あやかし、もののけ、ホントにいるの?
<鬼の統領・酒呑童子 まさかの神に!前編>
地球・あやかし紀行
不思議な現象、幽霊、妖怪、未確認生物をまとめて、親しみやすく“あやかしさん”と呼び、様々な“あやかしさん”情報を紹介しています。
今回の“あやかしさん”は「酒呑童子」。文字通りお酒好きの妖怪なのでしょうか?
人間にどんなワルさをするのでしょう。
酒呑童子は極悪妖怪と言われますが、神として祀っている神社があります。神と妖怪は紙一重なのでしょうか?
では、酒呑童子について紹介しましょう。
酒呑童子の出生やその生涯については諸説ありますが、では、まずは前編で酒呑童子の出生にまつわる代表的な2つの説を紹介します。
◇伊吹童子説
酒呑童子の幼名は伊吹童子。父・伊吹弥三郎は伊吹山でヤマタノオロチを祀る一族でしたが、正体はモノノケでした。
昼間は宮司、しかし夜になると山を出て泥棒とか人攫いとか悪事を生業にしていました。そんな弥三郎は何故か近江の国である富豪の娘と結ばれます。
祝言の夜、弥三郎は調子に乗って飲み過ぎて正体がバレてしまいます。驚愕した娘の父はヘベレケの与三郎をその場で成敗!…してみたものの、娘のお腹には、すでに弥三郎の子が宿っていたんです。バケモノは手も早かった、というわけですね。
お腹の子は、なんと33か月も胎内に居座って生まれてきました。2年半以上もお腹の中で育って…さぞ難産だった事でしょう。
娘の父は、そんな赤ん坊は末恐ろしいと、伊吹山に捨ててきたのですが、バケモノの子だけあって生命力は強かった!山の動物たちに育てられ、父譲りの妖力と獣譲りの身体能力で立派なワルに育ちます。それが、伊吹童子、後の酒呑童子です。
成長した酒呑童子は九州から近畿と、あちこち山を渡り歩き、最終的には丹波の大江山に多くの鬼の子分と共に移り住み、父同様に悪事を生業としていました。
◇外道丸説
一方、新潟に伝わる伝説では酒呑童子の出生と幼名が異なります。その名は外道丸。
名前からして、かなりワルそうでうす。
追放された親王の家臣の子として生まれた外道丸は、幼い頃から寺に奉公し、超イケメン小坊主と注目されます。その噂はどんどん広がり若い娘たちの人気者に。けれど、どんなに言い寄られても仏門に帰依する者としてか?女に興味がなかったのか?「ウゼェ」と押柄な態度で誰一人相手にせず、貰った贈り物もファンレターもポイっと専用のカゴに放り込んでいました。美しい容姿に似合わぬ下品な言動、そのギャップとツレない態度が、さらに熱狂的なファンを増殖させていました。
ある時、外道丸ファンの娘が次々と不審死するという事件が多発。事情聴取された外道丸は「邪魔臭ぇなぁ」と思いつつ、手がかり探しに贈り物やラブレターの籠を開けてみると…外道丸の魅力はそれ程、人を惑わしたのか?娘たちの情念が集まり煙となって外道丸を包み、恐ろしい赤い顔の鬼にしてしまいます。もう、寺には居られません。鬼の姿のまま、丹波の大江山へ向かった…と。
これが酒呑童子の2つの出生伝説なのですが…
伊吹童子、外道丸どちらの説も、結果的に丹波の大江山へ向かいます。
全国には酒呑童子を祀る神社があります。外道丸の出生地と言われる新潟には縁結び良縁祈願にご利益があるという「酒呑童子神社」があり、今も若い女性たちの人気のスポットです。外道丸がイケメン、モテモテだったからでしょうか?そして、丹波の首塚神社も酒呑童子にまつわる神社。首から上の病にご利益があるとも…それは酒呑童子の後半でご紹介します。
ジャンル | エンタメ・カルチャー |
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掲載日時 | 2020/12/11 16:00 |
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