イヤ！アイツなんなの！」とブチ切れてアマテラスは引き籠っちゃったのさ。

そりゃ、アマテラスにしてみれば皆に迷惑をかける数々のオイタ自体許せないが、そんな弟では他の神々にも示しがつかない。傷つき悩んだ末、日本初のヒキコモリの道を選んだってわけだ。“大神”とはいえ、真面目で繊細な乙女だったんだな。

アマテラスは最高神だけあって当然、正義感が強く気丈で芯が強いオナゴ。だからこそ、そんなシッカリ者の姉とヤンチャ過ぎる弟がぶつかり合った大喧嘩がこのヒキコモリ事件の発端さ。ワシの考察では、これには双方に若干誤解もあったのでは？と思うのだが…

どこの姉弟でも“お姉ちゃん”とは大概にして強い。そんな正義感が強く真っ直ぐなアマテラスのおかげでもう一人の弟・月神ツクヨミもこのお姉ちゃんパワーに完敗だ。姉弟仲良く！が一番だが、思い切り大喧嘩が出来るのも姉弟の醍醐味だ。どこの世界もどんな時代でも変わらないね～。

実はギリシャ神話にもワシの姉ちゃん“大地と豊穣の神デーメーテール”も娘を攫われたショックでヒキコモリとなった。おかげで長い冬が訪れ世界は大混乱！しかもその原因は…ちょっと似てるのよ～。それはまたの機会に詳しく解説しよう。

…というわけで、冒頭のクイズの答えは　ｃ弟。弟のスサノオでした。

では、次回は「アマテラスの災難②～昼の太陽と夜の月～」アマテラスがキレたもう一人の弟、月神ツクヨミとのエピソードを紹介しよう。楽しみにしていてね。

偉大な女神こそ、意外と繊細で傷つきやすいから～どんな女性も取り扱い注意だよ！