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あやかし、もののけ、ホントにいるの?
<鬼の統領・酒呑童子 まさかの神に!後編>

地球・あやかし紀行

【前編はこちら】

不思議な現象、幽霊、妖怪、未確認生物をまとめて、親しみやすく“あやかしさん”と呼び、様々な“あやかしさん”情報を紹介しています。

妖怪なのに一部で神とも崇められる「酒呑童子」。前半で紹介した酒呑童子の幼少期に続き、後半では大江山での酒呑童子の最期までを紹介します。

酒呑童子の出生については、前編でお話した2説が主流ですが、その後のお話はほほ同様です。

酒呑童子は子分の鬼を何体も引き連れ丹波の大江山に屋敷を築きます。当然ターゲットは近くの都。当時、この国で最も栄えた街・京では奇妙な事件が多発します。

そこで、あの有名な陰陽師・安倍晴明が「これは鬼の仕業です!」と見抜かれます。

この鬼退治を任命されたのが源頼光。頼光は四天王と呼ばれる最強の部下と共に、数々の難事件を解明、解決、退治した実績がありました。

この四天王の1人が坂田金時。昔話でお馴染みのマサカリ担いだ金太郎です。

頼光一行は、大江山に出向く途中で三人の老人に会います。(神様の化身)鬼退治のワンポイントと便利グッズを授けてくれます。

「そんなゾロゾロ行ったら逃げられちゃうよ。山伏のフリして行きなさい」

「コレ鬼の好物の酒。本当は人が飲めば力倍増。鬼が飲むと力が減退する秘酒だから」

「それと蓑ね。汚いからって捨てちゃダメよ。これ隠れ蓑だからイザって時使って」

頼光一行は言われた通りに山伏に変装、余計な部下は帰らせ、最強6人編成で山を登ります。

途中、川で洗濯する婆さんに会います。この婆さんは遠い昔、鬼に攫われ、痩せてマズそうだったので食われず、永遠に家政婦としてこき使われているとか。頼光たちの鬼退治の旨を話すとノリノリになり、家政婦だけが知っている、鬼の住処や屋敷の間取り、鬼の力関係など秘密情報教えてくれました。話の途中で「私も昔はイケてたのよ」と何度挟みながら…

自称、昔はイケてた婆さんのおかげで、山伏のフリをして屋敷に潜入。泊めてくれたお礼にと、酒呑童子と子分たちと酒をふるまいます。鬼はほぼヘベレケ…この隙に隠れ蓑で姿を消し、寝室で泥酔している酒呑童子をスパッと一斬り。鬼退治は大成功!

酒呑童子の首は「騙すとは卑怯な!鬼はだまし討ちなどしない」と叫んだとか…でも騙す以外、悪事は何でもやったので、そう自慢できる事でもありません。

一行が酒呑童子の首を担いで山を下り始めると…酒呑童子の妖力が弱まったため、鬼の屋敷は崩れ去り、川にさしかかる頃には昔イケてたという婆さん姿は白い骨に…やっと家政婦から解放されたのです。

首を切られても酒呑童子はず〜っと文句や愚痴を喋り続けたそうです。

そして、ふと、自分の人生を振り返り「これからは人のためになりたい」と改心したともいいます。

あと少しで都という老ノ坂に差し掛かった時、騒がしかった酒呑童子の首はピタリと喋らなくなりました。喋り過ぎで疲れた?それとも完全に死んだ?と思った時、道端のお地蔵様に「キショ!そんなの都に入れないでよ」と指摘され、それもそうだな、とその場に酒呑童子の首を埋めて帰ったとか。その場所は現在、酒呑童子を祀る首塚神社となっています。それは単に酒呑童子の祟りを鎮めるためだけではありません。

酒呑童子が最期に言い残した「人のためになりたい」が本心だったのか?首塚神社は首から上、頭や顔などの病には大変ご利益があると伝わっています。

 

酒呑童子の名前の由来はお酒によって命を失った、また常に酔っているような赤い顔だったから、などお酒が関わっているようです。実は酒が飲めない下戸だった、なんて話もあります。そういえば、幼少期の伊吹童子説では酒呑童子の父・弥三郎もお酒で失敗して命を落としています。

お酒の席は楽しく幸せな時をもたらしますが、失敗も多く引き起こします。

“酒は飲んでも飲まれるな!”酒呑童子もきっとそう言っているのではないでしょうか?心当たりのある人は肝に命じて下さい。

極悪非道のあやかしが、いつしか神のように祀られて…これも“八百万の神”からのメッセージなのでしょう。

 

 

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放送作家 キャスティングプロデューサー
南鰻衣ルカ

本業はTV番組・イベントなどキャスティングP

音楽業界、芸能界、TV・ラジオ・イベント業界などを経て、現在に至る。

仕事の中で知り合った多くの人から不思議な話をたくさん聞き、不思議な事に

巡り合ううちに“不思議なモノ”や“目に見えぬものが”大好物に!

それらを伝えていこうと執筆している。

得意ジャンルは神話、伝承、歴史、天文、色彩、スピリチュアル、どうでもいい雑学。

趣味はイラストレーション、読書。

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