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あやかし、もののけ、ホントにいるの?
<日本三大妖怪とは? その3・天狗>

地球・あやかし紀行

不思議な現象、幽霊、妖怪、未確認生物をまとめて、親しみやすく“あやかしさん”と呼び、様々な“あやかしさん”情報を紹介しています。

今回も日本に伝わる妖怪の中から、日本三大妖怪と呼ばれる“あやかしさん”を紹介しましょう。所説ありますが、一般的に三大妖怪と言われる<かっぱ><鬼><天狗>の中から今回は、妖怪とも。守り神とも言われる「天狗」です。

天狗

赤い顔に大きな鼻と大きな目。高下駄をはき山伏装束で、時に背中に翼や羽団扇を遣い空を飛ぶ!人の邪魔をしたり、人を攫ったりするかと思えば、一部の山岳信仰では神のように祀られています。天狗とは悪なのか?善なのか?

  • 天狗のモデル
  • 天狗のランク
  • 天狗は敵か?味方か?

 

飛鳥時代のお話です。大きな流れ星が夜空を駆け抜けました。

日本人「うわ~!なんじゃ、アレ!不吉だ。何か起こるぞ!」

中国人僧侶「大きな狗(イヌ)だったなぁ。あれは、不吉じゃねぇ。天の狗だって」

日本人「い、いぬ?!」

<1 天狗のモデル>

天狗は天の狗(いぬ)と書きます。中国では古くから流星を天狗といったそうで、日本書紀にも「天を狗(いぬ)が駆け抜けた」といった流星の記録が残っています。

“天狗”と呼ばれた夜空を駆ける不思議な光は、いつしか山で修行をする山伏の姿と、山の神や妖魔が融合し、現在まで伝わる天狗のイメージになったといいます。

また、古事記や日本書紀には天孫降臨の際、瓊瓊杵尊の道案内をした猿田彦命の姿が赤顔で鼻が高い姿と記され、天狗のモデルとも言われています。

<2 天狗のランク>

天狗のトレードマークの高い鼻。元々はカラスのようなクチバシだったといいます。所説ありますが、格が上がるとクチバシは長い鼻に変わるともいいます。

天狗にもランクがあり、その姿も地位によって違うようです。

  • 大天狗…修験道をきわめた天狗。霊山を開山するなど、功績を残した天狗。

赤い顔に高い鼻、高下駄を履いた山伏装束。羽団扇で空を飛ぶ大天狗は、

優れた妖術を操り、奇跡や天変地異すら起こす力があります。。

  • カラス天狗…長い鼻ではなくクチバシを持ち、背中の翼で空を飛びます。

人に嫌がらせもします。妖術はソコソコです。

  • 木の葉天狗…姿はカラス天狗のような鳥風。化けるのが得意で、狼や犬など動物

に化け、悪さをします。時には人間にも化けたとか。

*カラス天狗と木の葉天狗はまとめて小天狗と括る場合もあります。

  • 女天狗…天狗には女性もいます。尼天狗とも言われ、妖術も予言の力も弱く

人間の女性の姿をして男性を惑わします。出家した尼が煩悩を捨て

きらず亡くなると、この女天狗になるといいます。

大天狗はその高い妖術で人に力を貸すこともありました。戦国の武将たちはその力の恩恵に預かろうと“戦の神”として天狗を祀りました。神社などで見かける天狗像は、この「大天狗」の姿です。

<3 天狗は敵か?味方か?>

神として祀られる一方で、日本全国にある天狗の逸話は「神隠し=天狗隠し」や山林での奇妙な出来事など悪い話が目立ちます。

山や森での失踪事件を「天狗に攫われた」といいました。また、外に寝かせていた赤ん坊がタカやトンビなどが攫われる事も「天狗攫い」と言われ、鳥が小天狗の姿と重なったと思われます。

道に迷う、急な天候の変化、石粒が降る、風の音が話声に聞こえる、記憶喪失さえも…とかく予期せぬ奇妙な出来事も天狗の仕業。

今では、科学的に説明がつく事も多いですが、当時は原因不明や不可解な事件は全て「とりあえず天狗で!」に。天狗にしてみれば、迷惑な話です。

天狗にとって山は神聖な場所であり、大事な拠点。天狗被害は人々から自分達の縄張りを守っていたのでしょう。

 

<まとめ>

今でも常に得意になって自画自賛いる人を「アイツ、テングだよね?」言います。それが天狗の性質とは限りません。山岳信仰ブームの頃、多くの人が修行と称し入山しましたが、誰でも山に入ればいいというものではありません。悟りを得られる人はほんの一部。野宿好き、体験マニア、おサボり、暇な人、興味本位…そういった“修験者やってみた”には、ほぼ悟れません。けれど、そういった人に限って、さも苦行を積んだように、得意気に体験談を語り、自分はスゴイと吹聴したとか。聞かされた人々の「また言ってるよ!アイツ、テングだな!」という揶揄が現在も残っているのです。

本当のことは、天狗自身に聞いて視なければわかりません。もしかすると、天狗もいいように人に利用された存在なのかもしれませんね。

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放送作家 キャスティングプロデューサー
南鰻衣ルカ

本業はTV番組・イベントなどキャスティングP

音楽業界、芸能界、TV・ラジオ・イベント業界などを経て、現在に至る。

仕事の中で知り合った多くの人から不思議な話をたくさん聞き、不思議な事に

巡り合ううちに“不思議なモノ”や“目に見えぬものが”大好物に!

それらを伝えていこうと執筆している。

得意ジャンルは神話、伝承、歴史、天文、色彩、スピリチュアル、どうでもいい雑学。

趣味はイラストレーション、読書。

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