海王星の赤道付近の上空で発見された帯の正体は?
海王星の写真を検索してみると、真っ青に近い青い星が多く出てくる。その青さは字のごとく液体の海というわけではない。水素を主成分とし、ヘリウムやメタンを含んでいるガスが惑星表面をまとっており、そのガスによる赤色光を吸収する効果で青く見えているとされている。
(「天王星や海王星が青っぽく見えるのはなぜ?」を参照してね!)
海王星は約165年かけて太陽を一周しており、5つの環が存在している。ただし土星ほど目立ってはおらず、宇宙望遠鏡や天文台の超高度な観測装置でなければ見えない。
環には名前が存在しており、内側から外側へ向けてガレ・レヴェリエ・ラッセル・アラゴ・アダムスだ。
ちょっと脱線した。本題に入ろう。
2020年10月後半。東京大学などの研究チームがアメリカの科学雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」で海王星にまつわるある発見を発表した。
南米・チリの北部に標高が約5000mあるアタカマ砂漠に設置されているアルマ望遠鏡(電波干渉計)。そのアルマ望遠鏡で2016年に観測した海王星のデータを研究チームが解析した結果、海王星の上空にHCN(シアン化水素)が分布していることがわかった。
ガス状態のシアン化水素は青酸ガスの別名を持っており、人体にとっては猛毒なのだ。
さらに解析すると赤道付近で帯状に分布しており、その最高濃度が約1.7ppb(※)である。ちなみに最低濃度は約1.2ppbで場所は南緯60度付近とされる。
(※)ppb… parts per billion <十億分率で十億分の1を指す>
1ppb=0.001ppm(parts per million, 百万分率)=10-7%
今回の発見はまた新たな惑星科学の知見を広めるカギにつながったと僕は信じる。
サイエンスは表面上わかっているつもりでも実際は名前だけで内容を知らないものが多々ある。しかしそれを掘り起こすと興味深い世界があったりするのも事実。
また面白いサイエンス(太陽系天体を中心に)が出たら展開していきたい。
ジャンル | 科学 |
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掲載日時 | 2021/1/26 16:00 |
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